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シグナルのスキャンとリサーチ | フューチャーズ・デザイン with Bespoke

ここでは、Searchフェーズの中核となる、シグナルのスキャンについて説明します。

スキャンはトピックに関係する変化のシグナルを探すものです。僕らのスキャニング方法は、広く包括的な「水平線型スキャニング」というテクニックで、戦略的未来洞察に用いられるものです。

フランスの小説家マルセル・プルーストの言葉が、なぜそれが重要なのかを端的に表しています。

発見の旅とは、新しい景色を探すことではない。新しい目で見ることなのだ。

メガネを変えることで、世界の見え方が変わるのです。政治のメガネを通してみれば、景色は政治を帯びて見えてきます。

 

水平線型スキャニングは、収集し、解釈し、シグナルを合成します。人びとの行動やテクノロジー、ポリシーや素材などのさまざまなドメインに置かれている現在および未来を表すシグナル群からあらゆるものを合成して、情報に基づく認識を形成し、今日存在しているトレンドやチャレンジ、機会を見つけ出すのです。

なぜなら、その水平線に広がる景色にこそ、未来へのインパクトが存在しているのですから。

 

スコープホイールは私たちをガイドしてくれる重要なツールです。シグナルをスキャンするときには、スコープホイールのドメインを上手に使ってください。

おそらく、すぐにたくさんの(デジタル)ポストイットが貼られていくことでしょう。ポストイットを選んだら、そのトピックに関連する興味深そうなシグナルを探していきます。

 

探し出すシグナルとは、変化の兆しやその要素を表すものです。探している 「変化の兆し」とは、市場や業界の未来に影響を与える出来事です。

シグナルとは、トピックの関連性を検証して証明するための「事例」を意味しています。ですから1つ1つが大切ですし、数の多さも重要なポイントです。

あらゆるものがシグナルとなり得ます。定義づけは難しいですが、シグナルが表しているのは見込みやインパクト、そして切迫感です。成長しているトレンドやカウンタートレンド、増加している行動や新しい価値観です。

それらを具体的にスキャンカードに落とし込んでいきます(スキャンカードの作り方については、次回お伝えします)。

 

リサーチ方法について説明します。

デスクトップリサーチは理解を広げるためのものです。本や科学専門誌などを調べる方法もありますし、もちろん検索エンジンで興味深い記事を探すデスクトップスキャンも有効です。

ここで重要なことは、いくつかの方法を組み合わせることです。シグナルが偏らないように、ソーシャルメディアマイニングや専門家の解説、ポッドキャストなどもいいですね。

 

僕個人の典型的な進め方をお伝えすると、まずはググります。そして興味深いものを見つけたら、論文や出版物をグーグル・スカラーや科学ジャーナル、そして出版物などでより詳しく検索し、調べます。これらの媒体には裏付けを持った信頼の置けるものが多いですから。

それだけではなく、トピック次第ではインスタグラムもよく使用します。トピックにより最新のデータが 揃っている場所は異なりますから。

 

だからこそ強調したいのが没入型リサーチです。

没入型リサーチは、トピックの理解を深めるものです。特定の分野に関する専門家へのインタビューや、同僚や知人へのインタビューも有効です。

「社会的創造とは?」「ソーシャル・イノベーションとは?」「起業家精神とは何か?」と、人びとにテーマに関連する質問します。

その他にもエスノグラフィー的なやり方やフォーカスグループの観察などもあります。

重要なのは、デスクトップリサーチと没入型リサーチの違いを理解することです。

両方とも重要ですが、組み合わせることで十分な量を得ることができるだけでなく、情報の信頼性や確実性を示し表すことができます。信頼性と確実性は、良いリサーチャーには絶対に欠かせないものですから。

また、僕たちはよく専門家に話を聞きにいきますが、アーティストに話を聞きに行くことも多いです。彼らは独自の視点を持っていますからね。

 

時間がないときは電話も良いですよ。オススメは、お母さんに電話をして意見を聞いてみることです。違う気づきや新たな方向性が見つかることもあります。

それから、製品や工芸品などを集めてみるのもオススメです。実際に、見て触れて使ってみることで発見があります。

 

→ スキャンカードとセンシング | フューチャーズ・デザイン with Bespoke