コミュニティーへの貢献 - 『抜擢される人の人脈力』を読んで
昨年、"人脈、自信、自己開示--『人脈のできる人 人は誰のために「一肌ぬぐ」のか?』を読んで"というエントリーを書き、社内でも紹介したところ、「私もいわゆる"人脈本"は苦手で、好きじゃないんですが、岡島悦子さん の『抜擢される人の人脈力』という本も良かったですよ」というコメントを頂きました。
それでは、ということで先日読んでみました。なるほどすばらしい本でした!
いわゆる「出世のため」とか「もっと稼ぐため」というそういうスタンスで書かれた本ではなく、「高いレベルの自由を手に入れるために」、そして「自分磨きのために」人脈を作っていこうという考えのもとに書かれている本です。
本の「はじめに」に著者の岡島さんが書いている言葉を引用します
本書で言う人脈構築とは、意欲と能力のある人が、自分の力を最大限に活かせるような機会を獲得することを目的に行うもの
ふむふむ。たくさんの納得や学びポイントがあったのですが、その中でも最近、自分がコミュニティーやコラボレーションということに対して思っていることと強くリンケージした部分について書きたいと思います。
● 勉強会をやるときは、幹事という面倒なことを引き受けたほうがいい
著者が堀義人さんから言われた言葉として紹介しているのですが、これは「コミュニティーがオンラインであれオフラインであれ、自分が主催者であれメンバーであれ、そのコミュニティーに貢献できることをきっちりとしていくことが大事」という、あたり前と言えばあたり前だけど、とても大切なことを再認識させてくれました。
本の中では「勉強会」、かつ「幹事」という役割に限定され、理由として「ノウハウや情報、人とのつながりはすべて幹事に集まってくるものだから」と言われていますが、考え方の根本部分はあらゆるコミュニティー、あらゆる役割で同じですよね。
たしかに、幹事の元に一番「ノウハウ」「情報」「つながり」は集まるかもしれません。でも、幹事じゃなくたってコミュニティーに対して貢献しようとアクションしている人のところにも、十分「ノウハウ」「情報」「つながり」が集まります。
また、そこまで「貢献したい、する」という意思を持ってやらなければ、コミュニティーがなんらかのアウトプット(というと大げさに聞こえるかな?)を産み出したとしても「自分もその一員です」と胸を張って言えないですよね。
「本当に自分が満足したければ、コミュニティーに貢献すべし」ですね。
「若い時の苦労は買ってでもしろ」という言葉がありますよね。いろいろな捉え方ができるでしょうが、コレってコミュニティー活動に対しても当てはまる言葉じゃないかな、と。
そして、若い時だけじゃなくて年取ってからでもそうだし、「いつか役に立つ」のではなく、仲間とのつながりや達成感という喜びは「わりとすぐやってくる」と思います。
それからもう一つ。「貢献のしかた」については最近個人的にすごく思っていることがあります。
(ええっ! あれで自分を抑えてるの! というツッコミをたくさんいただきそうですが…w)
つまり、もっと貢献できる可能性があるのに、それを放棄しているってことではないでしょうか。
時には他のメンバーと衝突したり、誤解が生まれることもあるかもしれません。でも、「コミュニティーに貢献したい」という気持ちからのものであることをきちんと伝えていけば、一過性の小さな衝突でしかなく、より一層のダイナミックさをメンバー間に生みだすことにつながると思うんです。
キレイごとっぽすぎますか? でも、実際にそれを感じることもあるんです。
また、コミュニティーの質を上げるには「フリーライダー」(成果や美味しい所だけにタダ乗りする人)を許さない、「Commit or Die(貢献せよ、さもなくば去れ)」という認識をメンバー間で共有することが大切とも書かれています。これ、「フリーライダーに対してそれを指摘し、排斥する」のは実際にはとても難しいことですよね。
でも、リーダーやメンバーが「フリーライダー」をうまくモチベートし、発言や貢献を引き出し、それに対するフィードバックを通じ大切なメンバーになってもらえるようにする取り組みも大切だな、とも思います。
なんだかコミュニティーというものに対する自分の思いを熱く語りすぎて、全然『抜擢される人の人脈力』について触れてない…。
他にもたくさんインスパイアされるところがあったので、簡単だけどいくつかご紹介します。
● 人脈の価値は「数」ではなく、「作るプロセス」にある
そうそう。これって人脈だけじゃなくて「友人」に置き換えても同じですよね。
● キャリア・デザインではなく、キャリア・ドリフト(漂流)という概念が主流になってきている(キャリア計画を立て過ぎず、やりたいことだけを明確にした上で、漂流しながら実力を蓄積しておき、来たチャンスをしっかりと捕まえる)
キャリア・ドリフトって初めて知りました。キャリアだけじゃなくて、それも含めたもう一つ上の概念として「ライフ・ドリフト」で生きたいと思っています。
本の最後で、著者の岡島さんは「自分らしくイキイキと仕事を楽しめ、自己実現が可能となる」ための方法が、この本でもっとも伝えたいポイントの一つだと言われています。
うん! 今日もそのために歩み続けるぞ!
Happy Collaboration!