Collaboration Energizer | #混ぜなきゃ危険 | 八木橋パチ

コラボレーション・エナジャイザーとは、コラボレーションの場を作り、場のエネルギーを高め、何かが生みだされることを支援する人

パネル・ディスカッションで話したこと/話しきれなかったこと

 

先週13日の金曜日、関東IBMユーザー研究会主催の「ITソリューション・セミナー」で講演とパネル・ディスカッションをさせていただきました。

いつも通り楽しく話させていただきましたが、今回は、とりわけパネル・ディスカッションがおもしろかったです。

パネルはこれまでにも何度かやっていますが、今までで一番充実感がありました。やってる側がこれだけ楽しかったんだから、きっと会場の皆さんにも良いライブ感が伝わったんじゃないかと思っています。

というわけで、今後のために、パネル・ディスカッションの成功要素として大事だと感じたことを書いておきます。

そして、セミナーに参加いただいた方から会場やFacebookで「これを話して欲しかった」というリクエストをいただけた(ありがとうございました!)ので、「もっと話しかったこと/話しきれなかったこと」も書こうと思います。

まずはそちらから。

パネリストとしてもっと話したかったこと/話しきれなかったこと

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●どんな立場の人間が社内SNSの推進に向いているのか

社内ソーシャルを本格的に進めていこうとすれば、人事や総務、法務、広報、情報システム、経営企画など、さまざまな部門の人たちの協力が欠かせません。

「どんな立場」というのが主管部門はどこが? という意味であれば、社内の多くの部門とつながりを持っている部門が望ましいでしょう。

さらに、社内ソーシャルがさまざまな問題を解決するツールであることを考えれば、社内のいろいろな相談事が集まってくる部門がよいと思います。

また、「個人」を軸に考えると、ソーシャルウェブの可能性を深く信じていて、折れない心を持っている人にやってもらうのが一番だと思います。

いろいろ、横槍が入ったりうまくいかないことがあったりということも多いものなのですよこれが…。ということで、ソーシャルを活用してメリットを体感している人が社内にきっといるはずです。その方に参加してもらいましょう。

社内SNSをどういう用途・業務で利用していけばよいか? 継続的に利用させる工夫は?

社内ソーシャルは道具です。料理で言えば煮る・焼く・炒める・揚げる・蒸すなど、いろんなことに力を発揮してくれる万能型の道具です。

ですから、適応する用途・業務を考えるときには、プロセス改善、コミュニケーション改善、人材育成、イノベーション開発などの、解決すべき社内のさまざまな問題に適用していきましょう(そうじゃないと必要性の高さも分かりづらいですし)。

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「継続的に利用させる工夫」もいろいろあると思いますが、本質的には、日常的/定期的に活用でき、便利で有用な道具だという事を実感してもらえばいいわけです。

例えば、ソーシャルの一つの強みはフィードバックがもらいやすいことですよね。なのでこれまで一方通行で終わってしまっていた日次や週次の業務をソーシャルベースに置き換えてみてはどうでしょうか。

ソーシャルの面白いところは、推進する側が想定していなかったような使い方がユーザーの間から出てくるところ、「人の数だけ使い方がある」ところでもあったりします。

デキる社員の行動を自発的に真似る社員や、やりっぱなしの仕事への新たなモチベーションを見つける社員などが出てきそうですよね。

●社内ソーシャルは日本企業の風土や気質にマッチするのか。また、マッチするように風土をどう変えていけばよいのか?

まず、「日本企業の風土や気質」って一括りにできるものでしょうか?

そして、その風土を変える必要があるなら、どう変えたいのでしょうか?

――文化や風土の話は、目指すものをはっきりさせて考えないと、漠然としたままに終わってしまうものという感覚が私にはあります。

「シャイなのか、なかなか自ら手を挙げて発言しない」「人間関係が分かるまでは会話に参加しようとしない」

――それは、その方が心地よく過ごせる、あるいはそうしないと痛い目にあうのではと思わせる社内だからでは? そして、それをしょうがないと思わざる得ない環境だからではないですか?

社内ソーシャルはオンライン上の職場です。オフラインと同じ職場の仲間がいる場所です。

「社内ソーシャルに行ったら、急にみんな人が変わったように積極的になる」――そんなわけないですよね。

オフラインとオンラインの職場は地続きです。積極性が足りない、自発的な行動がもっと必要だということなら、ソーシャルだけではなくオンラインとオフラインの両方で取り組みましょう。

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なお、風土や気質を考える上では、「習慣的性格」と「役割性格」という心理学の考え方が参考になるのではないでしょうか。

人、物、環境といった社会との日常的な関わりによって作られるのが「習慣的性格」で、現在の役割や立場に応じて場面ごとに現れるのが「役割性格」とされていて、共に後天的に身につけるもの(この2つよりも奥深いところに、先天的に生まれ持った「狭義の性格」がある)とされています。

「日本人や日本企業の特性」としてよく耳にする消極性や慎重さというのは、これらの習慣的/役割的性格を企業が自分たちにとって都合の良いものとして利用し、さらに同調圧力なども便利に使ってきた結果なんじゃないかという気が個人的にはしているのですが…ちょっと言い過ぎかな?

この話はまた別の機会に。

■パネル・ディスカッションの成功要素

●マイクを持ったら1分以内に話終える

「伝えたい」って気持ちが前面に出すぎてしまい、ついつい「話が長くなりがち」なんです、私…。いや、これって私に限らず、パネラー一般の傾向な気もします。

限られた時間にいろいろ詰め込もうとしすぎて全体のリズムが悪くなり、結果セッションとしての盛り上がりにかけるというケースが多いかな、と。

ということで、今回「マイクを持ったら1分以内に話を終えるというルール」を事務局側に申し出て、各スピーカーに周知してもらいました。

そのほうが大事なところにフォーカスが当たるはずだし、しゃべり足りないところや伝えきれなかったところは今回のようにブログなどで保管すれば良いわけですし!

●ポジションを明確にして理解しあう/会場を代表したパネリストに参加してもらう

モデラーとパネリストがそれぞれの専門性や経験を理解しあっているのって、やっぱり大事ですね。

ディスカッション前にセミナーのスピーカーをしている人は良いのですが、ディスカッションから参加されるパネリストにも最初に「今日は、会場に来ているまだソーシャルを実践していない企業からの参加者を代表しています」と自己紹介をしていただき、その視点から質問やコメントをいただけたので、自分の中で何を答えれば良いかが明快で、非常に話しやすかったです。

そして、パネリストが話しやすいということは、言わんとすることも伝わりやすかったんじゃないでしょうか。

モデラーにきちんと準備してもらう

とても初めてとは思えない見事なモデラーぶりだったのですが、終了後お話を聞いたところ、やはり相当しっかりと準備をして臨まれたそうです。

一緒にセッションをやっていて、きっとそうなんだろうなと思っていましたが、やっぱり伝わものですよね。

…と、偉そうに言いたいわけではなくて、「モデラーをやるときはきちんと準備しなきゃダメだぞ!」と、自分に対する言い聞かせです。

最後に、貴重な機会を与えてくれたセミナー運営チームの皆さま、そして一緒にパネル・ディスカッションをやっていただけたJFEスチール 原田さん、三菱UFJリース 鈴木さん、花王 板橋さん、そして最近名コンビ(?)となってくれている行木さん、本当にありがとうございました!

Happy Collaboration!