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好奇心でズレを調整する | #好奇心 について調べてみた

 

先日、最近仲良くなった友人に、「パチさんって好奇心が強い人ですよね。すごくいいことだと思います」と言われました。

「うん。自分でも強いと思うよ」と応えつつも、「はたしておれが"好奇心"だと思っているものは、本当に好奇心なのだろうか? ひょっとして"好奇心に似た別のモノ"だったりするのではないか? あるいはおれの好奇心の強さは本当に"いいこと"なのだろうか?」など、いろんな疑問と興味がむくむくとわいてきて、「好奇心」についていろいろと調べてみました。

 

ちょっとした事情もあり、まだしばらくは「好奇心」について調査を続けるつもりなのですが、誰か読んだ人から「これも見ておいた方がいいよ!」ってアドバイスやコメントを貰えることを期待して、ひとまずこれまでのメモをここにまとめておこうと思います。

 

目次

 

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■ 好奇心の定義

好奇心の定義を調べると、たいていこんな感じのことが書かれています。
「珍しいことや未知のことなどに興味や関心を向け、物事を探求しようとする心。知的活動の根源となる感情。」

「心と感情…えっと、それってどう違うんだっけ同じなんだっけ?」などと違うことに関心が向かい、調べ始めてしまうとキリがなくなりそうなので、ひとまずこんな感じで。以下参考。

 

ちなみに、英語のCuriosityは「a desire to know or learn more about something.」という定義が一般的みたい。日本語よりさっぱりしていて分かりやすい?

 

■ 好奇心と興味、関心、探究心?

ここまででもおれの心の中では「興味がわいた」り「関心が向か」ったりしているんだけど、はて、好奇心と興味や関心って、どこが違うのだろう? 探究心なんて言葉もあるけど…ということで、簡単に。

  • 興味 | 面白いと感じ、物事に心が引きつけられること
  • 関心 | あることに特別に注意を払うことやその感情
  • 探究心 | 対象を絞り、その物事の本質を明らかにしようと追い求めようとする感情

 

…「興味・関心よりは強め」「探究心よりは広め・短め」くらいのざっくりした理解でいいかな。あんまり違いを気にする必要ないかもっていうのがおれ的なまとめです。

ちなみに好奇心の対義語は「無関心」だそうです。以下参考。

 

■ 好奇心の5つの類型

ここまでは基礎編。ここからはおれが本当に探究心を持っているエリアに近づいていきます。

好奇心を学問領域として捉えた研究では、これまでいくつかの分け方で「好奇心の種類」が挙げられています。おれが気になるのはポジティブ心理学の世界でもよく知られているジョージ・メイソン大学トッド B. カシュダン教授らによる5類型です。

「好奇心が強いか弱いか」あるいは「どれくらいあるか」という見方しかしてこなかった人にとっては(おれもそうでした!)少なからず「なるほどね!」というところがあるのではないでしょうか。

 

1. Deprivation Sensitivity 欠落感

知識や情報が足りないと気づき不快を感じる。不足感を補うおうとする。

問題解決に取り組む姿勢が強く、知識・情報のギャップを埋めるために努力・行動する人に強いタイプ。

 

2. Joyous Exploration 心躍る探求

素晴らしい事物に驚嘆し魅了された、心地よい状態。

学ぶこと自体に喜びを見出していて、生きる喜びを感じやすい人に強いタイプ。

 

3. Social Curiosity 社会的好奇心

話す、聞く、観察を通して他者の思考や行動を知ろうとする好奇心。

相手の情報を知ろうとすることに力を注ぐ傾向があり、噂話に強く関心を示すこともあるタイプ。

 

4. Stress Tolerance ストレス耐性

新しい、あるいは珍しいものごとや状態に対する不安を受け入れ、活かそうとする意思。

新しい場所やことにも寛容に接し、活かそうとする姿勢の人に強いタイプ。

 

5. Thrill Seeking 高揚感の追求

複雑で変化に富む強烈な体験のためなら物理的、社会的、経済的リスクを負うことも厭わない姿勢。

人生には高揚感が必要と考え、直面する不安も快楽の必要要因として捉えることも多いタイプ。

 

なお、ダイヤモンド・ハーバード・ビジネス・レビュー2018年12月号『好奇心』に、「どの類型の好奇心をどれだけ持っているか」を測定する自己評価テストが載っています。

さほどおもしろくない結果ですが、おれのテスト結果も載せておきます。

 

