Collaboration Energizer | #混ぜなきゃ危険 | 八木橋パチ

コラボレーション・エナジャイザーとは、コラボレーションの場を作り、場のエネルギーを高め、何かが生みだされることを支援する人

2023年(少なめ)読書棚卸し

今年は読書量少なかったよなー。きっと例年の3/4くらいかな? と思いつつ数えてみたらドンピシャ。74冊でした。エディンバラで暮らしていた2カ月半の間、1冊しか読まなかったからね。

ということで、例年よりもグッと少ない中から、特に印象に残った本をピックアップして2023年の読書を振り返ってみます。なお、「おれが読んだのが今年」なだけなので、むかーし出版された本なんかも混ざっていると思います。

 

『夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く』
奈倉 有里 著

note.com

30の断片的な時間や出来事が、平和と不安と騒乱を見事に表す。…おれも、もっと言葉に誠実でいよう。いつか言葉の魔法を手に入れられるように。分断する言葉よりもつなぐ言葉を。

まず、ひとりの女性が、「アルメニア人が殺されるなんて世も末だわ、キリスト教徒が殺されるなんて!」と嘆いた。ロシアではソ連崩壊後、急激に宗教の復権がなされ、ロシア正教が事実上の国境となっている。しかし「キリスト教徒が殺された」という嘆きには、別の宗教――当時のメディアで朝から晩まで騒がれていた「イスラム教」への意識が感じられ、では殺されたのがイスラム教徒であればこの人はなんとも思わないのだろうか、と思っていたところで、別の初老の女性が「つい最近までは同国人だったのよ!」と続けた(…)すると私のすぐ側にいた教師風の中年男性が「そもそもロシア語を学んでいた青年だろう、それなのに殺されるなんて」と主張した。途中で、私と目が合った(…)そのとき、小柄なおばあさんがひとり歩み出て、言った――「みんな、なにを言ってるの? キリスト教徒だ言語だっていうなら福音書を読みなさい――すべての人類は兄弟なの、すべての、あらゆる人が!」と。それきり、誰もなにも言わなかった。

 

『私がつかんだコモンと民主主義』
岸本 聡子 著

www.shobunsha.co.jp

「杉並区長になる前からずっとファンだったんだよね」といつも自慢してしまう、現杉並区長の岸本さんのこれまでにの本。ますますファン度が上がりました。かっこいいなぁ。

国家的保護主義の危険性や旧ソ連的なトップダウンの計画経済のアンチテーゼとして、個人の自由と競争を出発点とする自由主義が広く深く人々に支持された理由を無視することはできない。人は自由を希求する存在だし、私もそうだ。ただ誰にとっての自由なのか、少し慎重に見極めなくてはいけない。自由に移動できるのは国際資本だけで、労働者や家族は国境を容易に超えられるわけではない。ビジネスをしやすくるためにどんどん国境を低くしてルールが変えられていくのに、国際的な税金や最低賃金や環境規制といった、環境や人を守るルールづくりはいっこうに進まない。

 

『ノーマル・ピープル』
サリー・ルーニー 著、山崎 まどか 訳

www.hayakawa-online.co.jp

2人のどちらかに、もっと決定的な酷いことが起きてしまうのじゃないか、それが次のページなんじゃないか…そんな不安に付き合いながら本を読み進めたのは、なんだか久しぶりな気がする。

残酷さはその被害者だけではなく加害者も傷つけるが、後者が負った傷の方が深く後を引く、マリアンがそう考えるのは初めてではない。ただいじめられただけで人間は自分の暗部をのぞきこんだりはしないが、でもいじめた側はその行為によって一生忘れられないような自分の一面を知る。

 

『学校で育むアナキズム
池田 賢市 著

www.shinsensha.com

「フランスにおける移民の子どもへの教育」の実践の場から築き上げられた、「教育と学校の見つめ直し」に溢れた本。直接お話聞いてみたい。

「自分の意見を言う」ことを重視する教育実践は多い。特に、民主主義を大事にする意識の下で実践しようとすれば、なおさら強調される。しかし、もしそれが、「ちゃんと自分の意見を言わないと置いていかれるぞ」という意味だとすれば、どこかの段階で「声の大きい者が勝つ」という発想に近づいていってしまうだろう。つまり、「意見を言う」ことを大事にした実践が、安心して話を聞いてもらえるということではなく、「何も言わなければ、誰もお前のことなんか気に留めてくれず、ものごとはどんどん決まっていってしまうぞ」という弱肉強食の、一瞬も気を抜けない環境を肯定していくことになってしまう

 

『みんなの「今」を幸せにする学校』
遠藤 洋路 著

bookpub.jiji.com

「日本の教育は周回遅れもいいとこだ」って言葉を聞き飽きて、実践している人の言葉とアイデアとアクションを聞きたい人に超おすすめの一冊。

「すべては子供のために」という言い方があります。「組織としての学校」に関してはそのとおりですが、「個々の教職員」に関してはそうではありません。学校は子供のためにつくられた施設ですから「すべては子供のために」でいいのですが、教職員は全人格が子供のために存在するわけではありません。そこを区別しなければ、働き方改革はできません。

 

『コミュニティの幸福論 助け合うことの社会学
桜井 政成 著

book.asahi.com

遅すぎる出会いな感じ。トロントでの暮らしが言及されるシーンの多くに、「おれもバンクーバー暮らしの時代にもっと観察しておけばよかった」と思わされます。

「当事者ではない私」が他人のまま、生きづらさの問題(あるいは社会運動)に関わることで紡ぎ出せれる小さな物語もあるのでしょう(…)「当事者」という型通りの言説に回収されない、一人ひとりのかけがえのない固有性をもった小さな物語の共有(シェア)と、それによる互いの自己の捉え直し、それこそがコミュニティの中での生きづらさの解消、あるいは緩和する可能性をもっていると言えるのだと思います。

 

『ネガティヴ・ケイパビリティで生きる ―答えを急がず立ち止まる力』
谷川 嘉浩 & 朱 喜哲 & 杉谷 和哉 箸

sakurasha.com

陰謀論とナラティヴ」「アテンションエコノミー」「徳とプライバシー」について、3人が立ち止まって周囲をじっくりと眺めてから話し始める一冊です。

政治学を学んでいる北欧の大学院生二人に、「北欧と比べて日本の政治教育はダメだ」みたいな話題をふると、「カズヤの話もよくわかるんだけど、私たちは政治しか共通言語がないところもある」と言うんです。
まず、「昨日の○○って番組見た?」みたいなのと同じノリで政治の話をしていて、必ずしも深いことを話しているわけではないし、受け売りも多いんだと。政治っていうのが、いい意味でも世間話の一つになっているから、ジャパニーズが思っているほど、極端に優れた何かが展開されているわけではない、と彼らは苦笑交じりに言うんですね。これは、結構いい指摘だなと私は思ったんです。

 

『両手にトカレフ
ブレイディみかこ

www.poplar.co.jp

この本を読むまで、金子文子にもケイ・テンペストにもブレイディみかこにも興味なかった。でも大丈夫。今からでもここからでも、こことは違う世界になるかもだから。

……ねえ、誰かに死にたいって言うってことは、助けてほしいってことなんじゃないかな(…)つまり、もっと生きていたいから、 そのために助けてってことじゃないの?

 

『15歳からの社会保障 人生のピンチに備えて知っておこう!』
横山 北斗 著

www.nippyo.co.jp

ふとしたはずみで「社会的弱者」となってしまった登場人物を、社会制度がいかにサポートできるかを物語仕立てで紹介しています。あらゆる学校図書館に置かれていて欲しい一冊。

自分や自分の身の回りの人の生活を守るために、一人ひとりが社会保障制度について知ることはとても大切です(…)個人が社会保障制度を知ることと同じくらい、いえ、それ以上に、国や自治体が社会保障制度の情報を必要な人に届け、利用しやすくするための取り組みを積極的に行うこと、つまりは社会保障制度を申請する権利の行使をサポートする施策が重要なのだ。

 

『エネルギーをめぐる旅――文明の歴史と私たちの未来』
古舘 恒介 著

エネルギーをめぐる旅――文明の歴史と私たちの未来eijipress.co.jp

自分がエネルギーについて、とりわけ歴史的な部分をどれだけ理解していないかを教えてくれる一冊。知識欲をたっぷりと満たしてくれます。

農耕、すなわち土地を開墾し田畑を整備して農作物を育てるという行為が意味することは何か。それはその地に自生している植物をすべて追い出して、その土地に注ぐ太陽エネルギーを人類が占有するということです。この壮大な試みは、人類がそのパートナーとなる植物を見つけたときに始まりました。中近東においてはムギ、中国においてはイネ、メキシコにおいてはトウモロコシと、いずれもイネ科の植物がそのパートナーに選ばれています。いずれも栽培が容易で、保存に長けるという特長がありました。

 

『私の半分はどこから来たのか――AIDで生まれた子の苦悩』
大野 和基 著

publications.asahi.com

「子どもには知る権利がある」と直感的に思うものの、それにまつわる現代の課題を自分はきちんと理解できているのだろうか? という疑問から手にした一冊です。

AIDとは、「Artificial Insemination by Donor」の略で、日本語に訳せば「非配偶者間人工授精」、つまり、夫のものではない精子を子宮に注入して、妊娠・出産する方法で、海外ではDI(Donor Insemination)と呼ばれることが多い。日本では1949年8月に慶應病院で、初めて提供精子による子供が誕生した。それ以来、もっぱら男性側に原因がある不妊カップルを救済するために実施されてきた(…)最近になって先進国においてAIDで生まれた人が声を上げ始めた。なかにはこの技術の全面禁止を訴える人もいるほどだ。すべての家庭に当てはまるとは限らないが、親がアイデンティティ形成の根幹にかかわる、最も重要なことで子供に真実を伝えていないため、家庭内に説明のつかない違和感や緊張感が絶えず漂っているという。

 

『カレーの時間』
寺地 はるな 著

www.j-n.co.jp

人は、相手の嫌な部分を憎みながらも愛せる。許容しないまま受容し愛することができる。そんな話。おれは寺地はるなが大好きです。

おれはむずかしいことはわからない。でも人を飢えさせる類のものはぜんぶ悪いことだ。戦争もそう、貧乏でもそう。ぜんぶいけない。

 

ぱちはらダイアログ71〜75

#75からもうひと月近く経ってしまいました。「5回やったらまとめ記事を書く」つもりなのですが、相変わらず毎回「で今回は何回目だっけ?」となってしまってついつい…。

ともあれ、ご登場いただいた田村 祥宏さん、あらい靖行さん、 森 啓子さん、鈴木 省吾さん、ほんっとありがとうございました!

