行動価値観(理想と行動)
「自分の価値観はこうだ」と思ったり言ったりしながら、多くの人がそれに反する行動を取っていますよね。おれも、そうです。
「生きるってことはそういうもんでしょ。理想じゃ人は飯を食っていけないんだよ。」きっとそれは事実です。ただし「ある程度」。
「他に方法はないでしょう? 自分の価値観を曲げざるを得ないのよ。」それはどうだろう? 他の方法もありそうだとおれは思っていて、ここ数年ゆっくりと自分なりに取り組んでいて、なかなかいい感じに来ている気がしています。
いったい自分がどう考えて、何をしてきたのか。去年あたりから「そういうことか」と自分の中ではクリアになってきたので、今回はその3つの方法を書いてみます。
(なお、タイトルを見て「行動価値観?そんな言葉聞いたことない」と思った人にお伝えしておくと、先日友だちと人と話していて、ポロっとでてきた私の造語です。)
■ 「理想価値観」ではなく「行動価値観」を知り意識する
<理想とは、自分がどうあるべきかを描いた絵だ。一方、価値観とは、実際に自分が大事にしているものだ。理想は外側から押しつけられるもので、価値観や志は自分の内側から生まれるものだ。別の言い方をすれば、理想は偽物で、価値観は本物である。> 『自意識(アイデンティティ)と創り出す思考』より
この一文はかなり刺激的な表現を使っているけれど、書かれていることは真実だとおれは感じています。
価値観を問われたり考えたりしているとき、そこでイメージしているのは実際の価値観ではなくて、「在りたい姿」や「理想の自分」になってしまっている人は少なくないんじゃないでしょうか?
文字通り考えれば、価値観は「何に価値を観るか(あるいは観ないか)」なので、自分の行動と観ている価値が一致していなきゃいけないわけではありません。
でも、「わけではない」けれど、価値観と行動がずれていると、人はいろんな問題を抱えることになる気がします。 自分自身を疑ったり、ディスったり、激しい自己否定に走ったり…。
ある種の「認知不協和」を自ら生みだし、それに苦しんでいる状態と言えるかもしれませんね。
そしてそれは、わざわざ自分から「幸福」から遠ざかってしまうような行動を取っているということです。
では、どうすればいいのか。
理想で考えるのではなく、例えば以下の記事で紹介している14の「職業的価値観」を自分の行動に照らし合わせ、どれが「実際に自分が取っている行動と一致しているか」をチェックしてみてはどうでしょうか? そしてできれば、それに順番をつけて自分の「行動価値観ベスト5」を作ってみましょう(もしここに書かれている14の「職業的価値観」がピンとこないのであれば、自分でいろいろと追加してみてもよいと思います。)
「頭の中にある理想」ではなく「日常の行動」こそが、その人の価値観をメッセージとして届けています。そして、メッセージが向かっていく先は、他者に対して以上に自分自身に向かっていきます。
あなたが実際に行っている行動と、それらがつなぎ合わされたストーリーこそが、あなたの「行動価値観」です。
■ 「行動価値観」に理想を少し入れこんでみる
<僕らの心の中にはシロクマとクジラが住んでいて、それらは氷の上と下の別々の世界に住んでいるから、ふだんは出会わない。互いが互いのことを知らない(…)重要なことはシロクマとクジラが取っ組み合いをすることで、僕らの心が豊かになるとフロイト先生が考えていたことだ。 自分の中にあるものと向き合い、葛藤することには価値がある。そうフロイトは考える> 『居るのはつらいよ ケアとセラピーについての覚書』より
知ること、そして意識することは、自分の行動パターンや習慣にも影響を与えます。
ただ、その影響の強さは人によって結構違いがあるので、それだけで行動が自分の理想に近づき自分を認めやすくなる人もいれば、それだけだと「自分を大事にして幸福に近づける」までには至らないという人もいるでしょう。
あるいは、つなぎ合わされたストーリーにより自分の行動価値観をはっきりと理解したら、まったく共感できず「自分の価値観だと認めるのが辛い…」という人も中にはいるかもしれません。
そして数カ月してから改めて自分の「行動価値観ベスト5」を作れば、きっとそこには新たな行動価値観が加わっているはずです。そうしたらまた新たに、日常の行動に取り込めそうなものを理想の中から選びましょう。そしてそれを日々実践すれば…。
また同時に、自分の行動価値観の中に「これは本当は好きではない」と感じるものがあれば、その行動をどうすれば減らせそうか、ちょっと考えてみましょう。
■ 「行動価値観」に合わない行動を取るときはそれを意識する
<首尾一貫感覚は、「Sense of Coherence」が直訳された言葉で、文字通りの意味では、自分の生きている世界が「首尾一貫している」(Coherence)という感覚(Sense)を持っていること、となります。言い換えると、首尾一貫感覚が高い人は、自分が生きている人生について「腑に落ちる」という感覚を持っている(…)自動思考のもとには、往往にしてこのような"自分に染み付いた価値観"が存在しています> 『「首尾一貫感覚」で心を強くする』より
「これは本当は好きではない」と感じる行動をどう減らせそうか、考えてみて、実際に実行できるものもあればできないものもあるでしょう。でも、まずは考えることが重要です。そして、本当は好きではないことをするとき、「これは本当は好きじゃないんだ。でも、今はしょうがない事情があるんだ」と意識しましょう。
「それを意識するのがツラいから、普段は思い描かないようにしているんじゃないか…」という方もいらっしゃるでしょう。でも、それをやっていると、それが自分の行動価値観になってしまい、いつしかどっぷり身についてしまって深く奥底へと沈んでいきます。
そして何かのタイミングにブワッと浮上してきて、自分自身を疑ったり、ディスったり、激しい自己否定に走ったりしちゃうんじゃないでしょうか。
だから、ちゃんと自分自身を騙そうとしないで、「合わないことをしている」事実とそれがなぜなのかという理由を、自分自身に伝えて行く必要があると思うのです。
そうしていれば、あるとき「あれ? 本当に今もこの理由って存在しているんだっけ?」「そろそろ変えてみても大丈夫かもしれない」というタイミングを、逃さずに捕まえることができるんじゃないでしょうか。
■ 「理想価値観」ではなく「行動価値観」を知り意識する
■ 「行動価値観」に理想を少し入れこんでみる
■ 「行動価値観」に合わない行動を取ときはそれを意識する
どれかピンと来るもの、あったでしょうか? もしよかったら、1つだけでも試してみてください。
多分だけど、少しは幸福に近づけるんじゃないかなって思うから。
Happy Collaboration!