Collaboration Energizer | #混ぜなきゃ危険 | 八木橋パチ

コラボレーション・エナジャイザーとは、コラボレーションの場を作り、場のエネルギーを高め、何かが生みだされることを支援する人

「パーソナリティ調査」ワークショプ - 自己認知と他者認知

あなたは、あなた自身のことをどれくらい理解していますか?

あなたは、理解している(あるいはしていない)あなた自身を、職場でどれくらい開示していますか?

 

しあわせをより強く感じながら仕事を続けていくには、より深く自分の特性を理解している必要があり、そしてしあわせをより多く感じながら仕事を続けていくには、より広く自分を開示していく必要がある。

-- ここ数年、「しあわせに働くこと」に強くこだわりを持ち、さまざまな取り組みや学習を続けてきた中で、私が確信していることです。

 

みなさんは、自分を開示することに、どれくらいの抵抗を感じますか? それはなぜ?

 

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先日、ブログでも以前紹介したことのあるIBM Kenexaの<職業的パーソナリティ調査>の結果を、チームで見つめるワークショップを開催しました。

参考: 大衝撃 – 職業的パーソナリティ調査の結果を開示します

 

このワークショプには、企画や構成デザインにスタートから関わらせてもらいました。

準備から当日のメイン・ファシリテーターまで中心となったのは、アセスメント・フィードバックを私に実施してくれたIBM Kenexaの製品担当者で、私の大切な友人です。そして当日私はサブ・ファシリテーターとして参加してきました。

ワークショップの内容については、下記のウェブ記事でその一部が紹介させいるので引用します。

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異能を融合させるキーワードは「メタ認知」〜植物×空間設計で革新に挑む、parkERsの組織マネジメント

それまでは、その人の強みばかりに焦点を当てていたんですけど、今年からは弱みや課題になりそうな性格上の特徴もすべてさらけ出して、いわば「裸の付き合い」をやりたいと思っていて。それで、ロースコアの部分も含めてお互いに見せ合うっていうワークショップをやってみたんです。

 

今回、ワークショップ途中に感じたいくつかのことを書こうと思っているのですが、まずは実際のワークショップの流れを見てください。

  • オープニング: ワークショップの趣旨説明
  • 個人ワーク: 自分を知る
  • グループワーク: 自分を知ってもらう/人を知る
  • おまけ: 組織として見えてくるもの

 

なお、ワークショップのデザイン段階ではいろいろと挑戦的なワーク案も浮かんでいたのですが、最終的にはとてもベーシックなところを深掘りするものにしました。

というのも、<パーカーズに一人で完結する仕事はなく、コミュニケーションによりチームが化学反応を起こしながらミッションに向かっていく>とか、<極端な凹凸のある尖った人間同士がそれぞれの極端なところを活かしあってこそ世界へインパクトを与えられる>であるとか、パーカーズのビジョンをこれまでの梅澤さんとの会話の中で何度も耳にしていたので、その世界観を支えるチームメンバー一人ひとりが、「自分と仲間の特性を自己認知とのギャップを含めてより深く知る」時間として深めてもらうべきだろうと考えたからです。

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ワーク1の「個人ワーク: 自分を知る」では、事前にしっかり見てきていただいていたご自身のアセスメントレポートに、改めてじっくりと向かい合っていただきました。

ただ「読む」というワークにするのではなく、選好の強弱が数値としてはっきり現われている自身の特性のうち6つに絞って意識を向けてもらい、自己認知と一致している点とギャップが出ている点を30分近くかけて見つめ直し、書き出してもらいました。

このワーク、「事前」と「見つめ直し」というところが、実は大きなポイントだったりします。

 

ほとんどの人は、アセスメントレポートというフィードバックを受けるとき、どうしても自分自身への評価を前に防衛本能や言い訳などの反射的なリアクションが出てきてしまい、なかなか理解を深めるところまでたどり着けないのです。

(私自身が典型的な例で、最初はショックの強さで半分くらいしか頭と体に染み込ませられませんでしたから!)