 

ぱちはらダイアログ Vol.71 「民主主義と映像表現」田村 祥宏さん CEO, EXIT FILM inc.

最近かなりのハイペースでお会いしているEXIT FILM代表の田村さん。先月は「Learn by Creation (ラーン・バイ・クリエイション)」というワンデイ・イベントで田村さんがファシリテーターを務めた「映画的なシナリオづくり体験ワークショップ」に参加してきました。これが想像よりはるかに素晴らしかった!!

正直、短時間の「シナリオづくり」でこれほどまでに「意識下の自分」と「無意識下の自分」の違いみたいなことを深く考えられるとは思っていませんでした。

 

ぱちはらでも語っていますが、田村さん監督作品の上映もいよいよ間近ということで、おれは一足お先に、来週シークレット(?)試写会に行ってきます!! 楽しみ〜♪

 

 

ぱちはらダイアログ Vol.72「民主主義と地域政治」千葉県白井市市議会議員 あらい靖行さん

「命の恩人」といつもおれのことを呼ぶあらいさん。まあ大袈裟に言っているだけだけど、エピソードトしてはおもしろいよね(詳しくは本編で!)。

おれが一番印象に残っているハノイでのあらいさんは、結構夜遅く、小さなカフェみたいなところで3人で小一時間ほどおしゃべりしてたときのこと。あのとき「この人は人の話をすごく真剣に聞く人だな」って思ったのを覚えている。その人の「言葉」だけじゃなくて、「言おうとしていること」を聞き取ろう、理解しようとしながら聞く人だなーって。

 

それにしても、あらいさんがこれほどまでに「是々非々」を貫き、「誰がではなく何を」にこだわった「理想的な形での民主主義」を実践される議員さんになるとは…。

いやー、人ってやっぱりひとときの姿だけでは分かりませんな!

あらいさんの活動はこちらのサイトでご覧いただけます。正直、こういう議員さんがいる白井市の人が羨ましいです。

早く、「こういう議員さんじゃない方が珍しい」って世の中になって欲しいです。あらいさん、議員候補者や検討されている人へのそうした呼びかけもよろしくです!!

 

 

ぱちはらダイアログ Vol.73 「民主主義とリベラルアーツ」FICC inc. 代表取締役 森 啓子さん



ここのところいろんな場所でご一緒させていただいている啓子さん。カッコイイんだよなー、啓子さんはいつでもどこでも。憧れちゃう。

とはいえ、おれはそういう人にほどついついいろんなツッコミをして「あまり見せることのない姿」を見ようとしてしまうタイプなんだけど、啓子さんはやっぱりブレることなく啓子さんなのです。

やっぱり、生き方と仕事が無理なくスーッと一致している人はカッコイイです。憧れちゃう(あ、さっきも書いたねww)

 

おれは「経営」という言葉にどうしても「管理」みたいなものを感じてしまい、どうしても自分がそっち側に近づくことにこれまで抵抗感が拭えず来たんだけれど、啓子さんと話していて、おれにとっての「リベラルアーツ経営」が理解できた気がしました:

「人が自分自身のまま大切にしたい価値観を直視しながら働ける場所を守り広げること」

これはあくまでもおれ流の解釈だけど、それならおれもやってみたいと思ったし、とても大切な仕事だなって感じました。

いつか、なにかコラボしたいなぁ。そのためにも、おれはもっともっと「リベラルアーツライフ」を大切にした「リベラルアーツ日常」を磨いていかなくっちゃ。

 

 

ぱちはらダイアログ Vol.74 「民主主義と日本人」JustCo DK Japan 株式会社 VP & Head, Japan 鈴木 省吾さん

省吾さんともコラボしたい! おれは来月から2〜3カ月日本を離れてしまうけれど、帰ってきたら、人権に関するイベントを一緒にやりたい。

LGBTQ+、障がい者の雇用と生活支援、移民難民とその家族の支援、ホームレスや生活困窮者の支援、元受刑者の支援、死刑制度、同和問題(部落差別)…。挙げていけばキリがないけれど、これら一つひとつの根幹にある問題をしっかりと見つめて、みんなが「もっときちんと理解したい」と思える環境づくりが大切なんじゃないかと思っている。

もちろん解決策を考えて実施するのも大切なことは言うまでもない。でも同時に、「どうしてこういう問題が起きているのか。表層的なところだけではなく、その根幹にアプローチするにはどうしたらいいのか」を考えたくなる、さらには考えずにはいられない社会が必要なんじゃないかと思っている。

 

ところで、省吾さんとの出会いでもあったJustCo(ジャストコ)でのジェンダー平等イベントで、はたしておれはどんな「めんどくさい質問」をしたんだっけか?

ひょっとしてこれを見たら分かるかな? と思ったけど、残念ながら…。うーん、なんだったんだろう??

 

 

ぱちはらダイアログ Vol.75 「民主主義と戦争」

おれはすべての戦争に全力で反対します。そして、戦争を未然に防ぐためのすべての活動を全力で肯定します。

世界中の人が、自由と人権と平和をしっかりと味わえますように。

 

Happy Collaboration!

バックステージレポート |イベント「B Corp認証のこれまでとこれから」

この春、B Corp認証を取得したUMITO Partnersとハーチを中心に、B Corp関連のイベントを2回開催し、イベントレポートとして以下の2つの記事を書きました。

今回はその裏側というか、イベントそのものではなく、イベントの準備から実際にやるまでの間に思ったことや感じたことを書いておきたいと思います。

まず最初に、一番書きたいと思っていることを。

やっぱりいい仲間とやるリアルイベントは、サイコーに気持ちいい!!
一緒に作ってくれたみんな、心から本当にありがとう!!



 

「準備もけっこう大変だし、最近はいろんな人がいろんなタイプのリアルイベントをやってくれているし、別におれがやらなくてもいいよね。」

——コロナ禍でしばらくリアルイベントを開催していなかったおれは、すっかり「準備ミニマム」でも開催できるオンラインイベントの「楽チンさ」に過適応していました。

そんなある日、おれが前から大好きで、勝手に応援していUMITO Partnersとハーチという2つの会社が同時期にB Corp認証を取得したことを知ります。そしてなんと、その両社の認証取得を支援したのが、ちょっと前に友だちになったばかりの岡さんだということも。

そんな! 昔から好きで追っていたB Corpが、急におれの身の回りに溢れているだなんて! 

 

両社のB Corp認証をお祝いしたい。そして同時に、最近感じているB Corpに関する心配についても、多くの人と話し合うちょうどいい機会なんじゃないだろうか?

それならば、少し前から「一緒に何かコラボしたいね」と話していた廣畑さんと吉備さんともご一緒するちょうどいいチャンスでもあるのでは? そしてリアルイベントをやるなら、コロナ前から「おれが最も信頼しているワークショップデザイナー」と公言し続けている我有さんにも加わって欲しい!

…と、そんな感じでみんなに話を持ちかけてみたところ、全員からご快諾いただきました。

 

Facebookメッセンジャー・グループを作り、あとはみんなで内容を決めていこうと、以下を最初に投げかけたのが5月中旬です。

狙い | 「B Corpムーブメントをもっと『開いて』いくために」

B-Corp取得企業が日本に増えているけれど、リアルな変化を感じている生活者は少ないのではないか? 過渡期だから? 放っておいても今後変化していく?? 本当かな…。

『B-Corpが「一時のムーブメント」となり、「選ばれしものたちの秘密結社クラブ」的な存在となってしまって、なんら社会変革につながらない』 ——そんな最悪ケースシナリオを避けるためには何が必要か、そんな話をみんなでしよう!

要検討事項 | 規模? 日程? オンラインも同時開催? 懇親会? 告知ページ?

