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リフキンのQ&Aとセミナー資料 | 消費者主義から持続可能性へ

 

あちこちで「いやすごいから! 観てないなら早く観て!!」とブログ「ジェレミー・リフキンの第3次産業革命 | 新しい根源的共有経済の衝撃」を書いてから言い続けていたら、セミナーでも紹介することになりました。

開催はもうすぐで、来週火曜16日の正午スタートです。

消費者主義から持続可能性へ

消費者主義から持続可能性へ~ジェレミー・リフキンの第3次産業革命に学ぶ【持続可能社会とこれからのマーケティングvol.1】

今回は前回のブログ記事では取り上げなかった「講演参加者とのQAタイム」の中で、興味深いと思ったポイントをいくつか取り上げます。それから最後に、16日のセミナーで使用予定の資料の一部を。

でもその前に、十分な時間がある方はリフキンの講演『The Third Industrial Revolution: A Radical New Sharing Economy』を見てくださいね。

 

■ AIとロボットで自動化が進めば、人間はみな失業するのでしょうか?

たしかに私たちは自動化世界に向かっています。でもその前にスマートデジタル経済と社会の基盤を造るための2世代にわたる大仕事があります。これはロボットにもAIにもできない仕事で、大量雇用が発生します。

ではその後は? 雇用はすでに市場経済からNPOの社会的経済へと移り始めています。

NPOは、現在世界で最も急増している雇用部門です。なぜなら、社会的経済、ノンプロフィット経済、共有経済の大部分において、社会資本が市場資本と同じだけ重要だからです。

ロボットが子供にランチを届けることはあるかもしれませんが、実際に子供を育たり保育所で世話をすることはできません。社会的経済、共有経済の中で子どもの共感を育てるには、人間が他の人間と関与することが必要なのです。機械ができるのは補足だけです。

 

■ 学校教育はどのように変わっていけばいいのでしょうか?

私たちの学校システムは機能を果たしていません。瀕死状態です。

クラスルームは工場のようです。子どもは入学してすぐ、教師により中央的権力に支配されていることに気付きます。言われた通りにしなくてはならない。知識を教え合うとカンニングとされる。そして効率的になれと命令される。

一方、放課後のインターネットの世界は学校とはまるで違います。知識と経験と能力を共有し合い、お互いに教え合います。知識とは権力ではなく、誰かを犠牲にして所有するものではないことを実践を通じて学び、日々それを適用して暮らします。

その考えを取り入れて変化している学校も出てきています。フランス北部では、7つの大学と200の高校が一体となり、すべての生徒がチームに分かれて互いに教え合っています。そこでは教師は教えるのではなく、ガイドやファシリテーターの役割を果たします。

 

■ 理念に沿って正義が行われるようになるのですか? 汚職や詐欺がなくなるとは…。

日常生活を動かしているのは理想郷ではなく共感です。ビジネススクールでは教えられていませんが、共感的な懸念をより大きな社会的団体へと進化させる方法があります。それは協同組合です。

協同組合銀行や、協同組合住宅、農業協同組合など、人びとが寄り集まり運命を共有する。真の共有経済の動力であり、手段となります。

共感をはじめとした感受性を育成する社会は、人類も生物圏のコミュニティーの一部だということに気付かせます。それは残虐行為や汚職のような、悪を伴う人類の欲求を減らす進化につながるかもしれないと私は期待しています。

 

■ 現在有利な立場にある企業や組織が、優位性を守ろうと連合を組みそう…

すべてが相互ネットワークでつながり、エネルギーがそこかしこで生まれるIoTの世界では、乏しい資源をゼロサムゲームで奪い合う必要性がなくなります。そこでは「私たちがコントロールする、閉じる。征服する」というやり方は、通用しません。 なぜなら、分配されるように設計されているから。それがこのシステムの回復力だから。

疑念を乗り越え、ネットワーク中の人びとが利益を得られるよう、科学とテクノロジーだけに頼るのではなく私たちも知識と知恵を共有しましょう。

 

■ 食品システムにはどんな影響が現れますか。このままではマズイですよね?