 

その状態では、「能力開発の方向性」という、Kenexaの職業的パーソナリティ調査についてくる自身の強みをより活かし弱みを補うための細かなアドバイスを、十分に活かせません。ここが一番おいしいところなのに。

ですから、アセスメントとの第一接触時の強い反応的なリアクションのフェーズを過ぎた後、改めてこうしたワークショップという時間を通じてレポートともう一度向き合って欲しいのです。

それが、はるかに深い自己認知へとつながります。

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ワークショップ後半では、数値としてはっきりと表れた自身の強みと弱みを6つを、チームメンバーに向けて発表していただきました。

そしてさらに、その中から特に気になっている自身の弱みを1つピックアップして、その理由とこれまでの自覚の有無、今後自分がそれにどう対処していこうと考えているかのプランを、一人2〜3分で発表してもらいました。

 

他のメンバーが発表をしている間、メンバーにはまず傾聴してもらいます。

さらに配布したコメントシートに、発表者の自己認識への印象が自分が思っていた通りだったかそれとも異なるものだったかを記号で書いてもらいました。また匿名で、発表者への感想やメッセージも添えてもらいました。

 

弱みを積極的に自ら発表する機会って、日々の中ではそうそうあるものではないですよね。

「そんなこと考えられない!」という人も少なくないのではないでしょうか。特に職場においては。

 

今回の参加者の一人が発表時に語ってくれたことなのですが、最初にレポートを受け取って一人で読んでいたときは厳しい仕事の真っ只中で、ネガティブな言葉ばかりが目に飛び込んできたそうで、否定的な感情が強くわき上がってしまったそうです。

でも、今回のワークショップを通じて改めて対峙してみると、そのときはネガティブにしか捉えられなかった言葉や分析が、実は特性の一要素でしかなく、それをどう強みに変えていけば良いかが書かれていたことに気がついたと。

 

自分の弱い部分って、テキストで見ると結構ショックだったりするんですけど、でもまわりのみんなは結構、「ああ、そういうところあるよね」っていう感じで、もともとそういうふうに見ている

-- これは前出のインタビュー記事で、パーカーズ 梅澤さんが語っている言葉ですが、私も本当にそうだなって思います。

 

そして、これは発表者によるかとは思いますが、弱みを発表し聞いてもらったときにある種のカタルシスというか、強い解放感や被受容感を覚えた人も少なからずいたんじゃないでしょうか。

こうしたレポートやアドバイス、フィードバックというものは、受け取る側の心の環境が整っていないと十分に生きないんですよね。

 

 

ワークショップの最後には、もう一つ「組織として見えてくるもの」という短めのおまけセッションをつけてみました。

チームメンバー全員の特性をずらりと並べ、全体としての特性を見てみる。そうすることでチーム全体の傾向や、自分の特性の相対的な位置づけを感じてもらおうというものです。

これも単純に「組織として特性の低い部分を補おう」というだけではなく、自分たちの強みがどこから来ていて、さらにそこをスーパーなレベルにまで突き抜け上げていくのには何が必要そうかなど、組織としての人材プランに活かすための支援ができるようになりたいなと思っています。

(とはいえ、これは組織が目指すものにより大きく異なるはずなので、公式化が良いこととも一概には思えませんが。)

 

なお、実はワークショップが終わった後に、もう一つのお楽しみがあります。

コメントシートは回収して、後日発表者ごとに自己認識と他者認識がどれくらいギャップがあったか、あるいはなかったかをフィードバックするようにしています。

チームとして誰が上手に自己開示できているかを見ることができ、また、コメントからワークショップ中の気づきとはまた違う自己に対する気づきを得ることができ、もう一歩さらに深いところに辿り着くためのお手伝いができていると感じています。

 

最後に、今回のワークショップの総デザインとメイン・ファシリテーターをやった友人の言葉を紹介して終わりにします。

 

数値に現れる特性は、その人の本質にとても近い部分ではあるけれど、それが本質そのものというわけではないと思う。そこに出てきたものにどう知恵やスキルで対応するか。そこで見えてくるものこそ、本当のその人じゃないかって思ってる。

それが伝わるようにデザインしたつもりだけど…伝わったかな。

 

一人ひとりに親切に寄り添いながら進んだワークショップで、とても私にはできないなって思いました。うん。きっと伝わってる。

  Happy Collaboration!