 

 

ほとんどの登壇者同士が「はじめまして」の中、みんながおれの投げかけに対して、自己紹介を兼ねてアイデアをどんどん出してくれました。

そして「ひとまず6月下旬をめどに準備を進めていこう」と決まったのが5月の下旬。

まずは日程と場所を決めようということで、廣畑さんが英治出版の「EIJI PRESS Lab」を、吉備さんが日建設計の「PYNT(ピント)」を使用できる候補日を確認してくれました。

 

ここまで決まった段階で、6月上旬の朝、参加できるメンバーで初めての「オンライン顔合わせ」を行いました。

ちなみに、この段階でおれはもうウキウキです。だって、自分が好きな人たちを集めてイベントをやるんですから、楽しいに決まってます。あとはみんながみんなのことをちゃんと知ることさえできれば、どう転んだってイベントは順調に進むはずです。

そんなわけで、この日は細かいことよりも、どんな人がどういう理由で参加しているかを知り合うことができればそれでOK。そして同時進行的に進んでいたメッセンジャー・グループでの話し合いで以下が決まりました。

 

◎ 集客準備&方法 - 既存のPeatixアカウントを活用して会場提供者がページ作成
◎ 参加費用は無償(飲食実費は参加者に任意で「投げ銭」してもらう。)
◎ オンライン配信は主催者の負担が増えるので今回はなし
◎ 全員主催者

そして何よりも、一番大切なグランドルールが決まりました。
◎ 登壇者全員が楽しみながら準備して、当日を迎えられるようにすること

 

そのためには、誰も必要以上に無理をしないこと——。やらなくても済ませられることはやらない。苦手なことは最小限にする方法を考える。自分だけでは大変と思ったらサポートをお願いする。

誰にも「どうして私がこれをしなくちゃいけないの…」と思って欲しくなかったのです。もちろん、おれ自身も。

そんなわけで、参加者向けのオンライン配信はしないけれど、登壇者は無理せず都合がつく人は会場で、難しければオンラインで登壇としました。

 

そしてここでちょっとこだわったのが、「せっかく2回開催するのだから、せめてどちらかには参加できるようにしたい」ということ。

なので、場所を変え、時間帯を変え(業務時間内の方が参加しやすい人と業務後の方がいい人がいるので)、せっかくならと曜日も別にして、以下日程での開催とすることを決めました。

  • 6月22(木)夜@恵比寿 EIJI PRESS Lab

  • 7月7日(金)昼@飯田橋 PYNT

 

一つだけすぐに決まらなかったのは「せっかくだから、興味関心度合いが高い人に来てほしい。でもどうやってそれを確保する?」ということ。

結局、これは申し込みの際に、「B Corpの何に興味があるのか。このイベントで何を聞きたいか」を必須項目として(選択式ではなく)フリーコメントで書いていただくことにしました。

個人的には、これは大当たりだったかなと思っています。おかげで、質問に対するそれぞれのメンバーの考えを事前に確認することができたし、それによってイベントの中心に何を置くかが、オンラインで話し合いを通じてかなり明確になりました。具体的には、以下が整理されました。

「イベント当日になにが語られるべきなのか」「メンバー内で、意見が共通しているところと異なっているところがどこなのか」「限られた時間の中で何を削ぎ落とすのか」などなど。

 

そしてここからは当日に向け、じわじわと話し合いを進めて中身を詰めていきました。

でもグランドルールがあったので、スローペースではあったけれど、変な焦りとかはなかったんじゃないかな。

 

迎えた当日、UMITO Partners編では藤居さんが、ハーチ編では松田さんが、事前確認をバッチリ活かしたプレゼンをしてくれました!

そして「なぜ、この会場でB Corpイベントをやる意義があるのか」という話をしっかり語ってくれた廣畑さんと吉備さん。

会場で参加者を置いてきぼりにしないよう、適宜B Corpの解説を差し込んでくれた岡さん。

思いつきでドンドン進行を変えるおれの面倒をしっかりと見てくれた我有さん。

そんなみんなのおかげで、おれは目一杯楽しみながら、会場の空気と自分たちのテーマをシンクロさせながら進行させてもらいました。

いやー、本当にいいイベントでした。

この写真、みんな笑ってていい感じで好き

いい人たちが集まっていい気持ちで仕事をすれば、自ずといいイベントになる。

必要なのは、登壇者全員が楽しみながら準備をして、当日を迎えられるようにすること。

再び自画自賛させていただきますが、久しぶりにそれを実感できた、と〜ってもいいイベントでした。このメンバーを軸に、また何かやれたら嬉しいな!

そしてこういう「誰も搾取されることのないイベントやプロジェクト」が、もっと社会にたくさん拡がるといいな!

 

UMITO Partners 藤居 料実さん
ハーチ 松田 共代さん
B Corp認証取得支援コンサルタント 岡 望さん
英治出版 廣畑 達也さん
日建設計(PYNT) 吉備 友理恵さん
脱炭素DX研究所(メンバーズ)所長 我有 才怜さん
みんな本当にありがとう!


Happy Collaboration!

社会とあなたをつなぐもの | ソーシャルビジネスのリアルとUMITO Partners 村上代表

ボランティアとして関わらせていただいている社会福祉法人さぽうと21さんに機会をいただき、先日20名ほどの大学生と大学院生、そして数名の新社会人たちと「ソーシャルビジネス」について一緒に考えるセッションを行いました。

support21.or.jp

 

お題をソーシャルビジネスとしたのは、彼らからのリクエストがあったから。

基礎的な情報から、どんなスタンスやアプローチが考えられるのかまで、スペシャルゲストと共に90分間(そしてその後のランチタイムも)「ソーシャルビジネスの根幹に何があるのか」を探ってみました。

この記事では、セッションの中から多くの人にとって有益であろうという情報と、おれ自身にとってのハイライトを、メモとして書いておきます。

 

ソーシャルビジネスの歴史と定義

ソーシャルビジネスには、世界共通の定義がありません。
ですから、あなたが思っているソーシャルビジネスは、あなたがそうだと思っているだけに過ぎないかもしれません。多くの人が活用しているWikipediaに書かれている定義も、ソーシャルビジネスの世界的権威であるムハマド・ユヌス博士が考える「一つの定義」に過ぎません。

ただ、それではなかなか話が進まないので、分かりやすく、かつ網羅的に説明していると思う2つの記事を紹介します(今回のセッションでも活用させていただきました)。

というわけで、ソーシャルビジネスには決まった定義はないものの、「社会性と経済性の両者を、持続可能な方法で追求する事業およびビジネス手法」という広義の捉え方が、少なくとも今の日本には一番しっくりくるのではないでしょうか。

 

ソーシャルビジネスの見極め方とB Corp

「グリーンウォッシュ」や「SDGsウォッシュ」という言葉を聞いたことがありますか?

簡単に説明すると、実際にやってもいないことをさもやっているかのように振る舞ったり、宣伝したりすることで、「あの会社、口ばっかりじゃん!」と信頼できない会社を糾弾する言葉です。

先ほど書いたように、ソーシャルビジネスには決まった定義はなく大変幅広いものです。とはいえ、自らをソーシャルビジネスと名乗る会社の中には「いくらなんでも盛り過ぎでしょ!」と言いたくなるような企業も存在しています。

 

たとえば、日本の厚労省経産省などの省庁が「お墨付き」を与えている企業認証制度や、国際機関がGHG(温室効果ガス)排出量の適正なコントロールを認めるISOや、公正な取引の実施を可視化するフェアトレードラベルなど、「自称ソーシャルビジネス」に役立つ認証制度は山のように存在しています。

でも、そこにラインアップされている企業が、本当に社会課題解決の背中を押しているのか。

「ソーシャルビジネスとの付き合い方」を考える上で特に難しいのは、特定の社会課題を解決しようとしていたり、特定の社会的規範を率先して推進してはいても、別の分野では社会にむしろマイナスのインパクトを与えてしまっている企業も存在しているということです。

それが意識的ではなくても「xxxxの解決にはxxxxxxが犠牲になっても仕方がない」というアプローチ自体を真剣に見つめ直さなくては、社会課題の種類や発生場所が変わるだけ…ということになりかねません。

 

そこで、個人的に強く推しているのが「B Corp(Bコーポレーション)」です。

ポイントは、「一点突破」ではなく、包括的に社会全体に公益をもたらす企業が認証される制度であるという点。以下は、B Corp認証取得支援コンサルタントの岡さんが、『B Corp認証のこれまでとこれから』というイベントで、その特徴を簡単に紹介したものです。

B Corpはアルファベットの「B」が目印の、世界90を超える国で約7,000社が加盟しているアメリカ発の国際的な民間認証制度です。
「消費者にも株主にも、取引先にも従業員にも地域コミュニティにも、社会で暮らす全員にとってよい会社」を認証するのがB Corpであり、「B」は社会全体に利する「公益」を意味し、それを重視して社会価値を発揮していることを証明した企業にのみ認証が与えられています。

ソーシャルビジネスとの付き合い方と「ソーシャルデザイン」

今回のセッションは大学生や院生と一緒にソーシャルビジネスを考えるものでしたが、おれが学生の皆さんに一番言いたかったのは「一足飛びに『ビジネス』で考える必要はない」ということでした。

先ほどソーシャルビジネスは「社会性と経済性の両者を持続可能な方法で追求する事業およびビジネス手法」と書きました。

でも、極端なことを言えば、一生何をしても使いきれないくらいの経済力を持っている人は「経済性」を気にする必要はありません。そしてできる時にだけやればいいと思っている人には「持続可能性」は気にしなくてよいものです。

つまり、学校を卒業して「ビジネス」が自分の生活に入ってくるからと言って、ビジネスを通じて社会性を追求する必要はないということ。「ビジネスは暮らしの中の一部」なのですから、周囲の人たちの日常生活を良いものとする「ソーシャルデザイン」の方法は、それこそ星の数ほどあります。

