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(読書メモ)岡村健右『ゲームの力が会社を変える -ゲーミフィケーションを仕事に活かす-』

先日、(株)ループス・コミュニケーションズのオフィスで「熱い対話」をさせていただいた岡村健右さんに、初の単著という『ゲームの力が会社を変える -ゲーミフィケーションを仕事に活かす-』を献本いただきました。

 

実は、私自身もちょうど「社内ソーシャルウェブとゲーミフィケーション」というテーマで社内論文を書いていたところでもありまして、『「共感!」ってボタンが本にあったら一杯押すのになぁ」なんて思いながら読ませていただきました。

 

今回は、そんな共感部分の読書メモと、「これはいい、やってみたい!」と思った企業内ゲーミフィケーション事例を共有させてもらいます。

 

■まずは、「共感!」ボタンのメモです。

 


――企業が成長するためには、社員に貢献してもらう必要があります。それには、従業員のやる気を引き出す必要があります。そして、やる気を引き出すためには、社員に単に給料を渡すだけではなく、社員が会社にいてうれしい、楽しいと感じるところまで引き上げる必要が出てきている――   ――(評価の)本当の目的は、業務を改善したり、仕事を効率化したり、課題が解決されることにあるはずです…(略)…会社では、一人ひとりがノルマを達成するか否かが問題なのではなく、みんなで掲げた目標を全社で達成することこそが重要なのです――   ――問題はどうやって実行に移すかという部分です。いくら会社がブランディングしても、顧客には目の前の担当者がすべてです…(略)…いい行動指針があっても、壁に貼っているだけでは効果に乏しい――  
 
■ここからは「いけてるアイデア!」な事例をいくつかピックアップ。

 


 

・ディズニーランドの「サンクスデー」: 上司が日ごろの感謝を込めて従業員をおもてなし

→ 感謝の気持ちを渡す/受け取るだけではなく、お客様目線を忘れないための機会

 

・シンクスマイルの「CIMOS」:社員同士がお互いのいいところに対してWeb上で15種のバッジを送りあう

→ バッジは企業の行動指針と連動しており、種類と数により昇給、昇進などに反映

 

リクルートエージェントの「アニバーサリー休暇制度」:有給休暇を取得しきちんと「リフレッシュ」すればさらに10万円を追加支給

→ 有給休暇を「お題目」ではなくモチベーション向上のために使ってもらう

 

サウスウエスト航空の「私の靴で歩いて」:希望者が自分の職場以外を1日体験

→ 営業と制作など、職種が違う相手と自分の仕事の間の溝を発見・理解してコラボレーションをよりハッピーに

 

・ギャプライズの「サプライズ休暇」:誰かを本気で驚かせ、喜ばせるための休暇制度

→ 社内で「この人を喜ばせたい」とプレゼンしその想いが伝われば、休暇が認められ平日に準備できる

 
 
著者の岡村さんは元々前職でSEとしてグループウェア導入・運用をしていたり、CRM事業の立ち上げや営業をされていたというがっつりIT系の職歴を持った人です。
 
そして現在のソーシャルメディアコンサルタント&ゲーム・プランナーとしての顔もよく知られていることから、本の中で研究事例として紹介される企業に、かなり「とがった」会社が多いのも本書の魅力じゃないかと思います。上でも少し事例を紹介しましたが、他にも…
 
フェイスブック、ライブレボリューション、デジパ、ユナイテッドアローズ、paperboy&co、カヤック、ボヤージュ・グループ、ゆめみ
  …などなど、なかなか社内の取り組みを目に耳にする機会のない企業が並んでいると思いませんか?  
 
岡村さんは「どん底時代」のループス・コミュニケーションズを経て今に至る人です(本の中でも触れられていますが、今でこそ「ソーシャルメディアと言えばループス」というぐらいのリーディングカンパニー、ループスさんもリーマンショック後は倒産寸前まで行った暗黒の時代があったとか)。
 
その頃の「毎日がつらい」という危機を、自らがソーシャルウェブとゲーミフィケーションを実践して荒波を乗り越えた経験を持っている人です。
 
だから、一言ひとことの重みが違います。
現場の肌感覚を持って書かれた言葉だから重みを持っています。そこに「熱」がこもっています。
 
自分が主体的に社内ソーシャルウェブやゲーミフィケーションに関わっていなくても、会社生活を楽しくしたい、職場
に笑顔を増やしたいという気持ちを持っている方にはおすすめの一冊です。
  あ、おまけにもう一冊。 『ゲームの力が会社を変える』を読んで、もっとオフラインでのゲーミフィケーションを知りたくなった方や、土台をビジネスではなく社会問題に置いたゲーミフィケーションについて興味をもった方には、『幸せな未来は「ゲーム」が創る』(ジェイン・マクゴニガル 著)がおすすめですよ。  

Happy Collaboration!