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生物多様性×ビジネスのこれからを丸の内で考えた

8月7日の夜、「丸の内から考える生物多様性×ビジネスのこれから ~丸の内いきものランド調査報告~」というイベントに、パネリストのひとりとして参加してきました。

 

https://tmipguest230807.peatix.com/

パネル・ディスカッションはちょっと短めだったのですが、話しているうちにどんどん話したいことが溢れてきました。そして「案外いいこと言ったのではおれ?」という気もしているので、忘れないうちにここにも書いておこうと思います。

喋り過ぎました…

イベント全体

その前に、まずはイベントの内容について。
イベント全体の趣旨やIBMが有志で取り組む理由などについては、こちらをご覧ください。

 

そしておれにとってのこのイベントの主な目的は、以下の3つでした。

  1.  「生物多様性と企業に求められる要素」の理解を確認し、深めること。
  2.  取り組み内容とその結果、そしてインサイトを共有すること。
  3.  これからのアプローチ方法をみんなで考え、仲間を見つけつながること。

1は、NRI 野村総合研究所の漆谷さんが、包含的かつ分かりやすくお話ししてくれました。

2は、株式会社バイオーム創業者の藤木さんと多賀さんが、科学と情熱の両面から語ってくれました。

そして3は、竹中工務店の北野さんと戸田建設尾登さんが自社ビジネス領域を中心にお話ししてくれました。そしておれはちょっと違ったアプローチを含めてお話しさせていただきました。

 

LEAPアプローチ

1の、「生物多様性と企業に求められる要素」の「LEAPアプローチ」について、少しだけ触れておきます。

LEAPアプローチとは、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)が提唱する、自然関連のリスクと機会を科学的根拠に基づき体系的に評価するためのプロセス:

L(Locate): サプライチェーン全体を対象に自然との接点を発見し、優先すべき地域を特定する

E(Evaluate): 自社の企業活動と自然との依存関係や影響を診断する

A(Assess): 診断結果を基に、重要なリスクと機会を評価する

P(Prepare): 自然関連リスクと機会に対応する準備を行い、投資家に報告する

TNFDは、①完全性の低い(劣化している)生態系、②生物多様性の重要性が高い生態系(いわゆる生物多様性ホットスポット)、③水ストレスがある地域、の3つを優先地域と定めている。

TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が気候関連の情報開示スタンダードになったように、将来的にはTNFDに準拠した情報開示が主要な上場企業に義務化されると言われている。

LEAPアプローチとは・意味 | IDEAS FOR GOOD

 

おれが話したこと

それではここからはおれが話した内容を。

自己紹介チャート

EcoTeams@IBM on ポリネーターガーデン

  • 今回のイベントではIBMは「ハチ」をテーマにしたが、それはボランティアで環境への様々な取り組みを行う世界中の有志社員グループ「EcoTeams@IBM」が会社および家庭で「ポリネーターガーデン」の設置促准を行っているから。
  • ポリネーターとは、花粉を運ぶことで植物の繁殖を助けるミツバチやアブ、チョウや鳥などの動物たちのことで、ポリネーターは花の75%以上、人間の食料の75%近くの種の保存を担っているといわれている。
  • ポリネーターの代表格であるハチは、こまめに花蜜や花粉という食料や水を補給しなければ移動できない。なので丸の内のように距離間隔が空きすぎず花が咲いていることはとても重要だし、地域に花壇や植物がたくさんあることの意味は大きい(バイオーム多賀さんからのうけうり。)

 

「有志」での参加について | 「やらない理由」は本物か?

  • 何かの機会があり、それが自分の興味に関わるものであればやった方がいい。とはいえ、会社が絡んでくると、いろいろな「やらない理由」が頭に浮かぶことだろう。事業部やマーケティング組織を巻き込むのは簡単ではないし、越えなきゃいけないハードルは高いし、なんなら怒られるかも…。
  • 1つ提案したいのは、有志メンバーを募ってみること。同じような興味を持っていそうな人や、おもしろそうなことや企画物が好きな人に声をかけてチームを作ることを持ちかけてみよう。「1人も賛同者がいなかったら?」 …声のかけ方や時期が良くなかったのかも? ちょっと見直してみよう。
  • チームができたら、最初に頭に浮かんでいた「いろいろなやらない理由(時間が足りない…アイデアが足りない…勇気が足りない…ガッツが出ない…etc.)」の半分くらいは消え去ってはいないだろうか? 

 

やれば分かる | やるとつながる(つながりやすくなる)

  • 行動して参加することで、周囲に「やりたいこと」が可視化され、そこに「やりたい人」がいることが認知される。そうすると、「私も」「僕たちも」という同じ思いをした人たちが集まるきっかけとなる。
  • 次に「何かの機会」が会社に来たときに、「前例」であり「事例」として、話が自分たちにやってきやすくなる。そして受けやすくなる。もっと言えば、「何かの機会」を待つ必要はなく自ら機会を作って社内外を巻き込もうとしたってOK。
  • 「実行した」ということは「やれる」ということの証。次は、テーマを横にずらしてやるのもよし。規模を広げてやるのもよし。対象を変更してやるのもよし。ネットワークを広げて、チームを強くしていこう。

 

餅は餅屋。プロと手をつなごう。

  • 企業として、自社のビジネス領域と自然との依存関係や特性、地域コミュニティーとの望ましい関係を考えて、生物多様性に取り組もう。TNFDの「LEAPアプローチ」ももちろんいいのだが、積極的にプロフェッショナルとの関係性を深めることを検討してはどうだろう。
  • 自社だけでできることは多くはないだろう。他社やNGONPOと積極的につながり一緒に活動しよう。今回の「丸の内いきものランド」もそういった取り組みの一つ、あるいはきっかけだ。個人的に特にオススメしたいのは、科学と倫理の両面からアプローチする、いわゆる「クールヘッド・ウォームハート」な、バイオームやUMITO Partners、バードライフ・インターナショナルのような組織だ。
  • 今後、そうしたパートナー企業選定の指針となるものの1つがB Corp認証だ。環境保護や対策に力を入れていても、他の部分が「良くない」会社とは手を結びたくないだろう。環境はもちろん、コミュニティーやガバナンス、従業員などの点でも「ディーセント(「きちんとした」「適正な」)」で、公益性の高い企業だけが認証されている。
    日本ではまだ数少ないB Corp企業の1つがUMITO Partnersだ。