 

まずはソーシャルビジネスを考える前に、ソーシャルデザインを考えましょう。そして実践しましょう。その中で、ソーシャルビジネスとの自分なりの付き合い方が見えてくるはずです。

企業に所属しながらボランティアをやるもよし、プロボノとして活動するもよし、ソーシャルビジネス実践企業で働くもよし、ソーシャルビジネスを立ち上げるもよし。

自分が置かれた状況に合わせて、「今できることとしたいこと」のバランスを取りましょう。

 

スペシャルゲスト | UMITO Partners 村上代

スペシャルゲストとして登壇してくれたのは、今年4月に国内23社目の企業としてB Corp認証を取得した、株式会社UMITO Partnersの村上春二代表です。

村上さんは、「水産資源データと評価」「IUU(違法・無報告・無規制)漁業」「漁業就業者数の激減」などのキーテーマを用いて、日本の海産資源と漁師さんたちの現状を分かりやすく説明してくれました。

そして「おいしい漁業が、続く社会を。」というUMITO Partnersのコンセプトの実現に向けて、構造、行動、意識の3つにアプローチする取り組みについて、学生たちとのQAを交えながら解説してくれました。

当日はここでしか聞けない話なども多数ありましたが、UMITO Partnersと村上さんについては下記の記事が参考になると思うので、ぜひご一読ください。

村上さん、本当にありがとうございました!

 

ソーシャルビジネスに興味をお持ちの方へ

参加者からの質問への村上さんの答えの中で、おれが特に重要だと思ったものを1つ紹介します。それは「評価にしっかりと線引きを」というものです。

どんなに良いことをしていようと、どんなに社会的価値の高いことをしていようと、「そんなの意味あるのか」だったり、もっとキツい言葉を使って全否定されることもある。まるで存在そのものを否定するかのように無視されるということだって、社会では残念ながら珍しくないんです。

あなたが、他者からの評価にすべてを預けてしまっていたら、そのとき自らの行動の価値を見失ってしまうでしょう。きっと、モチベーションを保てなくなってしまうことでしょう。

だから、否定的な意見やコメントに対して、「そう思う人も世の中にはいるものだ」と、一定の距離を置く強さを身につけましょう。

 

最後に、おれもこの話に関連することを1つ書いておきます。

イノベーション・マネージメントや未来デザインの分野で、「ニッチ」「レジーム」「ランドスケープ」という3層の重層的視座(MLP)の話がよく出てきます。簡単に説明します。

  • ニッチは新しい取り組み。小さなスタートから誰かが続けている何かです。
  • ジーは仕組み。何かが有利になったり必然になったり、またはそれと逆のことが起きるルールや構造。
  • ランドスケープは枠組み。社会常識や世論を生みだす前提条件や社会背景の変化を指します。

 

イノベーションが起きるにはこの3つの階層とそれぞれの関係が重要で、ニッチだけをやり続けていても変化は起きず、レジームへの働きかけやランドスケープの変容に合わせる必要があるといわれています。

おそらく、それはその通りなのでしょう。でもおれ個人のスタンスとしては、ランドスケープの変容を感じ取ることができなくても、レジームが振り向くそぶりを一向に見せなくても、周囲の誰にも評価されなくても、「それでもこのニッチ自体が価値あることに違いはない」と、続けるべきニッチを見つけて実践する人こそが、もっとも強い人だと思うのです。

そしてそんなふうに結果に捉われ過ぎず、信じるニッチを続けてくれる人が世界にいてくれるからこそ、ランドスケープが変わり、レジームが対応しようとしたとき、イノベーションが起こり次の時代が始まるのではないでしょうか。

おれは、周囲の評価に振り回されず、自身の取り組むニッチの価値を信じて行動を続ける人や組織に惚れるし、応援し続けます。

 

Happy Collaboration!

自由のパラドックスとその反対側にあるもの

 

「自由とは何か? …って、それをそのまま考えるのではなく、ちょっと捻って自由の反対側にあると思うものを書き出してみましょうか。では2-3分で。」

そんな始まりだったろうか。いや、まったく違ったような気もする。ともあれ、おれは真っ先に頭に浮かんだ「戦争」という言葉を書いて、その後も浮かび上がってくるそいつらをポツポツと摘みあげた。独裁、拘束、均等、統制、窒息…。

「はい。じゃあ残り10秒でお願いします。」自由と同じ側に、小さく平和と人権を加えた。

自由⇔戦争、独裁、拘束、均等、統制、窒息…

 

この日の午前中、本当は映画が観たかった。

RISE: VOICE OF A NEW GENERATION — One Stone

 

Learn by Creation 2023」に参加しようと思った理由の半分弱は、この上映セッションがあったからだ。映画を観て、映画について人びとが何を語るのかを目にしたかった。

 

だが、ある程度予想していたものの、開始5分前に受付に辿り着いたときには、すでに整理券は配布終了となっていた。

「ええっ! このために来たんだぜ。観れないなら帰るよ、なんだよー! ちぇっ」とおれの前に並んでいたおっさんがスタッフに悪態をついていた。

ありがとうおっさん。醜い姿を見せつけてくれて。危なかった。あんたの醜態を目にしていなかったら、おれがやっちまっていたかも。ふぅ。

 

というわけで、参加できるセッションとしてしかたなく選んだのが『リベラルアーツ対話「自由=好き勝手」なの?』というもの。


正直、「自由=好き勝手なの?」というタイトルに若干の不安を感じていた。「そんなわけないじゃん…っていう、当たり前のことを対話するの? それはちょっとなぁ」と。

ただなぜか、他のセッションよりもこれが目についたんだよね。

とはいうものの、まさか、「自由=好き勝手なの?」と悩んでいる人を中心に対話が展開するのかしら…??

自分の自由を確保するためには相手の自由を認めざるを得ないのは自明でしょ。

3 layer structure of freedom

一番内側の自由は思想・思考の自由。それを他者に晒さない限り、誰にも一切関与させない自由がそこにある。

2層目は行動の自由。他者と接する部分。ここは社会の自由との兼ね合いで、どう「兼ね合わせるか」はあなたの自由だ。それが他者の自由を侵害しない限り。

一番外側の自由は社会の自由。直接的にこの自由をコントロールすることは誰にもできない。ただし、誰にでも意見する権利はある。それが他者の人権を侵害しない限り。

 

簡単に書けば、内面の絶対的自由と、外面の調整的自由と、社会の不自由がある。癪に障るが、自由は不自由の中にあるからこそ自由でいられるのだ。

(「よく分からない」という人がいたら、「寛容のパラドックス」をググってみてほしい。)

 

正解でした。

セッションは「自由」について語り合うというものではなく、「自分の思う理想の自由をLEGOで作ろう」というもの。そして3人組になって、自分の作った作品について語り、それぞれが感じたことを話し合うというものでした。

その後、今度は新しい相手とペアになって、勝手に解釈して相手の作品を説明するというもの。

そして最後に、全員が順番に自分の作品を解説しました。

 

これが、みんな良かった。

「自由=好き勝手なの?」みたいなところからはずっと先に進んでいたし、それぞれの方たちの視点が作品に灯っていました。自由の反対は「思考停止」「楽」「他者に決めて欲しい」「反応的」…。

おれの作品がこちら。

Free sells, but who's buying?

「自分の思う理想の自由を作ろう」ってお題に、なんだか「理想の自由」をと言われてそのまんまそれを作るのって、自由じゃないなと気が進まなかった。

そして日々、理想から離れ続けている身の回りの自由のことを考えたら、能天気に「理想の自由」を作る気もしなかった。

 

王冠を被った悪魔と握手する人

虫眼鏡とマシンガンを手にその姿を見つめる人

背を向け合ってお互い無関心な人

その枠から距離を取る魔法使い気取り

全体を見つめる目玉だらけのウォッチタワー

 

…自分が思っていたよりもずっとずっとペシミスティックな作品になった。

でも、別にそんなに悲観しているわけでもなくって。多分、そう思っているというよりは、危機感や焦燥感を共有したかったんだろうなって思う。

 

I'm running free yeah, I'm running free.

Happy Collaboration!

