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脱化石燃料と省化石燃料 | 気候クライシスをNHKで学ぶ

 

昨年暮れに「まずは難しさやしんどさを認め、受け入れるところから始めよう」と『無理心中と地球温暖化』を書きました。狙いは、気候クライシスに対するマイナス感情を吐き出してゼロにすること。

そして新年最初はアンサーソング的なブログを書き、ゼロからプラスに持っていこうと思っていたのですが、元日の21時からNHK地上波で放送されていた番組がとってもよくて、それについて紹介したくなりました。

まずはその番組のことを。そして最後にこんな感じで一緒にアクションしない? というお誘いを書きますね。

 

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NHKスペシャル | 10 Years After 未来への分岐点

地球温暖化をメインテーマにした番組で、その分野にとても詳しい方、あるいはまったく興味がない方じゃなければ、きっと多くの新しい知識や思いを得られます。やたらと危機感を煽るような作りの番組ではなく、じゃあ自分は今から何をしようか?! と考えさせてくれる番組でした。

もしこれを見ているあなたが間に合えば、再放送が1/7の深夜(1月8日 午前0時35分~1時50分)にあります。ぜひ!

番組の中で学んだことや心に残ったことを、気候危機関連のことを中心にメモしておきます。

 

■ 1.5℃は防衛ライン - 2030年までに気温上昇を1.5℃以内に抑えられるか

産業革命前と比較すると、地球の気温はすでに1℃上がっている。そして2030年までに1.5℃を超えてしまうかどうかが、大きな分かれ道。

ヨハン・ロックストロームポツダム気候影響研究所 共同所長へのインタビュー:

複数の臨界点を超えてしまうのが気温上昇1.5℃。それを超えると、温暖化暴走シナリオがいつ走り出すか分からない(「ホットハウス アース理論」)。

温暖化暴走シナリオ:

21世紀末には平均気温が4℃以上上がり「灼熱地球」となる。

  • 北極の氷が急速に溶け、海水が太陽に熱せられて、アマゾンが枯れた草原へと変化し熱帯雨林に蓄えられていた二酸化炭素が大量放出される。
  • シベリアやアラスカの永久凍土が融け、地下に蓄えられていたメタンガスが爆発を起こし、二酸化炭素の25倍の温室効果を持つメタンガスが大気中に大量放出される。

「灼熱地球」を避けるために、国連が提唱する「2030年までにすべきこと」:

石炭火力新設禁止、再エネ拡大、脱プラスチック、イノベーション、常識の変化(「そうは言っても石油もプラスチックも必要だし…」からの脱却)

国立環境研究所 地球環境研究センター 副センター長 江守 正多氏のコメント:

1.5℃は防衛ライン。21世紀末までの気温上昇レベルを1.5℃以内にするためには、2050年までに二酸化炭素排出量を「正味ゼロ(森林などの吸収分を差し引いて排出量をゼロ)」にする必要があり、そのためには2020年中に、排出量が減り始めていなければならない。

 

■ 海洋プラスチックごみは温室効果ガスを排出している

海洋プラスチックゴミの問題はマイクロプラスチックだけではない。プラスチックごみは、劣化/分解されていく過程で強い温室効果ガスを排出している。

NPOオーシャン・クリーンアップ代表 ボイヤン・スラット氏の活動紹介:

「世界の海からプラスチックごみを取り除く」をミッションとして活動している25歳のオランダ人ボイヤン。17歳のときにTEDで海洋プラスチックゴミの回収を訴え、現在までに世界中から44億円を超える資金と人材を集めた。何度かの手痛い失敗の後、昨年、独自のパイプを使った方法で大量の海洋プラスチックごみの回収に成功。

「海に出てしまう前の河口での対応が大事」と、現在はソーラーシステムによる自動運行ごみ収集ボートの開発・配備を進めている。すでにマレーシアやインドネシアでは運行が始まっており、今後5年以内に世界の1,000を超える川に展開する予定だという。

ボイヤンからのアドバイス:

  • 自分の行動が周りの行動を引き起こす。小さなことでも構わないのでまずは初めてみること。
  • 世界を変えるために必要なのは、意見が異なる人と争うのではなく、互いに合意できる未来を一緒に築き上げていこうという姿勢。
  • 自分の時間を世界をより良くするために使いましょう。

国立環境研究所 地球環境研究センター 副センター長  江守 正多氏のコメント:

