Collaboration Energizer | #混ぜなきゃ危険 | 八木橋パチ

コラボレーション・エナジャイザーとは、コラボレーションの場を作り、場のエネルギーを高め、何かが生みだされることを支援する人

なぜ僕らはもっとたくさんもっと賢く発信するべきなのか

 

先日、「人間と人工知能による協創」というテーマで、ちょっとしたワークショップをやらせていただく機会がありました(参加いただいた皆さま、ありがとうございました!)。

今日は、そのとき「ああ、これって人工知能に興味を持っている人だけの話じゃないな」と感じたことを書きます。

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ところで、皆さんは人工知能と聞いてどんなものをイメージしますか?

すでに実用化されているものでは、ソフトバンクのPepperやアップルのSiri、IBMのWatsonなどがおそらく最も有名なものかと思います。そして実用化はまだこれからですが、最近はGoogleの「DQN」がそのネーミングの素晴らしさもあり大きな話題になりましたね。

参考: ITpro Report 『脳に挑む人工知能』

この人工知能ですが、人によって可能性やそれがもたらすもののイメージは、相当異なります。

例えば、「シンギュラリティ」という人工知能が人間の知性を超えるというタイミングまであと30年と言われても、まったくリアリティーを感じないという方たちがいる一方で、技術的にはもっと早く到達できるものの、世論や法整備が追いつかないのでそれくらいをかけようとしているのだという方々もいます。

そして、シンギュラリティを、人間に大きな災いをもたらすものとなるだろうという「破滅の足音」として捉える人もいれば、反対に、これまでに人間に課せられていたさまざまな制約を取り払うものとして「よりすばらしい世界へのドア」と見る人もいます。

シンギュラリティが来るのか来ないのか、そして来たときに何がもたらされるのか。

信じる信じない、意識するしないにかかわらず、私たちの日々の暮らしの中にある程度がっつり人工知能が入ってくるのは間違いないでしょう。

そして、未来がどんなストーリーであっても、今の私たちが取るべき重要な事は変わりません。それは、私たちは、もっとたくさんもっと賢く発信をする必要があるということです。

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今、すでに多くのソーシャルウェブ上のデータが、さまざまな他のデータと組み合わされて、日常生活に関係するあらゆるものに使われるようになってきています。

ソーシャルウェブで創出されたさまざまな行動や意見が分析され、ありとあらゆる業種・業界で、企業活動に用いられるようになっています。

今、こうした活動の中心には、まだ人工知能たちは入ってきていません。

現在は、まだまだこうした活動の中心にあるのは、「データサイエンティスト」と呼ばれるような人たちの頭脳です。ごく一部に人工知能が使われているとしても、その役割はとても小さなものでしょう。

でも、人工知能たちが、今後さらに一弾も二弾も上のレベルの仮説を立てる力や効果的な検証方法を身に付け、トライ&エラーをものすごいスピードで回していく思考体系を手にすれば、彼らの役割が大きくなっていくことは間違いないでしょう。

それが「破滅の足音」であれ「すばらしい世界へのドア」であれ、人工知能が果たす役割が大きくなっていくことは間違いないはずです。

でもそんな人工知能も、上のレベルに行くために利用しているデータは、現在の人々の行動データであり、ソーシャルウェブ上で飛び交う意見や共感なのです。

いわば、私たちの今の日々の活動が、そのまま人工知能たちの学びの教材になっているということです。

そう考えたら、未来の人工知能と人間の脳の協創を成功させるために、今私たちがすべきこと、取るべきアクションは明白ですよね。

そう、もっとたくさん意見を発信すべきです。

もっとたくさんの視点があること、もっといろいろな感情がうごめいていること。もっと楽しくて嬉しい経験をしたこと、もっとつらくて悲しい目にあったこと…

こうしたことが私たちにとってどれほどの意味があるのかを、人工知能たちに学ばせなければいけないのです。

残念なことに、人工知能たちが使うアルゴリズムというものたちは、今のところまだ「空気を読む」ことはできません。

いずれ、行動データからその裏側にあるものや背景を推察することはできるようになるかも知れませんが、まだまだその域には達していません。

そこにあるもの、外に発信されたものだけが、彼らの学習材料で、データという形になっていないものからは彼らは学べないのです。

そういう学び方しかできない彼らが、今度どうやって成長していくのか。

今、私たちはとても重要な岐路にいるのかもしれません。

「破滅の足音」になるのか「すばらしい世界へのドア」になるのかを決めるのは、実は現在の私たちなのではないでしょうか?

ちょっと説教じみた話になっちゃいましたかね。

でも、この視点をもっと多くの人に知ってもらいたいです。

Happy Collaboration!