社内ソーシャル導入後のステップ/フロー
社内ソーシャル、あるいはECP(社内コラボレーション・プラットフォーム: Enterprise Collaboration Platform)を導入した後に、推進役が念頭に置いておくとよいステップ、あるいはユーザーが辿る典型的なフローについて考えてみました。
先に言っておきますが、ある程度自分で社内ソーシャルやオンライン・コラボレーションの推進をしたことがある方にとっては「何をいまさら…」な当たり前の事しか書いてません!
でも、この辺りの話が聞きたいってリクエストもちょくちょく頂きますし、自分自身の頭を整理するためにも書いてみたいと思います。
ちょっとキャッチフレーズ的なものも欲しいので、語呂イマイチですが「AIRCSL: エアシスル」とでも呼びましょうか…(だから語呂悪いのは分かってますってば!)
AIRCSL: Awareness(認知) > Interest(興味) > Receive(受容) > Connect(つながり) > Share(発信) > Lead(先導)
■Awareness / 認知
まずは社内ソーシャルの存在をユーザーに知ってもらわないことには始まりません。パイロット・プロジェクトとして少人数でこっそりスタートするケースもあるでしょうが、認知の段階から全てをクチコミに頼るのはあまりに遠回りだと思います。
ここは「ソーシャル」ではなくても、従来のイントラネットやメールなどをフルに活用し、まずは知ってもらう努力が必要です。
■Interest / 興味
「知る=興味を持ってくれる」であればいいのですが、まあそう簡単に興味を持ってくれないケースの方が多いでしょう。
まずは、多くのユーザーか持つであろう疑問「会社はここで何がしたいのか」「どんな行動を期待しているのか」や、利用する上でのルール(就業時間内に使っていいのか、書き込んで良い/悪い内容などの制限事項)を明確にしておくことで、「漠然とした意識」を「ポジティブな興味」に変えていくことが必要です。
特に、掲示板などで過去にソーシャル寄りの試みを実施して失敗した経験のある企業ほど、「今回は何が違うのか」という過去を踏まえたメッセージが必要ですし、窓口などを明確にしておくことが重要になってきます。
■Receive / 受容
Recieve / 受容とは、社員の書き込んだコンテンツや、ツールの使われている様子を、一歩引いて見るている状態です。 最初からガンガン書き込みをするユーザーより、様子見的、あるいは懐疑的、もしくは困惑など、さまざまな状態のROM(Read Only Member: 見ているだけのメンバー/ユーザー)が多いのは普通のことです。
このステージにおいては、社内のハブとなっているキーパーソンに働きかけたり、以前から存在する社内サークルや勉強会に声をかけて使ってもらったりしてコンテンツを増やしていくのが大切です。そして、自分自身が積極的に1ユーザーとなり、ROMユーザーが使用方法や効果を見て取れるようにしていきましょう。
「使わないユーザー」が「使わない理由」は、こちらが思っている以上に多様なものです。ヒアリングなどを行い、そこをCareしていくことも大切です。
■Connect / つながり
最近のECPであれば、ユーザー同士が友人・仲間としてつながる機能を持っていると思います。
ソーシャルの最大の特徴はそのソーシャル性にあるわけで、まだA・I・Rのステージにいるユーザーを一気に次のステージに引き上げてくれる可能性が高いのもConnectです。 その意味では、ユーザーが通るフローの中でここが一番のキモとも言えるでしょう。 「この人はお友だちではありませんか?」と推奨してくれるような機能がツール自身に備わっていれば、そこはツールに任せていいでしょう。でも、もしそうしたものがないツールなら、コラボレーション推進キャラクターによる活性化や、社内キャンペーンを考えてみても良いでしょう。
また、ここでいうConnectは機能として人とつながるだけではなく、お気に入りのブログを見つけたり、特に自分にとって興味深そうな機能を見つけたりという、「プラットフォームそのものへのConnect」も意味します。
