スキャンカードとセンシング | フューチャーズ・デザイン with Bespoke
今回はフューチャーズデザインで用いるスキャンカードについて、それから、シグナルの集合体から意味を感知するセンス(Sense)について説明します。
スキャンカードとは、シグナルのフォーマットであり、それぞれのリサーチ結果を集め、保存し、同じフォーマットにして共有します。
シグナルを同じフォーマットで共通の形式とすることで、情報源が本であろうとインタビューだろうと、まったく異なる形で集められたものであっても、シェアや共同作業をスムーズに進めることができます。従ってチームによるクリエイティブな作業が行いやすく、イノベーティブなものを作り出しやすくする効果があります。
スキャンカードはいくつかの異なる構成要素により作られています。以下それぞれの項目を埋めていきます。
タイトル |それがなんなのか
サブタイトル | 誰が何をしたのかをなど
ディスクリプション | それがどのようにどんな影響を生みだし与えているのか
レラバンス | テーマの未来とどう関係するのか
ソース | 本なのかインタビューなのか、オンライン記事なのか。URLなどの情報源を入れます
イメージ | 画像をアップするか、あるいはコラージュなどを貼り付けます。画像はシグナルの意味合いを伝え意思や考えをコミュニケーションするのにときに重要な役割を果たします。
タグ | 後でシグナルをカテゴリー毎に分類しやすいよう、グループ名やビジネスモデルなどをメタデータとして付与しておきます。ポイントは「分類のしやすさ」なので、自分たちで決めて構いません。
スキャンカードをマッピングすることで「スキャンマップ」が作成されます。
スキャンマップはデータの集合体であり、シェアしやすくチーム作業を進めやすくします。
スキャンカードを印刷し、壁にスキャンマップとして張り出すことで、シグナルがどんな関係性を持っているのかを的確に伝えられるようになるのでチームメンバーや友人に「なぜこれが興味深いのか」を説明しやすくなり、会話も始めやすくなります。
ぜひ、たくさんのスキャンカードを作ってください。
センスフェーズではインサイトを合成します。ここまでで、多数のキーワード(サブトピック)からたくさんのシグナルを集め、多くのスキャンカードを作りましたよね。
ここではどのように大量の情報である「スキャンカード」から、より強い説得力を持つ「インサイト」を生み出すのかをお伝えしましす。そしてその先にある「未来へのシナリオ作成」という重要な 収穫へ、そして価値の創出へとつなげていきます。
センスフェーズでは、すべてのシグナルをクラスターに分類していきます。そしてシグナルに隠れているメッセージを見つけ、インサイトを明確化していきます。
ここまでは「拡散モード」でテーマを広げていったのに対し、ここでは一度、未来を理解する上で大変重要なインサイトを生みだすことで、収束へと向かわせていきます。
クリエティビティーにおいて、大変重要だと認識されているのが「コネクティングドッツ」 −− 点と点をつなぐことです。でも 、点をつなぐのに必要なのは、まずは点を見つけることですよね。それを行ったのがシグナルの探索であり、シグナルを収穫するスキャンカード作成でした。
今度はそこからインサイトを作ります。
スキャンカードからパターンを見つけ出していきます。ここでは、グループでワークを進めるやり方を説明します。
まずはスキャンカードを集め、グループの中でお互いにシェアしていきます。そうですね、たとえば僕が10枚のカードを作ったとします。
ちなみに、大き目のプロジェクトなら実際は200枚くらいは作ります。
一枚ずつ、チームの他のメンバーにスキャンカードの内容を説明しながらシェアし、最後にカードを壁に貼ります。
そのときグループの誰かが似たようなカードを持っていれば、あるいはそれとは提示されたスキャンカードと真逆の要素を示すカードを持っていれば、そのカードをチームに説明し、前のカードとの関係性が分かる位置に壁に貼っていきます。
そうやってカードを1枚ずつチームに説明しながら貼り出すプロセスを通じ、最終的にはいくつかのグループができあがります。
シグナルをグルーピングする方法は、基本的には同じ要素に集めていきます。
注意すべきはその 幅の広さと深さです。十分な深さを持ち、あまりにも当たり前過ぎず新しい要素があること。そして同時に幅広さがあること。それが十分な根拠を持ち、実際に社会で起きていることを反映していること。
もちろんプロジェクトのゴールが何で、自分たちが何を探しているのか。誰が、なぜ関与しているのか。それによって変わります。