残された15分で伝えたいこと
理不尽だなとは思う。でも仕方ないな…。
もう15分しかおれには残されてないってことなので、ここは諦めて腹をくくり遺言を残すね。
電話しようかなとも思ったんだけど、やっぱりちょっと照れ臭いし、声に出したらもっと感情が溢れ出して何も話せなくなりそうな気もするから。手紙で。
時間がないんで、伝えたいことを思いついたままに書いていきます。
まず、ありがとう。本当に、「感謝してもしきれない」って言葉が、「なんて陳腐で伝えれらないものなんだろう」って感じるくらい感謝しています。
おれに何かを見出してくれてありがとう。すごく嬉しかったし、実際それがおれの支えになっていました。
そのこと、ちゃんと伝えられてたかな…? 「あなたの信頼がおれを支えているんです」って、もっと普段から口にすればよかった。行動で示せばよかった。いまさらだけど。
あなたにはこれからも、まだまだ大事な役割があります。おれが言わなくても分かっていると思うけど。
でも、おれが「あなたには大事な役割がこの先にまだまだあるって思っている」ことも伝えておきたい。そしてそれが少しでもいいからあなたを支えることにつながれば嬉しいって思ってる。あなたの信頼がおれを支えてくれたように。
偉そうだけど、いくつか他にも伝えておきたい。遺言だからさ、おれが好き勝手に書くの許してよ!
あなたを思う人はあなたの周りにたくさんいます。あなたが気づいているよりもたくさん。だから怖がらずに、必要なときは支援も応援も求めてください。その人たちの思いや言葉を上手に受け止めて、自分の力に替えてください。
深刻になり過ぎないで。力を入れ過ぎないで。楽しんで。おれと一緒にいたときみたいにさ。
自分を大事にしてね。あなたの中にあるそれはあなたの中にしかないものだから。簡単に手放さないで。
「死んだ後も見ているからね」って、そんなのできないことなんじゃないかな? っておれは思っているんだけど、もしももしもできるんだったら絶対にそうするから。
自分を大事にして。心を言葉にしたり行動にしたりして。まわりに開いて受け止めようとしてあげて。
怒ったり悲しんだりするのと同じくらい、笑ったり喜んだりして。これからも周りを笑わしたり喜ばせたりし続けてね。
ありがとう。あなたが支えてくれていたんだよ。ああもう時間だ。じゃあ。
別に自殺しようとしているわけじゃありません。ご心配なく。
先日、ドミニク・チェン氏の『未来をつくる言葉』という本を読んでいたら「10分遺言」 というプロジェクトのことが書かれていました。上の動画を見るとだいたい想像がつくかと思うけど、本の中ではこんな風に「ガイド」が紹介されていました:
- 自分のそれまでの人生についての漠然としたひとり語りは書かないこと。
- 生前にお世話になった人たちや不特定多数に漠然と向けて書くのではなく、誰か一人に宛てたメッセージにすること。
- 執筆の制限時間を設けること。たとえば10分以内など。
- その遺言の有効期限は1年程度だと想定し、来年になったらまた新しいバージョンを書くくらいのつもりで、決定版を書こうとは思わないこと。
すごく興味を惹かれて、すぐに自分でもやってみました。
でもどうやらおれの場合、書いているうちに心がいっぱいになっちゃって、10分だと全然足りなくなっちゃうことがわかりました。なので自分なりに15分にして、最初に5分くらい心を静かにする時間を作ってから。