Collaboration Energizer | #混ぜなきゃ危険 | 八木橋パチ

コラボレーション・エナジャイザーとは、コラボレーションの場を作り、場のエネルギーを高め、何かが生みだされることを支援する人

優秀な営業マンは門前払いを受ける - 嫌われる勇気と弱者の好物

 

EGMフォーラムの夜は、いつも以上に五感が揺さぶられます。

反射的にポンっと出てきた、あるいはズルズルと自分の中から出てきた言葉は、いつもより本能的になっていて、自分自身に驚くようなことも。

先日のEGMフォーラムの定例会でも「あちらこちら」へと意識が振られつつ、振り返ってみると「言いたいことは本当にそれだったのか?」と、自分の瞳の奥を覗き込んで問いかけてみたくなります。

前置きが長くなりました。

いまだに脳内で断片化しているままな部分も多いのですが、本編後の飲み屋での話も含め、コラボレーションとイノベーションに関するディスカッションのかけらを書き出しておきます。

■ 門前払いを受けるのが優秀な営業マンである

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「大企業のセールスは門前払いを受けることがない。とりあえず話を聞いてもらえるから有利である。」−−マルかバツか。

答えはバツ。理由はROIの高低にある。

営業マンの成績は、一般に売り上げた数字で測られる。要するに「売るやつができるやつ」。

それでは、売る上で1番のムダは何か。

それは「さんざん時間を使わせられた挙句、最後にNoを突き付けられること」。

結果としてNoと言われるなら、なるべく早くNoを。その相手に費やす時間を別の営業先にかけることができる。

結果を見れば、売れないところからは門前払いを喰らうのが1番ロスがない。「ノー・リターン but ノー・インベスト」。

「そんな単純な話じゃない! 営業をなめるな」--もちろんその通りで、これは話をかなりシンプルにしています。

でも、真実も含まれているとは思えないでしょうか。こんな話もあります。

みなさんは、「こんなアホみたいな詐欺話に引っかかるやつなんて世の中にいるわけないだろ!」って笑ってしまうような、そんな詐欺メールを見たことがありますよね? 多少たりとも分別なり経験がある人なら、瞬間にゴミ箱に捨てるeメールです。 さて、詐欺師はなぜあれほど、ありえないアホみたいな詐欺話を送るか考えたことがありますか?

彼らにとって一番タチが悪い相手は、中途半端に引っかかって最後に二の足を踏む相手だからです。

 

■ メリットの法則――ムチよりも「アメを与えない」こと

杉浦さんが『メリットの法則―― 行動分析学・実践編』という本の紹介をしてくれました。

ブログ記事『EGMフォーラム月例会報告(4月20日)~行動分析学と協働関係の作り方』にも紹介スライドがアップされていますが、私は、その説明を聞きながら『嫌われる勇気』に書かれていたことを思い出していました。

以下、引用です。イメージ

「不安だから、外に出られない」のではありません。順番は逆で「外に出たくないから、不安という感情をつくり出している」(…)「外に出ない」という目的 が先にあって、その目的を達成する手段として、不安や恐怖といった感情をこしらえているのです。アドラー心理学では、これを「目的論」と呼びます。

「このままのわたし」であり続けていれば、目の前の出来事にどう対処すればいいか、そしてその結果どんなことが起こるのか、経験から推測できます(…)一方、新しいライフスタイルを選んでしまったら、新しい自分になにが起きるかもわからないし、目の前の出来事にどう対処すればいいかもわかりません。未来が見通しづらくなるし、不安だらけの生を送ることになる。

自分が非行に走ったり、不登校になったり、リストカットをしたりすれば、親は困る。あわてふためき、胃に穴があくほど深刻に悩む。子どもはそれを知った上で、問題行動に出ています。過去の原因(家庭環境)に突き動かされているのではなく、いまの目的(親への復讐)をかなえるために。

 

■ 強者は共創より競争を好む。コラボレーションは弱者の好物に過ぎない

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強者は共創より競争を好む。なぜなら、自分一人の力で勝てば独占できるから。 コラボレーションするということは、自分の分け前を減らしてしまうということ。 自分ひとりでイノベーションを起こすことも勝利を手にすることもできる人間に「コラボレーションせよ」と求めても無駄だ。

そんな話が出ました。たしかに、その通りかもしれません。

ものすごく抜きん出た実力を持っている人がいて、その人が「喜びを分かち合える快感」よりもはるかに「勝利の美酒の独占」を愛しているのならば、そういう話になるのかなと思います。

この話はシンプルだけど、意味深い議論になりそうな気がします。

「強者は共創より競争を好む。コラボレーションは弱者の好物に過ぎない」 --皆さんは、この仮説にどう応えますか? 対話の場を持ってみたいです。

Happy Collaboration!