幸せの国デンマークで大事にされていると感じたこと
先日のデンマーク旅行中に「パチさん、日本に帰ってきたら『Dotフェス! 2019』でデンークのことを30分くらい話してくれない?」というオファーをいただきました。
参考: Dotフェス! を主催している「Innovation Team dot」の紹介ページはこちら
デンマークが大好きで、そしてアウトプットの場を持つことがおもしろい未来へとつながることを知っている者として、迷いなく「了解!」と即答しました。
でもその後、「デンマークの良さを伝え自らのアクションにつなげてもらいたいと考えた場合、はたしてDotフェス! で話をするのに私は適任なのだろうか?」と疑問がわきました。
なぜなら、ドットフェスに参加する多くの人たちは、デンマークにさほど強い関心を持っていない現役の大学生たちで、「デンマークが中心のイベント」に積極的に集まってきている人たちとは異なります。
そんなわけで、今回は私はサポートスピーカーとなり、今回のデンマーク旅行に一緒に行き、同じものを見てきた我有さんにメインスピーカーをやっていただくことにしました。
我有さんならDotのメンバーともほぼ同年齢で感性やボキャブラリーも近いのでその点はまったく不安なし。そしてなにより、今回の旅行中にさまざまな話をして、価値観も私と似た部分を持っている人だと確信しているからです。
参考 : 我有さんと私が一緒に所属しているエンゲージメント・ファーストのメンバー紹介ページはこちら
ということで、先ほど我有さんのセッション資料をシェアします:
(上記の埋め込みファイルがうまく表示されない方はこちらからご覧ください。 )
質疑応答も含めて30分と言う短い時間だったこともあり、資料自体はシンプルなものになっています。 でも、その分メッセージは明快で分かりやすいものになっていると思います。
ここで、キーメッセージの「幸せの国デンマークで大事にされていると感じたこと」を少し解説します。なお、これは私の視点での解説なので、資料作成者の我有さんとは異なるところもあるかも知れません。
■ 個人が意思を持って学べる
まず最初にお伝えしておきたいのは、この後に出てくるものと合わせてこの3つ「個人が意思を持って学べる」「共創で社会を動かしていく」「無理せず暮らす」は、それぞれ独立したポイントでありながら同時に重なり合ってもいるということです。
資料では、1を表すものとして「フォルケホイスコーレ」を紹介しています。
私が考えるフォルケホイスコーレのポイントは「全寮制」であること、そして一定の年齢を超えていれば「無試験で誰でも入学可能」であることです。
これが意味するのは、個人の好みや意思が重要でありながら、同時に多様性の中で暮らしざるを得ないということ。つまり、2と3に書かれている、共同体として活動や暮らし方を学び実践するための場になっているということです。
今回、実際にフォルケホイスコーレを何年も運営して来た方に話をきく機会がありました。
私には、彼女がボソッと言ったこの言葉がとても印象的でした。
「自分らしさとか、国としてはデンマークらしさとか、そういうものだって別のものと触れあって影響を与えあうことで、より発展していくのよ。ただ、バランスは重要で、影響を受け過ぎないようにデザインすることが重要よ」
■ 共創で社会を動かしていく
マニフェストを「社会を動かす動力」にしていくとは、別の言い方をすると「自分のビジョンをオープンにして賛同者を募りコラボレーションを進めていく」ということです。
その際に、大きな原理原則は決めるけれど、具体的なやり方については各自が自身の学びや感性を活かせるようにするということです。それが私には「オープンソース」という考え方に直結すると感じられ、先日「デンマークのオープンソースとマニフェスト」というブログ記事を書きました。
「社会を動かす」という言葉は、場合によっては「そんなの大ごと過ぎて無理…」と感じさせるかもしれません。でも、「社会」が示すスケール感は、自分が決めればいいんです。
自分の身の周りが刺激され、大小はともかく何らかの動きが生まれたり、それが有機的なつながりを見せていれば、それは社会を動かしているということに他なりません。
「やってみてダメならまた考えればいい。変えられますよ。」 — これは今回じっくり話を聞く機会をいただいたデンマーク在住のマキタさんの言葉です。
参考 : コペンハーゲンで空気をデザインしているマキタさんの話
■ 無理せず暮らす
ポイントは「無理せず」です。
人によっても状況によっても、何を「無理」と感じるかは異なるところがあるでしょう。
それでも、「人が人らしくいれるのはなぜなのか」とか、「人らしい行動ってなんなのか」を考えれば、最近いろんなところで目や耳にする「HYGGE(ヒュゲ)」だったり「Well-Being(ウェルビーイング)」というところにつながるんじゃないでしょうか。
特にウェルビーイングが意味する「身体的・精神的・社会的に良好で、満足できる生活状態」の中でも、精神的と社会的な部分が強く意識されている(というか、もしかしたら「無意識にそこまで意識が届くようになっている」という表現の方が正しいかもしれません)のがデンマーク社会だと思うのです。
なお、資料の写真をさらっと解説しておきます:
- ロウソクが象徴的な仲間との語らいの時間
- 農民たちが共同で所有する、強風を生かす風車
- ビルの屋上でオーガニック野菜を育て、それをベースにした料理をその日居合わせた客が同時に一緒に食べるレストラン
- 家族ごとに「家」を持ち母親と一緒に暮らし、広い土地で自由に暮らしながら育っていく走り回って育って豚
いかがですか。
デンマークの価値観を感じられたでしょうか?
「いいなぁ、羨ましいなぁ」ではなく、どうすれば自分たちの生活にこれを取り入れられるか、ぜひ一緒に考えてみませんか?
Happy Collaboration!