2013年読書大賞発表! - 超主観「良い対話ができた本」ベスト10
なんかバタバタしてるな……と思ってたら、そうかもう12月!
少し心を落ち着かせたいな、とこの週末は今年1月からの読書メモをパラパラと読み返してみました。今年もだいたい100冊くらい読んだみたい。
本の読み方って、けっこう人それぞれで個性がでますよね。私が「良い読書ができたなぁ」と感じるのは「本と会話したな」という読後感が得れたときです。
自分なりに本が発しているメッセージを受け止めて、頭の中にたくさんの言葉が生まれてくる状態。ストーリーやメッセージを一方的に受け取るのではなく、本とインタラクションして何かが発生する感じを「会話した ≒ 読書した」と捉えています。
ということで、まだ残り3週間くらいありますが、今回は今年一年の読書を振り返り「これは良い会話ができた!」という10冊を選んでみました。
書籍名と著者名の後ろに、自分が読後メモに書いたセンテンスを1つ2つ加えておきます。
以下3点、事前にお断りしておきます:
- 2013年に「読んだ」本であって、出版自体が新しいわけではないです
- あくまでも「私」の超主観です
- 「読後メモから」は、本からの引用と私の感想が混ざりあってます
1位: 『MEDIA MAKERS』 田端 信太郎 著
■読後メモから: 目まぐるしく移り変わる表層と、ゆっくりとだが確実に変わっていく底流
社会全体の「地層」はミルフィーユのように重奏的に重なり合って営まれている。都市構造のようなものは極端にゆっくりしか変わらないが、社会や技術環境の変化は確実に都市の構成も変えていく。
自動車がベッドタウンやショッピングモールを生み出したように、IT技術やソーシャルメディア、スマートフォンの普及が都市の骨格を変え、ひいては街の景観やライフスタイルを変え、ゆっくりではあるものの確実に働き方や企業の組織構造をも変えていくだろう。
2位: 『ワーク・シフト』 リンダ・グラットン 著 / 池村 千秋 訳
■読後メモから: 「キャリアの脱皮」を成し遂げた人の典型的なパターン
理屈を頭で考えてから行動を変えるのではなく、まず行動を変えることにより考え方を変えていく。少しずつ新しい世界に触れ、新しい人間関係に接し、新しい役割を担うことを通じて、既存の専門分野とは別の分野で専門技能と知識を育んでいく。
関連ブログ: 8対2的読書メモ - 『ワーク・シフト』
3位: 『社員を大切にする会社 ―― 5万人と歩んだ企業変革のストーリー』 ヴィニート ナイアー 著 / 穂坂かほり 訳
■読後メモから: 透明な家は、家の中の文化に驚くべき効果をもたらす
窓が大きければ大きいほど、汚れは目に付きやすい。自分たちにも、来客にも、通行人の目にも。
4位: 『世界の経営学者は今なにを考えているのか』 入山 章栄 著
■読後メモから: Know-Who(トランザクティブ・メモリー)
「情報の共有」というが、組織の全員が同じ知識を有するためにコストをかけるのは非効率。それよりも、組織のメンバー間の交流を深めることで自然にトランザクティブ・メモリーを形成する。
5位: 『私とは何か――「個人」から「分人」へ』 平野 啓一郎 著
■読後メモから: 自分が知っているの相手の分人だけで裁いてはならない
学校でいじめられている人は、自分が本質的にいじめられる人間だなどと考える必要はない。それはあくまで、いじめる人間との間の分人でしかない。
放課後のクラブ活動や自宅で家族と過ごしている時に快活で、楽しい自分になれると感じるなら、その分人を足場として、生きる道を考えるべきだ。
6位: 『採用基準』 伊賀 泰代 著
■読後メモから: 問題解決リーダーシップとは、答えの質そのものの向上を追求するためのスキル
思考を深められるよう視点を何度も変更してみたり、みんなの発想を刺激するために思わぬ角度から質問を投げかけてみたり。時にはあえて反論を述べ、参加者の意思や論理構成がどれほど強固なものか、試してみる場合も。
7位: 『単純な脳、複雑な「私」』 池谷 裕二 著
■読後メモから: 脳は、感情を後から修正して作り上げる
好きな人を振り向かせたければ「プレゼントをあげる」のではなくプレゼントをもらう。あるいは仕事を手伝ってもらう。
自分が取った態度が感情と矛盾するのを人は嫌がる、そして取ってしまった行動は変えられないので、行動にふさわしい感情に無意識に修正してしまう。
8位: 『ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則』 バーバラ・フレドリクソン 著 / 高橋 由紀子 訳
■読後メモから: ネガティブ感情とポジティブ感情のそれぞれの役割り
ネガティブ感情は「何ができるか?」と考える思考の範囲を狭くする。これは、危機における生存や生殖に有利な行動につながりやすい。
一方、ポジティブ感情は思考の範囲や行動を広げる。これは、より長期的に危機を遠ざけるために強く役立つ。
9位: 『ウェブ社会のゆくえ――〈多孔化〉した現実のなかで』 鈴木 謙介 著
■読後メモから: ウェブは既に(というよりも始めから)現実空間と区別の付かないもの
ウェブで起きていることだけを独立して論じたり、あるいは現実はウェブよりも重要で優先されるべきものであるという前提に立って議論したりすることはもはや無意味。
10位: 『社会人のための社会学入門』 井原 久光 著
■読後メモから: 情報は主に自己の外部にあり、解釈を通って自己の内部の知識になる
情報や知識は主に過去のモノであるのに対し、解釈は現在進行形。
組織学習やナレッジマネジメントは、情報や知識をモノ(例えばキャッチボールのボール)のように扱うという発想から抜け出ていないのではないか。
正直1位から5位までの5冊の間と、6位から10位の5冊は、それぞれどちらもほぼ差がなく、エイっと無理やり順位をつけました。
なので明日になったら入れ替わっているかもしれません。それくらい1位~5位、6位~10位は僅差です。
以下、10位内には入れなかったものの、良い会話をさせていただいた本たちです。
著者の皆さま、ステキな本を書いてくれてありがとうございました!
