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エンタープライズソーシャル・フェスティバルと社会的手抜き、あるいは文化遅滞

8月1日、『エンタープライズソーシャル・フェスティバル 2013 ~社内ソーシャルネットワークのミライ~』というループス・コミュニケーションズ主催のイベントが開催されました。

企画段階から当日のパネル・ディスカッションのモデレーターまでどっぷり関わってきた自分が言うのもなんですが、なかなか良いイベントだったのではないかと思っています(ええ、自画自賛ですとも! w)。

 

参加いただいた八田さんが、当日の様子をブログ『ソーシャルウェアの力を再発見。エンタープライズソーシャル・フェスティバル 2013 に参加しました。』に書いてくれています。

そして、イベントのメイン・スピーカーの一人である大川さんも『エンタープライズ・ソーシャル・フェスティバル2013で再認識したリスク対処の重要性』に書いてくれています。ぜひ読んでみてください。

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パネル・ディスカッションで、短い時間ながらも「2-6-2の法則」に触れました。

2-6-2の法則とは、すごく簡単に説明すると、人間であれ蟻であれ、組織がある程度の規模になると「優秀な2割と平均的な6割とダメな2割に落ち着く」という法則です。

これを踏まえ、パネル・ディスカッションで、『いわゆるボトムの二割をエンタープライズソーシャル・ネットワーク(ESN)は変えられるか?』という問いを、パネリストの皆さんに投げかけさせて頂きました。

答えは、ESNは、企業文化を変化させ、働き方に大きな影響を与えるもの、あるいはその可能性に満ちたものではある。とは言えESNは魔法の杖ではないので、ボトムの二割が「クビにさえならなきゃイイや」というスタンスで仕事をしている社員であれば、彼らをやる気に溢れる人に変えることはできないだろう(ただし、自分が必要とされる場面を見つけたり、社内のすごい人に触発されたりして変わる人が、いくらかの割合では出てくるのではないかとは思います)というのが私を含めたセッション参加者の意見でした。

と、ここまでがパネル・ディスカッションの振り返りです。

ここから先は、ディスカッションの振り返りとは切り離し、関連するテーマで私の考えを書こうと思います。

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■ リンゲルマン効果/社会的手抜き

動物や昆虫などの生き物は、ある程度の規模の集団になると、自覚的/無自覚的によらず手を抜いてしまうという「リンゲルマン効果/社会的手抜き」と呼ばれる現象を聞いたことがあるでしょうか。

よく知られているのが、リンゲルマンという人が100年ほど前に調査した「綱引き実験」というものです。

 

綱引きをするとき、人数が増えるほど一人あたりの発揮する力は減っていくという結果が出ています。

簡単にいえば、1+1は2にならないということ。

一緒に作業する人数が多ければ多いほど、人は自覚的であれ無自覚であれ手を抜いてしまうというものです。

社会科学とか行動心理学とかが好きな人にはお馴染みの話かもしれませんね。

でも、誰にとっても、人が増えると無意識のうちに手を抜いてしまうという話は、「あるある!」と感じられるのではないでしょうか。

 

これ、見逃していけないのは「自覚的/無自覚的に」という部分じゃないでしょうか。

先ほど書いた2-6-2の法則のボトムの二割の中には、「無自覚的にボトムの二割」に入ってしまっている人がいるのではないかと思うのです。

「サボってる」とか「手を抜いている」という自覚がないうちに、出し惜しみしてしまっている人がいるとしたら…。

もったいないですよね。

では、どうしたら良いのか。

一般的には、これを防ぐには、一人ひとりに自身の存在や役割りの重要さを知ってもらうことと言われています。

 

でもその前に、まずはこの「リンゲルマン効果/社会的手抜き」という現象の存在を、知ってもらうことが大切ではないかと私は思っています。

「あれ、もしかしたら私は今リンゲルマン効果に陥ってるかも…」と、自身がそこに陥っていないかを気にしてもらうだけで、大きな変化がありそうです。

さらに、頻繁にそうした気付きを得られるよう、ESN上での個人の活発度などを見える化したり、都度都度その人が果たしている役割りの本質的な意義などを感じてもらう施策をとるだけでも、ボトムの二割が「一割八分」になったり、同じボトムでも「六割寄りのボトム二割」になったりということは十分ありそうだとは思いませんか?

グラフは雰囲気ですww グラフは雰囲気ですww

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■ 文化遅滞説

これも社会科学とか行動心理学とかの本などでよく目にするものですね。

(あ、ちなみに私は学校などで社会科学や行動心理学を学んだことはなく、趣味でちょこちょこ調べたりしている程度です。ですから、かなり偏った理解をしている可能性がありますのでご了承ください。)

簡単に説明すると、文化遅滞説とは、科学技術などの物質文化に対する心理的抵抗よりも制度や習慣などの非物質文化/社会的文化に対する心理的抵抗の方が強いため、そのギャップが社会や集団に混乱や不安をもたらすと言われているものです。

 

……簡単じゃないですね。もっとざっくり言います。
技術の変化は人間の思考や習慣が追いつくよりも速く、マインドチェンジが間に合わないことがいろいろな摩擦や問題を引き起こすということです。

これをESNにあて嵌めて考えていくと……。

どうでしょうか。多くの場合、推進者としてはより一層強く目を向けるべきは、社内のソーシャルという文化やオープン・コラボレーションという考え方に対するスタンスや行動、つまり「非物質文化」の方なのではないか、とは思いませんか?

この辺りは今まさに、私自身が意識的に実践しているところでして、今後、このブログやITL、さまざまなセッションなどで実践の場から見出したものを伝えていければイイなと思っています。

それではまた!

…の前に、最後にもう一度フェスティバルを振り返り、イベントの実行委員長でありin the loop編集長の岡村さん、ありがとうございました。

そして、イベントに多大なサポートいただいたミクシィさん、ケンタッキーフライドチキンさん、ループスの皆さん、本当にありがとうございました!

 

Happy Collaboration!