 

生物多様性×ビジネスのこれからを丸の内で考えた

8月7日の夜、「丸の内から考える生物多様性×ビジネスのこれから ~丸の内いきものランド調査報告~」というイベントに、パネリストのひとりとして参加してきました。

 

https://tmipguest230807.peatix.com/

パネル・ディスカッションはちょっと短めだったのですが、話しているうちにどんどん話したいことが溢れてきました。そして「案外いいこと言ったのではおれ?」という気もしているので、忘れないうちにここにも書いておこうと思います。

喋り過ぎました…

イベント全体

その前に、まずはイベントの内容について。
イベント全体の趣旨やIBMが有志で取り組む理由などについては、こちらをご覧ください。

 

そしておれにとってのこのイベントの主な目的は、以下の3つでした。

  1.  「生物多様性と企業に求められる要素」の理解を確認し、深めること。
  2.  取り組み内容とその結果、そしてインサイトを共有すること。
  3.  これからのアプローチ方法をみんなで考え、仲間を見つけつながること。

1は、NRI 野村総合研究所の漆谷さんが、包含的かつ分かりやすくお話ししてくれました。

2は、株式会社バイオーム創業者の藤木さんと多賀さんが、科学と情熱の両面から語ってくれました。

そして3は、竹中工務店の北野さんと戸田建設尾登さんが自社ビジネス領域を中心にお話ししてくれました。そしておれはちょっと違ったアプローチを含めてお話しさせていただきました。

 

LEAPアプローチ

1の、「生物多様性と企業に求められる要素」の「LEAPアプローチ」について、少しだけ触れておきます。

LEAPアプローチとは、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が提唱する、自然関連のリスクと機会を科学的根拠に基づき体系的に評価するためのプロセス:

L(Locate): サプライチェーン全体を対象に自然との接点を発見し、優先すべき地域を特定する

E(Evaluate): 自社の企業活動と自然との依存関係や影響を診断する

A(Assess): 診断結果を基に、重要なリスクと機会を評価する

P(Prepare): 自然関連リスクと機会に対応する準備を行い、投資家に報告する

TNFDは、①完全性の低い(劣化している)生態系、②生物多様性の重要性が高い生態系(いわゆる生物多様性ホットスポット)、③水ストレスがある地域、の3つを優先地域と定めている。

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が気候関連の情報開示スタンダードになったように、将来的にはTNFDに準拠した情報開示が主要な上場企業に義務化されると言われている。

LEAPアプローチとは・意味 | IDEAS FOR GOOD

 

おれが話したこと

それではここからはおれが話した内容を。

自己紹介チャート

EcoTeams@IBM on ポリネーターガーデン

  • 今回のイベントではIBMは「ハチ」をテーマにしたが、それはボランティアで環境への様々な取り組みを行う世界中の有志社員グループ「EcoTeams@IBM」が会社および家庭で「ポリネーターガーデン」の設置促准を行っているから。
  • ポリネーターとは、花粉を運ぶことで植物の繁殖を助けるミツバチやアブ、チョウや鳥などの動物たちのことで、ポリネーターは花の75%以上、人間の食料の75%近くの種の保存を担っているといわれている。
  • ポリネーターの代表格であるハチは、こまめに花蜜や花粉という食料や水を補給しなければ移動できない。なので丸の内のように距離間隔が空きすぎず花が咲いていることはとても重要だし、地域に花壇や植物がたくさんあることの意味は大きい(バイオーム多賀さんからのうけうり。)

 

「有志」での参加について | 「やらない理由」は本物か?

  • 何かの機会があり、それが自分の興味に関わるものであればやった方がいい。とはいえ、会社が絡んでくると、いろいろな「やらない理由」が頭に浮かぶことだろう。事業部やマーケティング組織を巻き込むのは簡単ではないし、越えなきゃいけないハードルは高いし、なんなら怒られるかも…。
  • 1つ提案したいのは、有志メンバーを募ってみること。同じような興味を持っていそうな人や、おもしろそうなことや企画物が好きな人に声をかけてチームを作ることを持ちかけてみよう。「1人も賛同者がいなかったら?」 …声のかけ方や時期が良くなかったのかも? ちょっと見直してみよう。
  • チームができたら、最初に頭に浮かんでいた「いろいろなやらない理由(時間が足りない…アイデアが足りない…勇気が足りない…ガッツが出ない…etc.)」の半分くらいは消え去ってはいないだろうか? 

 

やれば分かる | やるとつながる(つながりやすくなる)

  • 行動して参加することで、周囲に「やりたいこと」が可視化され、そこに「やりたい人」がいることが認知される。そうすると、「私も」「僕たちも」という同じ思いをした人たちが集まるきっかけとなる。
  • 次に「何かの機会」が会社に来たときに、「前例」であり「事例」として、話が自分たちにやってきやすくなる。そして受けやすくなる。もっと言えば、「何かの機会」を待つ必要はなく自ら機会を作って社内外を巻き込もうとしたってOK。
  • 「実行した」ということは「やれる」ということの証。次は、テーマを横にずらしてやるのもよし。規模を広げてやるのもよし。対象を変更してやるのもよし。ネットワークを広げて、チームを強くしていこう。

 

餅は餅屋。プロと手をつなごう。

  • 企業として、自社のビジネス領域と自然との依存関係や特性、地域コミュニティーとの望ましい関係を考えて、生物多様性に取り組もう。TNFDの「LEAPアプローチ」ももちろんいいのだが、積極的にプロフェッショナルとの関係性を深めることを検討してはどうだろう。
  • 自社だけでできることは多くはないだろう。他社やNGONPOと積極的につながり一緒に活動しよう。今回の「丸の内いきものランド」もそういった取り組みの一つ、あるいはきっかけだ。個人的に特にオススメしたいのは、科学と倫理の両面からアプローチする、いわゆる「クールヘッド・ウォームハート」な、バイオームやUMITO Partners、バードライフ・インターナショナルのような組織だ。
  • 今後、そうしたパートナー企業選定の指針となるものの1つがB Corp認証だ。環境保護や対策に力を入れていても、他の部分が「良くない」会社とは手を結びたくないだろう。環境はもちろん、コミュニティーやガバナンス、従業員などの点でも「ディーセント(「きちんとした」「適正な」)」で、公益性の高い企業だけが認証されている。
    日本ではまだ数少ないB Corp企業の1つがUMITO Partnersだ。

      

 

コミュニケーションへのスタンスとスタイル

1週間経ってもやっぱりもぞもぞしていて「書いてくれよ」って声が聴こえてきてる。

というわけで。

 

「視覚身体言語とコミュニケーション」という、インタープリターの和田夏実さん[めとてラボ]がリードされたワークショップに参加してきました。
以下、「だれもが文化でつながるサマーセッション2023」@東京都美術館のオフィシャルプログラムに書かれているワークショップの説明です。

和田夏実さんを中心にめとてラボのメンバーが実施する、感覚と身体性の再構築を考えるワークショップ。
「つたえる、うけとる、つたえあう」ことについて新たなコミュニケーションの在り方をみつけていく。手話に代表される視覚身体言語と、話すことを中心とする音声(書記)言語について知り、コミュニケーションついて考えていく。

 

「どうやらおれのコミュニケーションへのスタンスとスタイルは、特異性が結構高いみたいだな。」

2時間の間に3回ほどそう思う場面があった。ここではそれについて書いておきたい。

 

「何が」よりも「何を」

最初にそれを感じたのは、「どうにでも受け取れる」ような写真を見たときの自分の反応。

イメージとしてはこんな感じの写真。

さっき自分でテキトーに作ったのに、今、「何を伝えようとしているのだろう?」と考えはじめちゃったよ…!

 

ひと通り眺めたあとは、「何を伝えようとしているのだろう?」と、すぐに探しに行ってしまうのだ。

そして関連性やメッセージ性(っぽい)ものを見つけると、そこから「なぜこの表現を取ったのか」、「どうしてあれではなくこれなのか」を想像し、そこから「自分なら何を変えるか」にどんどんと独りでに頭が進んでいく。

 

ちなみに、数日後に「しゃべりながら観る(白鳥流・会話型美術鑑賞)ワークショップ」にも参加したのだが、このときも1時間のワークショップの間に2度ほど、脳内でストーリーがばばば〜っと展開していって、意識しないと周囲の話よりもそっちに意識が向いてしまいそうになった。

どうやら、みんなはそうでもないようだ。

 

「説明」よりも「表現」

次が、相手に見えないように、自分が手に持っているモノを説明して、それをデッサンしてもらうというペアワーク。

相手はデッサンするのだから、「木目調の三角形の立方体で、長辺が15センチくらいで短辺が7センチと5センチくらいで…」と説明的な描写をすればいいのだろうけれど、あまりそれをしたくない。

できることなら、それを触ったときのしっくりくる感じであったり、角のところをちょっと強めに押し当てたときの鈍い痛さだったりを話したくなってしまうのだ。

 

伝えたがりっぷり | おれを構成しているモノ

最後がグループワークで、細かい説明は一切なしで「あなたの世界を3つの言葉で書いてください」と言われ、それを見た数人からの質問に10分ほど答えていくというもの。

おれが書いたのは「文字」「音楽」「好きな人」。感覚としてはおれを構成しているモノとして頭に浮かんだ3つだった。

そこから周囲の人からの質問に答えていくんだけど、質問されればされるほど自分の中で「伝えたい」ことが明確になっていく。そして「芯に触れられるチャンス!」みたいな質問がくると、自分の中で「これだけは分かって欲しい」みたいな熱の入った答えを返してしまう。

自分が「伝えたがり」なのは知っていたけれど、思っていた以上の伝えたがりっぷりだった。

こちらは1人の参加者の方からいただいた、おれインタビューを元に書いていただいたデッサン。嬉しい。

 


 

終了後、参加者にこちらの冊子が配られた。

 

これがすごくおもしろくて、自分のコミュニケーションへのスタンスとスタイルについて、さらにいろいろと考えを巡らさせてくれるモノだった。

3カ所ほど引用を。

 

あなたの内言*の世界は、あなたが構築する世界認識や記憶の引き出し方。そこには一体どんな言葉やイメージがあるのでしょうか。

*内言…音声を伴わない自分自身の心の中で思考のための道具としてもちいる言語。対比として、伝達の道具、他者と会話するための社会的言語としての外言がある。

思考のための言語・内言語

 