『鈍足だったら、速く走るな』 中竹 竜二 著
■読後メモから: 脳は、ゴール直前でチカラを抜くように必ずサインを送るようにできている。だから、100メートルを全速で走りぬくには、最初から120メートル先をゴールと設定すべき
関連ブログ: [究極のブレない人]中竹さんにやる気とチームづくりとスタイルについて聞いてみた
『幸福優位7つの法則』 ショーン・エイカー 著 / 高橋 由紀子 訳
■読後メモから: ミラーニューロンを使え! 微笑んで欲しければ心から相手の目を見て微笑みかけろ!
『BEソーシャル!』 斉藤 徹 著
■読後メモから: 秘密にすることとオープンにつながること。どちらがより大きな価値を創造するのか
関連ブログ: セミナーレポート『透明な時代、私たちビジネスパーソンはどうあるべきか?』 by ループス斉藤さん
『みんな集まれ! ネットワークが世界を動かす』 クレイ・シャーキー 著
■読後メモから: あるグループのありふれたアイデアは、他のグループにとって価値ある見識になりえる
『10万人に愛されるブランドを作る』 中田 華寿子 著
■読後メモから: 「他の人にも広めてほしい」と、他力本願でただ待つわけにもいきません。「広まりやすくする工夫」をするのが、マーケティングの仕事
関連ブログ: 読書メモ『10万人に愛されるブランドを作る!』 ライフネット生命 中田さんの講演を前に
『グラフィックデザインで世界を変える』 シー・アンドリュー 著 / 北村 陽子 訳
■読後メモから: ときには大掛かりな解決策を生み出そうとせずに、自分の持てる時間でできることで良しとする必要がある
『不格好経営』 南場 智子 著
■読後メモから: 本当に必要な情報は、当事者となって初めて手に入る
『すべては「先送り」でうまくいく』 フランク・パートノイ 著 / 上原 裕美子 訳
■読後メモから: 経験の数を増やすには限界があるが、一つの経験から学べる量には限界がない
『こんなに働いているのに、なぜ会社は良くならないのか?』 森田 英一 著
■読後メモから: 「成長の時代」から「成熟の時代」へ
『スタンフォードの自分を変える教室』 ケリー・マクゴニガル 著、神崎 朗子 訳
■読後メモから: 脳は前頭前皮質の活動に必要以上に早めにブレーキをかけさせようとする
『あたらしい働き方』 本田 直之 著
■読後メモから: 何か新しいものに触れた時、検索で終わらせずに頭で妄想することが大事
『考える生き方 空しさを希望に変えるために』 finalvent 著
■読後メモから: 自分の子どもじゃなくても、一定の割合で障害を持った子どもは生まれる。人類には、その確立を負って生まれてきた子どもに対する責任を、社会で分かち合う責任がある
『ソクラテスはネットの「無料」に抗議する』 ルディー和子 著
■読後メモから: 「プロスペクト理論: 人間は損失を同額の利益よりも2~2.5倍大きく感じる
『新版 動機づける力―モチベーションの理論と実践』 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー編集部 著
■読後メモから: 予測の自己実現: 予測が原因となって、その予測どおりのことが実現する
『サラリーマンの悩みのほとんどにはすでに学問的な「答え」が出ている』 西内 啓 著
■読後メモから: 人生における収益性を上げるためには、常に知識を共有する姿勢と、知恵やアイデアの化学反応が起こっている場に居続ける事
『つながりの作法』 綾屋 紗月 & 熊谷 晋一郎 著
■読後メモから: 竹細工でもなあ、乱暴にやりゃあぽきんと折れるじゃろう。ゆるりゆるりと、しなる竹をやさしゅうに曲げにゃあいかん
『コミュニティデザイン』 山崎 亮 著
■読後メモから: イベントの準備こそがチームビルディングの好機
『一億総ツッコミ時代』 槙田 雄司 著
■読後メモから: そのままの自分を出すことは「ボケ」です。そしてまわりの「ツッコミ」を受けながら、自分という作品を形作っていく
『走る哲学』 為末 大 著
■読後メモから: 流動性が低い社会は、他人に嫌われる事を極度に恐れさせる
これからもたくさんの本と、いっぱいお話したいです。