私たちの全エネルギー費用の約1/3が肥料、農薬、機械、パッケージという、化石燃料からなる農業システムに費やされています。そしてそれらを動かす電力網も化石燃料原子力で動いていて、それを冷やすために大量の水が用いられています。

500グラムの牛肉の生成には少なくとも4キロの飼料が必要です。そして現在、世界で農耕に使用されている土地の40%が、動物の飼料を育てるために使われているのです…。

第1次産業革命時代に機械農耕が起こりました。第2次では化学農耕が出現しました。そして第3次の今必要なのはスマートで有機で環境的な地域の地元農業です。トマトを世界中に輸送するのは不条理で馬鹿げている!

 

■ この非集中的構想において、水はどう関わってくるのでしょうか?

この惑星の人間にとって再利用可能な水は全体の1%以下です。残りは利用できません。

そして全産業で使用される水の半分以上が、電力産業に使われています。フランスの場合、すべての淡水の50%近くが原子炉を冷ますために使われています。

水のシステムは脆弱です。大きな電力変圧器がサイバーテロや犯罪、自然災害のいずれかで中断されたとき、水の供給は無くなり我われは3週間で死に至ります。

非集中的で広い地域に広がり共有できる水と、共有できるエネルギーが組み合わされたシステムが必要です。エネルギー・インターネットと並行して作動する分配的な水のインターネット・システムをどうやって築くのか。最優先課題の1つです。

 

■ 途上国はこの第3次産業革命にどのように関与するのでしょうか?

途上国には基盤がない、それは不都合ではなく彼らにとっての資産です。彼らには、ゼロから新しい規約と条例を作り、一気に第3次に取りかかるチャンスがあります。

暗闇にいる、電力のない人々が世界に10億人います。人類の40%が未発達で不安定な電力供給のもと暮らしています。そしてその世界では、女性がエネルギー負担の奴隷とされています。

多くの人が忘れていますが、電力が女性を解放したのです。電気が女性に勉強する時間を作り出し、教育が人口の爆発増加を抑制しました。何百万というコンドームよりもはるかに効果的なのです。

アフリカの村やインドの村で、ユニバーサル電力のマイクロ網を築いている多くが女性たちです。彼らは次世代のスマートな社会起業家です。だからこそ私はこの事象をとても嬉しく思っているし、さらに躍進できると信じています。

 

■ 独占市場をどう打開できるのでしょうか?

私は「なんでも教えてくれる魔法の扉」、グーグルが大好きです! でも、彼らはグローバルな独占企業のように見えます。そして公益事業とすべきではないかとも感じています。

人びとがそれをもたらす価値を、最大限に活用するにはどうすべきでしょうか。

プライバシーの確保、セキュリティの確保、サイバー犯罪やテロをどう防止していくのか -- こうしたダークネットとの戦いと併せ、これはミレニアル世代とその子どもたちの重要な新しい政治運動となります。

 

オバマ前大統領はグリーン経済を目指し失敗しました。なぜでしょうか?

オバマ氏は何十億もの税金をグリーン経済に向けて注ぎ込みました。そして失敗しました。なぜか? それは「こっちの太陽電力工場に少々、あっちの電池工場に少々…」と、個別の事業を奨励したからです。それでは何も始まりません。基盤自体を奨励することから始めなければならなかったのです。

公立の学校システム、州間高速道路、電気やガス、パイプラインの費用はどこから出てきたのか? 税金です。起業家精神だけでは始まりません。

私たちには政府が必要です。私たちにはビジネスが必要です。社会市場経済には、公的資本と民間資本と社会資本が必要なのです。

 


こちらはセミナーで使用する予定の資料です。もしまだ時間があったら、こちらも見てみてくださいね。

(正しく表示されない場合は、こちらのSlideShareのリンクをご覧ください。)

 

Happy Collaboration!