  • 投資はものすごく大事で、環境に対策をしようとしている企業を応援する。
  • そしてもう1つはやっぱり政治。海外では気候変動問題が選挙の焦点になっているのに日本では…。
  • みんなが政治家に「あなたの気候政策は?」と聞くようになれば、政治家も変わらざるを得ない。

RE100プロジェクト:

事業の使用電力を100%再エネで賄うことを目指す国際的環境イニシアティブ。参加企業は世界221社、日本では30社で、流通大手イオンもそのメンバー。日本の電力量の1%を使用しているイオンは、現在再エネをかき集めており、将来は洋上風力発電に大きな期待をかけている。

(番組内では取り上げられていないが、中小規模の企業や団体向けの「再エネ100宣言 RE Action」という日本国内の環境イニシアティブもある。)

 

■ 気候危機以外の課題: 「水」「AI」「遺伝子操作」

  • 水の格差解消で平和と安全を - 水不足を解消し、世界中に安全な水を広げることが、格差の拡大と世界の紛争を防止するために必要
  •  AIが人類の脅威に - なんらかの手を早く打たねば、AIの軍事利用が進み2030年には大国でAI兵器が実戦配備されているだろう。そのとき、ブラックボックス化されたAIのロジックが、取り返しのつかない過ちを起こす可能性が高い。
  • 遺伝子操作が人類の脅威に - ゲノム編集をより厳しく制御しなければ、技術的には簡単なだけに、人類は取り返しのつかない過ちを起こしかねない。

番組の後半でニック・ボストロム氏(Future of Humanity Institute(オックスフォード大学)所長)のショート・インタビューが放送されていました。

去年12月にちょうど彼のTEDトーク(というかクリス・アンダーソンによるインタビュー)『How civilization could destroy itself — and 4 ways we could prevent it』を観て「おもしろいなぁ」と思っていたところだったのでタイムリーでした。21分とちょっと長めの動画ですが、オススメです。

 

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ここからは自分のことを書きます。

去年、ずっとこんな感じでモヤモヤしていました:

地球温暖化という気候クライシスを止めるキモは「二酸化炭素やメタンガスの排出を減らす」こと。なぜならこれがざっくり原因の8割を占めているから。でも、排出量のざっくり8割を占めているのは企業や国家…。

そんな状況の中で、個人でできる地球温暖化を1.5℃以内に抑えるための行動って、一体なんだろう?

 

今回の番組や、昨年末に発刊されたFRaU「SDGs」特集第2弾、そして環境問題のプロであり10年来の友人との対話の中で、以下の2つに分けて考えその両方で行動していけばよいんだと整理できました。

  • <脱>化石燃料のために、企業や組織に対して取れるアクション
  • <省>化石燃料のために、毎日の暮らしの中で取れるアクション

 

■ <脱>化石燃料のために、企業や組織に対して取れるアクション

  • 選挙活動している政治家には「あなたの気候政策は?」と聞く
  • 化石燃料に向けて行動している金融機関を選ぶ(化石燃料採掘支援している銀行にNoと告げる)
  • 電力や鉄鋼、建築などの環境負荷の高い「インフラ系企業」はよくよく吟味する
  • 気候マーチや署名に参加する

 

■ <省>化石燃料のために、毎日の暮らしの中でのアクション

  • 迷ったときは「要りません」と断る | Refuse - リフューズを3R(リデュース、リユース、リサイクル)より前に
  • 移動方法を考えてみる | 「もっと環境負荷の低い方法ってなかったっけ?」と。自分も、物も
  • 食べ物を買うときは生産地や輸送方法を考えてみる | 直接、あるいは近くから
  • 牛や羊より鳥や豚 | 反芻動物は二酸化炭素の25倍の温室効果を持つメタンガスを大量発生している
  • 新品を買わずに済ませられないかを考えてみる | セカンドハンズ、シェア、借りる、貰う
  • ペットボトルや買い物袋などのごみを減らす方法を実践する | マイボトル、マイバッグ
  • 取り組めるアクションとその意味を学び伝え続ける

 

おれは以前から環境問題よりも人権擁護に心を惹かれてきました。今もそれは変わりません。

でも、経済も政治も環境あってこそだし、そこがズタボロになってしまうと「格差」や「分断」「不透明さ」という戦争や紛争の芽が伸びてしまい、「人権の敵」がどんどん生まれ増え続けてしまうんですよね。

 

誰もが自由で自分らしくいられるように、気候危機をくい止めませんか。

Happy Collaboration!

 

参考ページ