Collaboration Energizer | #混ぜなきゃ危険 | 八木橋パチ

コラボレーション・エナジャイザーとは、コラボレーションの場を作り、場のエネルギーを高め、何かが生みだされることを支援する人

…の現実と理想

 

今回書きたいことを端的に。先に。

「そんなの理想論だよ」ってつい言っちゃうことあるけど、理想をきちんと共有するのってすごく大事じゃない?

 

■ フードロスの現実と理想

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「でも、"さあみんなフードロスしないように、出ているものは全部食べきりましょう!"って、問題の根本を見ていないじゃないですか。」

あるイベントの懇親会で、友だちにそっと言われました。

美味しいパーティーフードが提供されている、イベント懇親会のよく見る風景。

「ただいまフードロス撲滅運動実施中です! さあ皆さん残さず食べ切っちゃいましょ〜っ!」って、おれもよく声かけしている。こういう場って食べ物が残りがちだから。

でも、彼女の言葉にハッとしました。うん。理想からはほど遠いね。

 

理想は、その日に本当に必要な量だけが提供されること。

「さあさあもっと食べて!」ってやって残さず食べることで、フードロスを発生させることは防げる。で本当の理想は、貴重な資源を必要以上に消費しないことだよね。

いろんな条件や手間暇を考えると主催者側にはとても厳しいし、現状では非現実的という結論になることもあるだろうけど、それでも、理想に少しでも近づける方法がないかを考え続ける。フードロスだけじゃなくて、過剰供給も防ぐような方法まで考えようってスタンスは忘れないように。

「これで良し」の先に、もっと理想的な形があることを知っていることが、未来を変えると思うから。

 

利己的な遺伝子の現実と理想

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「そろそろヒトも、個である"わたし"よりも先に"わたしたち"を考えるようにできないものか。植物を見ていると、個として小賢しく考えているのではないような気がする。」

先日参加した原研哉氏の講演で、彼がQAタイムに答えていた言葉です。

なるほどたしかに植物の多くは個よりも種として生き延びることを選んで進化してきたようです。そしてアリやハチなどの昆虫も、個よりも種やコロニーを優先して進化してきた生き物ですね。

 

「哺乳類という生き物は、自己のコピーを増やして未来に残すことを目的とした遺伝子を持っている。そしてその遺伝子を持ったモノだけが、時代の淘汰を乗り越え現在まで生き延びている」という説を聞くと、「うむ。そうかそうか」と納得して「ヒトってシンプルだな」なんて思うわけです。

「でもそもそも、地球温暖化が進んでヒトが生活できないような状態になったらおしまいじゃん。」

-- 気候危機に対して活動したり考えたりしているヒトは、大概がこう考えているんだと思うんです。でも、個の遺伝子の発展は大いに結構だけど、それを続けるには続けられる環境があることが前提条件ですよね。

 

哺乳類には無理なのかなぁ? と思っていたら、先日放送されていた『長寿ネズミ 健康の秘密を解明』という番組で、ハダカデバネズミがコロニーを優先する「真社会性動物」だということが紹介されていました(真社会性動物って? 方はこのページが分かりやすいかと: 『【よく分かる】真社会性動物ってなに?』)。

というわけで、「ヒトは哺乳類の遺伝子の容れ物だから、個よりも環境や地球を大事にするっていうのは無理だよ」で終わらせず、ヒトと生き物と地球の調和っていう理想を常に目指していきたいなって。

 

■ 会話と民主主義の現実と理想

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「強烈な外圧と危機以外で、これまで変わったことがないのが日本という国…寂しいけどそれが事実。」

とある集まりで、「環境と対話」を長年研究されてきた方が言われていた言葉です。

この言葉を聞いたあと、「民主主義に必要なものと、それを支える会話に必要なもの」についていろんなことが自分の頭の中をぐるぐると巡りました。

 

  •  他者に影響され過ぎず自分の意見や考えを持てること。必要な時にはそれを発信しようとすることができること。
  •  自分とは異なる、あるいは理解できない意見や考えにもオープンであること。それらに敬意を払い、大切に取り扱えること。
  •  自分自身を変化させる用意があること。決定が自分の意見や考えと異なったものであっても、ある程度は尊重して行動できること。
  •  他人の発言も自分の発言も、大切に取り扱われていることが確認できる透明度があること。決定事項がどのように運用されているかが、いつでも確認できること。

こういう風にならないと、民主主義って根付かないんじゃないかな? 「それはあなたの民主主義であって、わたしの考える民主主義とは違う」と言われるかもしれないけれど。

 

理想主義的過ぎると思われるかもしれないけれど、「現実にはそれは無理だね」って言葉で終わらせられるの飽きた。

同調圧力が強過ぎる社会を変える方法とか、まったく変わる気のない危険人物をリーダーの座から引き摺り下ろすとか、不透明性を支持し守ろうとする人々に退場を迫るとか…。

どういう行動や選択をすれば理想に近づけそうか、その方法を考えたり、チャンスを見つけたときには行動に移すとかしたいよね。それが未来を変える。

 

Happy Collaboration!