通訳をするとき、その世界独自のルール・文脈を理解しなくては、意図や言葉の重み自体を伝えることはできません。新しい言葉はその分野にどんな発見をもたらしたのか、看護や保育、法律や技術、アートなど、各分野が重ねてきた文脈とは一体何か。そこに飛び込み、複合的な話者として通訳者自身も自分の世界を広げることが、通訳の可能性を広げていくことにつながると感じます。

あなたを取り巻く世界の言葉

 

言葉にその人の感情や想いが乗っかった瞬間、それは熱を持ちます。しかし、その熱々の感覚をつたえようとしても、通訳という別の身体を介してしまった瞬間、さぁっと冷えてしまう。それはまるで熱々の唐揚げが冷たくて硬くなってしまったときのボソボソさ。

温度について

 

おれは英語と日本語の通訳や翻訳をやることがあるんだけど、ワークショップの通訳が一番好きで、そして得意だと思っている。

それは、ファシリテーターと自分が同期して、自分の言葉のようにファシリテーターの言葉が出てきているように感じる瞬間が、わりと頻繁にあるから。

細かく見ていけば実際にはたくさんのギャップがあるのだろうけど、それでもファシリテーターとおれの熱が混ざり合って、「同じ芯」を掴みながら走っているような感覚になるのだ。

昔、バンドマン時代に何度かライブ中に感じた「ああ、今完全に1つの音になってるじゃん」だったり、スタジオでセッション中に感じた「お前の言わんとすること分かったぜ」みたいな、その感覚にとても近い気がする。

 

それからもう一つ、おれが自分なりにうまくできていると自画自賛しているのが取材やインタビュー記事の作成なんだけど、こちらもおれの中では翻訳をしている感じにかなり近い。

英語の文章って、一文単位でそのまま日本語にしていっても、読み手からするとなかなかピンとこないものも多くって、おれの場合は複数の文章をまとめてから訳したり、場合によってはパラグラフの位置ごと変えてしまうことも少なくない(なので、おれは「翻訳」とは呼ばず「ローカライゼーション」と呼ぶことが多い)。

 

取材やインタビューも同じで、一連の会話の中で相手から出てくる言葉やストーリーは、そのままの順番や組み合わせで書く必要はなく、その人の「熱」と、こちらが「前面に出したいモノ」を組み合わせて、一つの読み物としてしっくりするように造形していく。

そしてできるだけ、相手がこれまでまだ言語化しきれていないものを一緒に言語化するようにインタビューし、一緒に言語化するように記事にするのだ。

 

…と、なんだか自分のこだわりがよく分かる1週間だった。

おれはおそらく、「よい」通訳者でも翻訳者でも説明者でもない。ただ、「おもしろい特性を持った」コミュニケーターなのではないかと思う。

役に立つか? それはまた別の価値観の話。

条約と法律と憲法の関係性

 

条約と法律と憲法のそれぞれと、それらの関係性に対する自身の理解の甘さを改めて認識した。

「条約は憲法の下位にあり、法律の上位にある。」

まずはざっくりとそれを理解した上で、それでは条約とは具体的に一体なんなのか、そしてどのように結ばれるのか。
子どもたちにもちゃんと説明できるよう、きちんと自分の言葉で理解しよう。

ということで、以下、メモ書き。

 

学研キッズネット | じょうやく【条約】

国と国または多数の国どうしの間の文書による合意。日本国憲法第73条3項では,内閣が条約を締結し,事前または事後に国会の承認を得えることを規定している。

・コーチ

条約は,せまい意味では条約という名称でよばれるものに限定されるが,広い意味では協定・協約・議定書・宣言・覚書・交換公文などもふくみ,その効力に差異はない。

kids.gakken.co.jp

 

ベネッセ 進研ゼミ | 条約の承認と締結の違い & 憲法と法律の違い

【政治】条約の承認と締結の違いとは?

Q: 国会は条約を承認し内閣は条約を締結するとありますが,何が違うのですか?

A: 進研ゼミからの回答

国会が,内閣が外国と結ぶ条約を認め(承認),内閣が実際に外国と条約を結びます(締結)。
「直接,外国と条約を結ぶ」のは内閣です。
けれども,内閣が条約を結ぶにあたっては,事前に,国会に条約を結ぶことを認めてもらわなければなりません。

緊急でやむを得ない場合に限っては,事後に[=内閣が条約を結んだあとに]なります。

benesse.jp

 

【政治】 憲法と法律の違い

Q: 憲法と法律の違いは何ですか?

A: 進研ゼミからの回答

憲法は国の基本となる「最高法規」です。法律は国会が制定するきまりです。憲法に反する内容の法律は制定できません。

憲法

「国家がどうあるべきか」「どのように政治を行うか」や「国民の権利や義務」などを決める基本となる最高法規です。
日本国憲法は,第二次世界大戦後,連合国軍総司令部の指導のもとに作成され,国会で可決,成立しました。

・法律

法律は国会が制定するきまりです。憲法は日本に1つしかありませんが,法律には「民法」「刑法」「地方自治法」など,さまざまなものがあります。
法律は憲法で定められた基本方針に基づいて制定されますので,憲法に違反する内容の法律を制定することはできません。日本国憲法にも,「この憲法は,国の最高法規であって,その条規に反する法律,命令,詔勅(しょうちょく)及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は,その効力を有しない(日本国憲法第98条)」と定められています。

benesse.jp

 

三重県 | 憲法、条約、法律、命令及び条例の関係等について

条約と憲法の関係については、学説上、憲法優位説と条約優位説に分かれているが、憲法優位説が通説的地位を占めている。

条約と法律との関係については、条約は国際的な取決めであり、憲法が、条約の締結における国会の承認や条約の誠実な遵守を求めている(第73条第3号ただし書、第98条第2項)ことから、条約は法律に優位すると解する点で学説はほぼ一致している。

https://www.pref.mie.lg.jp/common/content/000945624.pdf

 

『友だちを助けるための国際人権法入門』申 惠丰 著

憲法には、第14条1項に、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」という法の下の平等の規定があり、ここには人種差別も含まれています。ただし、憲法は、直接的には、国務大臣や国会議員、裁判官などの公務員を拘束するもの(第98条)とされているので、公衆浴場の店主のような私人に対して、「憲法第14条1項を守れ」という直接の根拠としては使いにくいのです。

また、人種差別撤廃条約のような人権条約は、締約国に対して条約に定める権利を守るよう義務づけるものですから、やはり、私人に対して直接に「条約違反」を主張することは困難です。

 

「僕らは不親切で、お金を寄付しないしボランティアもしない」…のかな?

 

イギリスのチャリティー団体 Charities Aid Foundation(CAF)とアメリカの世論調査企業ギャラップが2010年から発表している「世界寄付指数」というものがあって、数年前に結構くわしめに調べたことがあったんだけど、ここ数年で認識を改めなきゃいけないほど結果が激変していた。

「ひょっとして、おれと同じような認識で止まっている人も少なくないのでは?」という気がするので、チャチャっと調べた程度だがメモを残しておく。

「僕らは不親切で、お金を寄付しないしボランティアもしない」…のかな?

 

世界寄付指数とは

「世界人助け指数」と表記されることも少なくないようですが、オリジナルは「The World Giving Index (WGI) 」で、最新版のレポートはこちら:

World Giving Index 2022 | A global view of giving trends

3つの調査項目の内容

「過去1ヶ月に以下3つの行動をしたか?」という以下の質問に「Yes」と答えた人の割合によってそれぞれの指数が計算され、それらの合計から総合指数とランキングが決まります。

  •  助けを必要としている他人あるいは見知らぬ人を助けたか(helped a stranger, or someone they did not know who needed help | 親切
  •  慈善団体に寄付をしたか(donated money to a charity | 寄付
  •  組織のボランティアに時間を割いたか(volunteered their time to an organization | ボラ

 

日本の観察(ランキング変動)

もっと細かく調べれば、見やすくステキなグラフとかありそうだけど、以下、パッと目についたものだけでもと…書き残しました(なお、調査は2013年からスタートしていますが、日本が対象に加わったのは2014年です)。

  • 2014年 | 日本は90位(135か国中)
  • 2015年 | 日本は102位(145か国中)
  • 2016年 | 日本は114位(140か国中)
  • 2018年 | 日本は128位(144か国)
  • 2020年 | 日本は114位(144か国)
  • 2021年 | 日本は114位(114か国)
  • 2022年 | 日本は118位(119か国)

 

日本に関する考察

2020年くらいまでの順位では、悪いなりに「そこまで悪くない」ものもあったんです

具体的には、[親切][寄付][ボラ]のうち、[ボラ]は中の中レベル、[寄付]は中の下レベルで、[親切]だけが下の下レベルだったんです。

それが、今では[ボラ]が下の上(84/119)レベルで、[寄付]も下の中(103/119)というレベルになっていました。[親切]が下の下(118/119)であることと併せて、3つの要素どれも上中下で言えば下です。

 

どうやら、変化のタイミングは2020-2021にあったようなのですが…何があったんでしょう?(順位は20年も21年も同じ114位ですが、調査対象国数に注目で(144→114)。)

 

残念ながら、おれには説得力のある洞察ができないのですが、皆さんはどう思われますか?