  • 欠落感 | 4.4(3.7を下回ると低く6.0を上回ると高いとされている。米国人の平均サンプルは4.9)
  • 心躍る探求 | 5.8(4.1を下回ると低く6.3を上回ると高いとされている。米国人の平均サンプルは5.2)
  • 社会的好奇心 | 4.2(3.0を下回ると低く5.8を上回ると高いとされている。米国人の平均サンプルは4.4)
  • ストレス耐性 | 6.2(3.1を下回ると低く5.8を上回ると高いとされている。米国人の平均サンプルは4.4)
  • 高揚感の追求 | 4.8(2.8を下回ると低く5.2を上回ると高いとされている。米国人の平均サンプルは3.9)

以下参考。


■ 好奇心はどこから来るのか? 拡散的好奇心と特殊的好奇心

好奇心が生まれる、あるいは表出するのはどんなときか? という心理学を中心とした研究から出てきたのが、人は、自分の日常に対する認識的枠組みと外界から受ける情報とのズレ、つまり「刺激」に対して好奇心を用いるというものです。

具体的には、以下2つの好奇心を用いて、刺激に対してバランスを取ることで自分にとって心地よい状況を作ろうとします。

  •  刺激が足りてないとき「拡散的好奇心」(Diversive Curiosity  ) | 未知の情報を求め広い範囲へ関心を向けようとする。「ズレ」を求めるプロセス。
  •  刺激があり過ぎるとき「特殊的好奇心」(Specific Curiosity  ) | 一つの目的に絞って状況の理解を深め、興奮を落ち着かせる。「ズレ」を低減するプロセス。

 

これは誰もが特別な状況のときは特殊的好奇心を、日常的なときは拡散的好奇心を主に使っているのではないでしょうか。

 

■ あなたは好奇心旺盛ですか? もしそうなら、「僕」を多用しがちで数的思考力が高いのでは?

最後に、調べている中で見つけた「これはなかなか興味深くて探究心が刺激されるぞ」というデータを。

 

・ 「僕」を多用しがちな人は好奇心が強い。

Twitterへの書き込み内容を分析して書き手の性格(パーソナリティー)を推定するというIBM 東京基礎研究所の研究結果です。以下引用。

代表的なところでは、例えば、「僕」を多用しがちな人は好奇心が強い傾向があり、「ひらがな」を多用する人は比較的おおざっぱな傾向が強いことなども面白い発見の一つです。また「格助詞」を多用する人は、冷静で、繊細で、好奇心が高い傾向があるという発見もありました。

 

・ 成人の知的好奇心と数的思考力

OECDによる16~65歳を対象とした「国際成人力調査(PIAAC)」によると、日本人は数的思考力の平均点はかなり高いが、一方で「新しいことを学ぶのは好きだ」という問いへの肯定的回答は極端に低い(知的好奇心が低い)というデータが出ているという。以下引用。

日本人の知的好奇心は20歳ですでに老いている
年齢を重ねるに伴い、知的好奇心はしぼんでくる。年齢グラフでは右下がりの傾向になるのだが、スウェーデンと日本のグラフを左右に並べてみると、衝撃的な事実がわかる。
日本の20歳の知的好奇心は、スウェーデンの65歳とほぼ同じだ。2つのグラフは、まるでつながっているように見える。日本人は、スウェーデン人の老後の世界を生きているかのようだ。

 

・ あなたは好奇心があるほうですか?

こちらは世界との比較ではなく、日本人の男女年齢別(20〜60代の男女1,357名へ)の「自分は好奇心旺盛なほうだと思うか」という2018年実施の調査結果です。以下引用。

「好奇心旺盛だと思う」と答えた人は、全体で44.1%もいることが判明しました。年代男女別では20代女性の割合だけが男性より高く、30代以上では男性の方が多いという結果になっています。


■ 振り返り

自分がストレス耐性型の好奇心が強いっていう自覚がなかったので、自己診断の結果が意外でした。
ちなみに、ストレス耐性はこちらの6つの要素「感知能力」「回避能力」「処理能力」「転換能力」「経験」「容量」により決定されるものだそうです。以下参考。

 

そしてこの後は、好奇心とSOC(Sense of Coherence | 首尾一貫感覚)の関連性について調べてみたいと思っています。「ここ見てごらん」があったらぜひ教えてください。

…と書きつつも、拡散的好奇心に飲み込まれて興味の向くままにまったく別のことを調べちゃうかも?

ひとまず好奇心については、今日のところはここまで。

Happy Collaboration!