■Share / 発信
Share / 共有は、ユーザーがより主体的にかかわっている状態: すなわち自分から発信したり、コンテンツを流通させている状態です。
ユーザーにはそれぞれの事情があるものですし、心地よいShareのスタイルも違うもの。なので、基本的にはその人にあった機能を使ったその人なりのShareスタイルを応援しましょう。 例えば、ある程度じっくり考えてから意見や見解を発信したい人にはマイクロブログよりブログが向いているでしょうし、「自分の意見」を直接出すことより「興味深いwebページ」を流通させていく発信スタイルに価値を感じるユーザーもいることでしょう。
大切なのは、すべての機能をすべての人に使ってもらおうとし過ぎないことです。ただし、ユーザーが自分に合うものを選ぶには、ある程度それぞれの機能を知ってもらうこと必要があります。
■Lead / 先導
文字通り、社内ソーシャルを引っ張っていくリーダーたちです。
例えば、オンラインに軸足を置いた社内コミュニティーのリーダーや中心メンバー、あるいはブログやマイクロブログを通じてその人を中心、またはハブとしたコラボレーションを生み出すユーザーなどの「オープン・リーダーシップの実践者たち」で、この層からはむしろ推進役が教わることが多いはずです。 つまり、社内ソーシャルの推進役にとってはとても大切な仲間であり、同士となります。彼らは常に何かを必要としているわけではないでしょう。
でも(きっとあなたと同じように)彼らにも迷いがあります。そんな時、推進役とオープン・リーダーが相互にアドバイスしあったり、相談役になりあったりという関係が大切です。
また、社内コラボレーション・プラットフォーム全体から見ると、彼らオープン・リーダーたちの率いるコミュニティーやソーシャル・グラフを大きな1つのメタ・コミュニティーとしていくことも、社内ソーシャル推進者の大切な役割でしょう。
このステップ/フローの中には上手く入れ込めなかった点を少しだけ追記します。
肝心なのは、どこの要素においても「想い」と「人」です。「最初は手探りで推進役をやってる」のは構いませんが、ある程度の時が経っても「仕事だから」というだけでやっているとすれば、成功の確率はかなり低くなるのではないでしょうか。
複雑性は増してしまうものの、たくさんの社内ユーザーが活用し、活発なコラボレーションを願うのなら、マイクロブログ(つぶやき)機能や、共有ブックマーク、ブログ、Wiki、タギングなどの基本的なソーシャル機能は一通り揃っているツールの方がいいでしょう。
たいていの場合、推進側が想定している以上に「こういうことがしたい」「こういう機能はないのか」というユーザーのリクエストは増えてきます。後から別機能を追加したり、機能ごとにツールやプラットフォームが変わってしまうと、それだけ管理・運営サイドは大変な思いをすることになってしまいますから。
企業ごとにECP導入の主目的は異なるでしょうし、何よりも企業文化が異なるので、ステップやフローも「方程式」的に進むものではないし、マニュアル的な対応だけでは上手くいかないでしょう。
最後に、推進役が1人であれチームであれ、あなたやチームのスタイルがあるはずです。ステップ/フローにも書きましたが「ソーシャルの最大の特徴はそのソーシャル性」にあります。人が主役のプラットフォームでは、それを推進するあなたも主役である人の1人です。
どうか、「推進役」という役割りだけの色ではなく、チームらしさやあなたらしさを出した推進を目指してください!
今回、ちょっと意識的に断定口調を多く入れてみました。
自分が迷ってる時など、断定口調で書かれているものに説得力を感じたり、逆に否定的な気持ちを元に新たなインスピレーションが生まれることも多いもので…。
それが不快にさせたらごめんなさい(そして、なんだかあまりにも堅すぎたので、友だちの猫の写真入れまくりです!)。
と言うことで、参考になりところをちょっとでも見つけてもらえれば私Pachi的には大成功です。
そして「ここ違くない?」ってコメントも大歓迎です! お待ちしております。