「みんな、慈善団体ではなく、寄付プラットフォームを通じて個人や有志団体にお金を寄付するようになったんです」とか、「組織に対してではなく、個人間でのボランティア活動をするように変わったんです」とかだったらいいんだけど…。でも…

 

ぱちはらダイアログ66〜70

最近はナンバリングもちゃんとできず、毎回「何回目だっけ今回?」とよく分からなくなってしまうのですが、どうやら先日の山本弁護士との「民主主義とLGBTQ+」は実は69回目ではなく、70回目だったのでした。

ご登場いただいた山本 大輔さん、川路 武さん、 伊藤 美希子さん、海野千尋さん、本当にありがとうございます!!

 

ぱちはらダイアログ Vol.70 「民主主義とLGBTQ+」 ゲスト: 山本大輔さん 弁護士 

個人的にかなりおもしろい話のオンパレードでした。この日、福岡地裁同性婚訴訟5件目の判決が「違憲状態」とくだされ、「4勝1敗」という結果になりました。

…と、この文章を読んで意味が分かる人は、かなり同性婚問題に理解が深い人だと思います。

それから、現在同性婚が認められている国は世界で34カ国ですが、ほとんどの国がキリスト教を主な宗教としている国です。それってどうして…? などなど、もちろんここで会話されていることは山本さんやおれの私見でしかありませんが、それなりの根拠や論拠を持つ「1つの見方」にはなっているのではないでしょうか。「違憲違憲状態の違いとは?」なんて話にも触れております。

(ところで、LGBTQ+関連で、アメリカでの話について昨日、こんなnoteを書きました。よかったらこちらもどうぞ: 



ぱちはらダイアログ vol.69 「民主主義と団地」 ゲスト: 川路 武さん 株式会社Goldilocks

団地コワーク・クラファンラストスパート中の川路さんに登場いただきました。ぱちはら登場のおかげで(笑)All or Nothing方式のクラファンは無事達成。おめでとうございます!

本編では、おれが不思議に思っていた「なぜ今、三井不動産をやめて起業なのか」を聞いています。おれはずっと「川路さんは、結構新しいことやおもしろそうなことがそこそこ降ってくる社員という状態をわりかし気に入っている人」だと思っていたので、正直ちょっと意外だったのです。

それから「なぜGOLDILOCKS(ゴルディロックス)なる、ちょっと(かなり?)分かりづらい社名を選んだのか」…みたいなことも。

実は、話している途中で「ええっ!」って驚いたけどスルーしたことが1つあって。川路さんっておれより全然若かったのな!

 

ぱちはらダイアログ Vol.68 「民主主義と住田町」 ゲスト: 伊藤 美希子さん (BICP、一般社団法人 邑サポート)

伊藤さんの話を聞くまでおれは「岩手県住田町」という土地を意識したことは1度もなくて、名前すら記憶の片隅にもありませんでした。でも、この回を終えて、いつかどこかのタイミングで訪問したいなぁって思っています(まあ本当は「そう思うならとっとと行けよ」って話ですね)。

それにしても、住田町という町のステキさと、伊藤さんという人のステキさをオーバーラップして感じる回でした。グランドデザインと偶発性や、都市と地方、デジタルとアナログ…。

「バランス」という言葉で括ればそれだけのことなんですが #混ぜなきゃ危険 をマイテーマとしているおれにとっては、「混ぜることが生み出す新しい何か」だけではなく、「混ぜても残るそれぞれの強み」みたいなものももっと意識していきたいななんてことを考えたり。

…って、これはまだまだ抽象度高く、ぼんやりと頭の中に浮かんでいる話なので、これからもう少し熟成させていこうと思います。

 

ぱちはらダイアログ vol.67 「民主主義と女性の働き方」 ゲスト: 海野 千尋さん NPO法人Arrow Arrow代表理事

おれにとっては「働きかたも含めた『DEI(Diversity, Equity & Inclusion)』にがっつり正面から取り組んでいる人」というイメージの海野さん。

話を聞きながら、おれみたいに興味の向くままになんでもパッと飛びついて興味のある部分だけをいじり倒す感じとは違って、海野さんはじっくりと中心に迫っていき、実利的で地に足のついたところまで落とし込めるタイプの人なのかな?  …この表現でうまく表せている気はしないけれど、おれとは異なるタイプの強みをたくさん持っている人なんだなぁなんてことを感じていました。

今度、話だけじゃなくて一緒になにかをやってみたいな。ビビッとくるものあったら海野さんに声かけしてみよっと。

 

ぱちはらダイアログ Vol.66 民主主義と地元利益

  • 3.11。あの日どこで何してた?
  • 原発と税収(ホラーストーリーとニンジン)
  • 気候変動とヨーロッパ(脱化石燃料デンマーク
  • NIMBY地産地消
  • 民主主義と民主主義風
  • 12年経った今改めてご冥福を祈る

 

ではまた#75のときに!

Happy Collaboration!

 

北九州市立高校 未来共創ワークショップ [振り返り] | 本当の自分の言葉

いよいよ実践です。今回のワークショップでは、ついポイ捨てをしてしまった高校生を主人公にして、ポイ捨ての問題をテクノロジーで解決するためにはどうすればよいかを皆で考えていきました。

IBMの方にワークショップを開催していただきました | 北九州市立高等学校 より

おれは、高校生3人と一緒にグループになり、「ポイ捨てをしてしまった高校生」のことを一生懸命想像していた。

  • 名前、性別、学年、部活、通学手段、家族構成、似顔絵。
  • 性格、趣味、好きなこと嫌いなこと、平日の過ごし方、休日の過ごし方、将来の夢…他にもいくつか。

 

短い時間でペルソナを完成させるため分担して作業を行った。おれに割り振られたのは「性格、趣味、好きなこと嫌いなこと」。

  • 性格は多面的。おおらかだけどせっかち。楽天家だけどマジメ。お調子者だけどガンコ。
  • 趣味は水泳。背泳ぎが専門。理由は空を見るがの好きだから。でも本当は、息継ぎがあんまり得意じゃないんだよね。それにめんどくさいし。だって普通、呼吸なんて無意識にするもんじゃん?
  • 好きなことはゲーム。嫌いなことは…それもゲーム、かな。理由? うーん…教えない!

「ポイ太郎」…なかなかめんどくさい奴。なお、彼には兄弟が1人いて4人家族。高校にはチャリで通っている。母親とは「ゲームは1日2時間まで」って約束しているけど、まあその辺りは案外テキトー。

ところで最近、部活の顧問が「背泳ぎ以外もやれ」ってなんだかうるさい。次の大会では個人メドレー種目にも出させようと考えているみたいだ。…背泳ぎだけでいいんだけど。

ところで、個人メドレーって、なんか変な感じしない? 個人が種目を連続して変えながら競い合うスポーツって、他にないよね? 陸上競技で100メートル走った後にそのまま続けて幅跳びと障害物競走やるみたいな。違うか。

 

ichiko-ed.jp

先月、北九州市立高等学校(市高)に伺い、3時間弱の「地域共創DXワークショップ」を行ってきました。

上のリンク先、市高のブログにその様子が紹介されています。

 

ワークショップは、地域活性化やデジタル人材育成をメインの目的に掲げ、地域自治体や地域のお客様と共に日本IBM日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社(IJDS)が共創しており、今回は「IBM地域DXセンター 北九州」が中心となり企画・運営を行いました。

今回のワークショップの目的は、「テクノロジー×デザイン思考で社会はもっと楽しくステキな場所になり得ること、そして誰もが傍観者ではなくその一部になれるってことを知ってもらうこと」ということ。でも、おれは個人的に「それはそれでもちろん大切なことだけど、それ以前に、高校生たちには「オトナと一緒に何かをやるのも、まあ悪くないじゃんと思ってもらいたいなあ」と考えていました。

というのは、おれは結構昔から、年に数回は学生たちとのワークショップや雑談・対話の場に参加していますが、ここ数年なんだか「オトナの期待通りの発言」を耳にする機会がどんどん増えている気がしているのです。

その発言内容が本当に自分が思っていることならもちろんそれで構わないけれど、なんだか本当は違うんじゃないだろうか…? それって本当は自分の意見じゃなくて、「場に求められていそうなもの」をググって答えているんじゃない…? 

 

おれにとっての「ワークショップ」は、計画に基づいて予定調和を進めていくことではありません。

決まった答えや正解は存在せず、事前に作られたタイムスケジュールに縛られることもなく、設定されたテーマや目的を見直しこと自体が「アウトプット」となることも厭わない。そんな「オトナに合わせなくてOK」「本当の自分の意見を出してOK」という「ワークショップという場」を経験することを通じて、本来の自分のままでワークショップを楽しんでもらいたかったのです。

そして、「空気を読んだり、状況を察したりして、場や相手に合わせなくてもいいんだ。誰かが言ってた「正しい意見』を、それっぽく自分の言葉として出す必要なんてないんだ。むしろ、新しい何かを生み出そうとするときには、そうしない方がいいんだ」と思える体験をしてもらいたかったのです。

ノスタルジックな面影を残す会場の図書室

 

と、おれなりの「ワークショップの姿」を頭においてはいたものの、実は今回、おれははっきりとした「役割り」を持っていたわけではなく、オブザーバー的な立ち場でワークショップ会場にいました。

なので、高校生たちの邪魔にならないように、そして準備を重ね、自分たちの「ワークショップの姿」を思い描いてきたファシリテーターたちの邪魔にもならないように、「今日はおとなしく傍観者でいよう」と思っていたのです。

 

ところが、いざワークショップがスタートすると、1人人数が少なく、かつ、最初のアイスブレイク・タイムでブレイクどころかアイスがカッチカチのままのグループがあったんですよね。そしてどうやら、周囲のオトナたちも「…これはちょっとヤバいかも」という空気を醸し出している…。

そして、ワークショップ会場には、結構な数の傍観者たち…。これはもしかすると、このままズルズル「傍観者効果」や「社会的手抜き」という、ネガティブな状況へとつながりかねないかも??

