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#未来は好奇心から | 好奇心についてもっと調べてみた

ひと月ほど前に『好奇心でズレを調整する | #好奇心 について調べてみた』を書きましたが、相変わらず「好奇心」について、アカデミアでの調査をゆっくりながら読んだり調べたりしています。

今日はメモ代わりに、昨日読んだ論文『好奇心の個人差と精神的健康および心理的well−beingとの関連』の中で、頭に叩き込んでおきたいところとか気になるところをブログにアップしておきます。

 

なお、論文は下記にて確認・ダウンロードができます。そして、おれがここから書くものは、自分のためにこの論文を好き勝手に切り取ったり言葉を変えた部分があるもので、誤りや誤解を招く表現はおれの問題であって、原文の正確性はあくまでも原文にて確認してください。

好奇心の個人差と精神的健康および心理的well−beingとの関連

西川一二, 吉津潤,雨宮俊彦,高山直子

 

まず1番最初に、自分への宿題を書いておこっと。統計に詳しい誰か、サポートいただけませんか〜?

宿題

  • CEI−II(The Curiosity and Exploration Inventory−II)の内容をしっかりと調べてみよう。
  • (a=.82)というのが実際に何を表しているのか。統計に詳しい人に説明を依頼しよう。

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調査概要

CEI−II(The Curiosity and Exploration Inventory−II)の日本語訳に基づく日本版好奇心探索尺度を作成し,大学生830名を調査。

因子分析の結果,日本版好奇心探索尺度では,CEI−IIとほぼ同じ「伸展型好奇心」(a=.82)と「包括型好奇心」(α=.78)が抽出された。

 

質問内容

回答形式は5件法(1= 全く当てはまらない,2=すこし当てはまる,3=当てはまる,4=かなり当てはまる,5=非常に当てはまる)。


伸展型好奇心(a=.82)(*1を含んだ場合はα=.78)
  • 5,困難な状況を成長と学習の機会としてとらえている
  • 9.課題に挑戦し人間として成長できるような機会をふだんから求めている
  • 7,自分自身や世界に対する考え方に試練を課してくれるような経験をいつも求めている
  • 3.自分にとっての最高の状態は、複雑で困難な課題に取り組んでいる時である
  • *1.新しい状況では出来るだけ多くの情報を積極的に求める
包括型好奇心(α=.78)
  • 6.少々ドキッとするような事をするのを好む
  • 2.日常生活における不確実性を心から楽しむタイプである
  • 8.刺激的で予測できないような仕事をしてみたい
  • 10.なじみのない人や出来事、場所を喜んで受け入れるタイプの人間である
  • 4.どこに行っても、外に出て新しい物事や経験を探す

 

ファインディングまとめ

CEI−IIは,予期しない出来事の受容や様々な機会に対する挑戦など健康やwell−beingに関連するタイプの好奇心の個人差測定を目的とした尺度。

CEI−IIの下位尺度には,自己の成長を促すために新しい機会を探し求める「伸展型好奇心(Stretching)と,予期しない出来事でも積極的に受け入れようとする「包括型好奇心(Embracing)」がある。

 

伸展型好奇心と包括型好奇心の特徴

  • 伸展型好奇心は、新しい領域に展開したい意欲を表す。計画性や誠実性の高さと関連している。
  • 伸展型好奇心には,物事の計画性が高く,統制を好む(誠実性)性格傾向が存在する。
  • 伸展型傾向が高い人には,生活において人や物事に対して真剣に考えるような真面目な性格が考えられるかもしれない。

 

  • 包括型好奇心は、新奇さや不確実性を許容し楽しめる事を表す。状況を受容し白己を調整する能力の高さや社交性の高さと関連している。
  • 包括型好奇心には,状況を受容し自己を調整する能力が高い(情動性)性格傾向と,社交性やコミュニケーションが高い(外向性)性格傾向との関連性がある事が分かった。
  • 包括型傾向が高い人には,人との交流が豊かでかつ自己を上手くコントロールできる人が考えられるかもしれない。

 

情報タイプと刺激で異なる好奇心の種類

好奇心の基礎となる探索行動の動機づけには,対象となる情報や刺激が存在する。好奇心の種類は、この情報の種類や方向性によって分かれる。

[情報タイプ]
  • 知的好奇心 | 例えば教育,学習や知能など知的活動によって動機づけられる
  • 社会的好奇心 | 社会情報に動機づけられる
  • 対人好奇心 | 対人情報に動機づけられる
[刺激希求タイプ]
  • 感覚的好奇心や知覚的好奇心 | 他の事を考慮に入れず新奇な物事や刺激的な物事のみに動機づけられる

 

心理的well−beingとの関連

好奇心とwell−beingとの関連については,「伸展型好奇心」は自己成長への貢献,「包括型好奇心」は環境変化への自己調整を通じた環境適応への貢献が先行研究でそれぞれ指摘されている。

  • 伸展型好奇心が高い人は,より自己の成長を指向する傾向
  • 包括型好奇心が高い人は,人生において様々な環境や状況への順応し自己を受容できる傾向

 

マインドフルネスとの関連

マインドフルネスについては,好奇心が重要な要素となることが指摘されており,マインドフルネスが精神的・身体的健康を向上させ,well-beingに寄与することは広く認識されている。

Todd Kashdan(トッド・バレット・カシュダン)らは,包括型好奇心(Embracing)とマインドフルネス尺度の気づき(mindful awareness)との関連を見出しており特殊な効果があると主張している。

 

新たな好奇心タイプと健康への影響

好奇心の主要なタイプとされてきた「拡散的好奇心」と「特殊的好奇心」は,どちらも情報に対する接近的探索行動であり,接近的探索行動のなかにおける分類にすぎない。

しかしながら,包括型好奇心には,新奇性や曖昧な情報を受け入れる行動傾向が存在し,必ずしも接近行動のみで働くタイプではない事が明らかである。

  • 拡散的好奇心(Diversive Curiosity) | 未知の情報を求め広い範囲へ関心を向けようとする。刺激が足りていないときに取られる、「ズレ」を求めるプロセス。
  • 特殊的好奇心(Specific Curiosity) | 一つの目的に絞って状況の理解を深め、興奮を落ち着かせようとする。刺激があり過ぎるときに取られる、「ズレ」を低減するプロセス。

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前回、<好奇心とSOC(Sense of Coherence | 首尾一貫感覚)の関連性について調べてみたい>と書いたのですが、ちょっとまだそこには至れておらず…。次こそ!?

Happy Collaboration!