Collaboration Energizer | #混ぜなきゃ危険 | 八木橋パチ

コラボレーション・エナジャイザーとは、コラボレーションの場を作り、場のエネルギーを高め、何かが生みだされることを支援する人

自由のパラドックスとその反対側にあるもの

 

「自由とは何か? …って、それをそのまま考えるのではなく、ちょっと捻って自由の反対側にあると思うものを書き出してみましょうか。では2-3分で。」

そんな始まりだったろうか。いや、まったく違ったような気もする。ともあれ、おれは真っ先に頭に浮かんだ「戦争」という言葉を書いて、その後も浮かび上がってくるそいつらをポツポツと摘みあげた。独裁、拘束、均等、統制、窒息…。

「はい。じゃあ残り10秒でお願いします。」自由と同じ側に、小さく平和と人権を加えた。

自由⇔戦争、独裁、拘束、均等、統制、窒息…

 

この日の午前中、本当は映画が観たかった。

RISE: VOICE OF A NEW GENERATION — One Stone

 

Learn by Creation 2023」に参加しようと思った理由の半分弱は、この上映セッションがあったからだ。映画を観て、映画について人びとが何を語るのかを目にしたかった。

 

だが、ある程度予想していたものの、開始5分前に受付に辿り着いたときには、すでに整理券は配布終了となっていた。

「ええっ! このために来たんだぜ。観れないなら帰るよ、なんだよー! ちぇっ」とおれの前に並んでいたおっさんがスタッフに悪態をついていた。

ありがとうおっさん。醜い姿を見せつけてくれて。危なかった。あんたの醜態を目にしていなかったら、おれがやっちまっていたかも。ふぅ。

 

というわけで、参加できるセッションとしてしかたなく選んだのが『リベラルアーツ対話「自由=好き勝手」なの?』というもの。


正直、「自由=好き勝手なの?」というタイトルに若干の不安を感じていた。「そんなわけないじゃん…っていう、当たり前のことを対話するの? それはちょっとなぁ」と。

ただなぜか、他のセッションよりもこれが目についたんだよね。

とはいうものの、まさか、「自由=好き勝手なの?」と悩んでいる人を中心に対話が展開するのかしら…??

自分の自由を確保するためには相手の自由を認めざるを得ないのは自明でしょ。

3 layer structure of freedom

一番内側の自由は思想・思考の自由。それを他者に晒さない限り、誰にも一切関与させない自由がそこにある。

2層目は行動の自由。他者と接する部分。ここは社会の自由との兼ね合いで、どう「兼ね合わせるか」はあなたの自由だ。それが他者の自由を侵害しない限り。

一番外側の自由は社会の自由。直接的にこの自由をコントロールすることは誰にもできない。ただし、誰にでも意見する権利はある。それが他者の人権を侵害しない限り。

 

簡単に書けば、内面の絶対的自由と、外面の調整的自由と、社会の不自由がある。癪に障るが、自由は不自由の中にあるからこそ自由でいられるのだ。

(「よく分からない」という人がいたら、「寛容のパラドックス」をググってみてほしい。)

 

正解でした。

セッションは「自由」について語り合うというものではなく、「自分の思う理想の自由をLEGOで作ろう」というもの。そして3人組になって、自分の作った作品について語り、それぞれが感じたことを話し合うというものでした。

その後、今度は新しい相手とペアになって、勝手に解釈して相手の作品を説明するというもの。

そして最後に、全員が順番に自分の作品を解説しました。

 

これが、みんな良かった。

「自由=好き勝手なの?」みたいなところからはずっと先に進んでいたし、それぞれの方たちの視点が作品に灯っていました。自由の反対は「思考停止」「楽」「他者に決めて欲しい」「反応的」…。

おれの作品がこちら。

Free sells, but who's buying?

「自分の思う理想の自由を作ろう」ってお題に、なんだか「理想の自由」をと言われてそのまんまそれを作るのって、自由じゃないなと気が進まなかった。

そして日々、理想から離れ続けている身の回りの自由のことを考えたら、能天気に「理想の自由」を作る気もしなかった。

 

王冠を被った悪魔と握手する人

虫眼鏡とマシンガンを手にその姿を見つめる人

背を向け合ってお互い無関心な人

その枠から距離を取る魔法使い気取り

全体を見つめる目玉だらけのウォッチタワー

 

…自分が思っていたよりもずっとずっとペシミスティックな作品になった。

でも、別にそんなに悲観しているわけでもなくって。多分、そう思っているというよりは、危機感や焦燥感を共有したかったんだろうなって思う。

 

I'm running free yeah, I'm running free.

Happy Collaboration!