「このグループ、1人少ないんでおれも参加しまーす!」と、気づいたら、急遽参加者として飛び入りしていました。

普段は飲食禁止の図書室も、今日は特別!

 

「緊張をほぐしてあげよう」「意見を引き出してあげよう」「発想を柔らかくしてあげよう」「場を和ませてあげよう」——そんなことばかりを考えて、おれは「xxx君はどう思う?」「じゃあxxxさんの意見も教えて!」なんて感じで、やたらとみんなを喋らせようとしていました。

そんな時間が5分以上続いたと思います。でも、みんなあまり乗ってきませんでした。いや、全然乗ってきていなかったな。

そこで「手を替え品を替え、さらに頑張って発信を促さなきゃ」なんてことが頭によぎった瞬間、ハッと気づきました。
「これって、おれが『嫌だな』と思っていた、状況を察した行動を求めている行為じゃん」と。

 

そもそも「引き出してあげよう」だの「和ませてあげよう」だの、どれだけ偉そうなんだ、オトナぶっているんだって話ですよね。

それこそ、オトナの勝手な「上から目線」だし思いこみ。彼彼女らに「しょうがないな」とこちらの顔色を伺わせる行為に他なりません。何が「予定調和の発言や行動を高校生たちに取って欲しくない」だおれ!!

まずはおれ自身が楽しむこと。そして「周囲から引き出す」のではなく、「おれが自分らしく出し続ける」こと。それを見てどうしたいと思うかは、彼彼女たちが自分で決めればいいんです。

それに、おれが自分らしく楽しんでいないのに、どうして周りのみんなが自分らしく楽しめるのでしょうか。

 

というわけで、ここからはすっかり自分が楽しむことに集中しました。そしておれから出てくるアイデアを、どんどんマネしたりリミックスしたり、遠慮せず好きなように煮たり焼いたりしていいし、むしろそうしてもらえるとおれは嬉しいんだということを伝え、同じように彼彼女らから出てくるアイデアや意見を、好きなように煮たり焼いたりさせてもらいました。

そんなふうにワークを重ねていく中で、おれには、グループのみんなの顔が、ワークショップの最初の頃とはずいぶんと違う感じに、アイスもそれなりのサイズに砕けていたように思たんだけど…。

「上手くいったと思いたい」というおれの無意識がそういうふうに感じさせただけなのかもしれません。

でも、「こういうみんなと一緒にワークする場でも、自分の意見やアイデアを大事にしながら、共同作業を進めようとするオトナもいるんだな。いてもOKなんだな」とは思ってくれた人もいたんじゃないかとも思っています。

生徒たちからのサプライズ・メッセージに破顔する、松田校長をはじめとするオトナたち

 

「あのとき本当はどう感じてたの? 最初『うざいなぁ』って思ってたよね。今振り返るとどんな経験だった?」って、いつかグループのみんなに聞いてみたいな。いつか…そうだな、1年後くらいかな。

そのとき、「場や相手に合わせるのではなく、本当の自分の言葉」を言ってもらえたらサイコーだな。

Happy Collaboration!

 

廊下に佇むカエル(生物の先生の私物という噂だが、真相は謎ww)



 

ぱちはらダイアログ61〜65

ちょっと間が空いちゃったけど、続いてますよ! 民主主義ゆるユニットぱちはらによる「ぱちはらダイアログ」!

いつものように、今回もバラエティに富んだゲストたちと民主主義についてダラダラ語っています。

ご登場いただいた福島 健史さんさわひろ あやさん、 我有 才怜さん岡 望美さん馬越 裕子さん、本当にありがとうございます!!

今回は内容を振り返るのではなく、ゲストとのエピソードについて書いていこうと思います。

 

 

ぱちはらダイアログ vol.65 「民主主義と弁護士」| 福島 健史さん | 弁護士


福島 健史さんはおれがファンのあの会社だったり、仲良くしてもらっているあの会社だったりを法務面からサポートしている弁護士さんです。

ダイアログの中でもお話しされていますが、自らがソーシャルグッドな活動をしている企業のファンとなり、自分から関わり合いを持ちにいくという弁護士さんはおれはこれまでにまったく見聞きしたことがなく、おれの持っていた「弁護士像」を見事に打ち砕いてくれました。

企業に出向していた経験があるというのも、「企業の中の人視点」も理解しているということで、相当頼りになるのでは? もし、おれの仲間が社会課題解決のための組織を作り顧問弁護士を必要とするなら、イチ推しは福島さんです。

 

 

ぱちはらダイアログ Vol.64「民主主義とデンマークの子育て」 | さわひろ あやさん | ライター 


番組中でも触れていますが、おれにとってはさわひろさんは「さわぐりさん」なのです。そしてオンラインのさわぐりさんをおれは4年くらい前からずっと追っかけていて、「デンマーク社会やコペンハーゲンで暮らす人びとのダークサイド(はちょっと言い過ぎか?)をこんなにビビッドに伝えてくれる人っていないよなぁ」と思っていました。

数年前にさわぐりさんのzineを読んだときは、彼女のジェンダーニュートラリティや難民に対する眼差しのルーツを窺い知ることができた気がしてとても嬉しかったし、「もっとこの人から学びたいなぁ」と思ったものでした。

そんなさわぐりさんとのダイアログ、実は本番前にネットワークトラブルで撮り直しをする羽目に…。さわぐりさん何度もお時間いただきありがとうございました!


 

ぱちはらダイアログ Vol.63「民主主義と結婚」 | 我有才怜さん | 脱炭素DX研究所 所長

ぱちはら最多登場、そしておれたちの守護聖人的な存在(?)の我有さん。

このときはまだ「脱炭素DX研究所 所長」の肩書ではありませんでした。ちなみに、脱炭素DX研究所は、メンバーズが設立した研究所で、おれも研究員になっております。活動に関しては以下にてどうぞ!

この回は、我有さんから「結婚することになりました」という報告を受けて、ぜひ結婚と民主主義について話そうよ! と企画されました。実は、我有さんと知り合い、最初に2人でじっくり話をしたときから「結婚という制度ってさ…」「他人2人がその関係を法律を使って形にするのってさ…」みたいな話をしていました。そんな我有さんが結婚するとは…感無量。

実はぱちはらで結婚式に出席してきたんだけど、2人とも最初からもう感激して泣いちゃって泣いちゃって。でも、本当にすごく、すごーく、ステキな結婚式だったのです

乾杯!!

 

ぱちはらダイアログ Vol.62「民主主義とB Corp」 | 岡 望美さん | B Corp認証資格取得支援コンサルタント


岡さんとはおれはまだ実は直接会ったことがなくって。原さんに紹介されて、番組で「はじめまして」だったんだけど、そろそろ実際に会ってみたいな。このダイアログ以降、岡さんが登壇するイベントに参加を考えたことが2回あったんだけど、どちらも日程が合わなかったんだよね…。次こそ!

番組内ではB Corpについていろいろ教えてもらったんだけど、おれが最初に知ったのが2016年で、そのときは結構ガッツリ調べたんだよね。

それから3年後くらいかな。2019年頃にも仲間の会社がアプライした場合、どれくらいのスコアになるのかを試算したことがあって。そのときの「こりゃアプライするだけでかなりの重労働だな…」という印象は今も強く残っています。

それをガッツリやられているということで、尊敬します。そしてB Corpの「中の人たち」とのやりとりとか、きっといろいろと裏話的なものがあるんだろうなぁ。早く会って聞いてみたいな!

 

 


ぱちはらダイアログ vol 61 「民主主義と資本主義」 | 馬越 裕子さん | コモンズ投信ソーシャル・エンゲージメント・リーダー

馬越さんも#62の岡さんと同様に番組で「はじめまして」で、直接会ったことがなかったのですが、先週、代官山のSHARE LOUNGEで開催された『第14回コモンズSEEDCap最終候補者3者対談イベント ~今を生きるこどもたちのための挑戦~』に行き、イベントの司会と進行をされている姿を見てきました。

うまく言語化するのが難しいんだけど「なるほどな〜っ」という印象が強かったです。「番組だけでは馬越さんの間(ま)だったり空気感だったり、理解しきれていなかったところがあったんだなぁ」って思いました。そしてそれを掴んだ今、改めてまた何かコラボできる機会があるといいなぁと思っています。

ちなみに、まだコモンズ投信はおれは初めてないんですよねー。番組でも触れているように、おれは10年くらい前から鎌倉投信の受益者で、「鎌倉投信以外の投信にも分散して預ける意味ってなんだろう?」って考えると、まだ自分自身が納得できる理由が見つからないんですよね。もっと金持っていれば「分散した方が安全」みたいなこともあるんだろうけど、残念ながらそういう状況にいないし…。

鎌倉投信よりもコモンズ投信の方が良い理由」を知っている方、ぜひ教えてください! (比べる必要はないんだろうけど、でも、できればより多く社会に価値を提供してくれる方に預けたくって。)


 

ということで、ぱちはらダイアログ#61-65を、ゲストに注目して振り返ってみました。次回は#70まで行ったときにまた書きますねー。

Happy Collaboration!