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読書メモ『幸せのメカニズム--実践・幸福学入門』とトイレからの告白

もう一月以上前になるのですが、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科/研究委員長の前野 隆司さんのワークショップに参加する機会がありました。

「私たちは何のために生き、何のために働くのか?」 -- 幸福学とイノベーション思考から考える --

書籍『幸せのメカニズム』表紙

そのときに聞いた前野さんの話がとてもおもしろくて、「もっと詳しく知りたい人はこちらをどうぞ」と言っていた本を読みました。

これまで何冊かポジティブ心理学の本を読んできましたが、ほぼすべて翻訳本でした。そうか、日本でも大規模な調査や数学的な分析を取り入れていたものがあったんですね…。

『幸せのメカニズム - 実践・幸福学入門』

 

今回のブログ記事では、私がこの本『幸せのメカニズム - 実践・幸福学入門』の一番のポイントだと思う点と、巻末でまとめて紹介されている『幸福に影響する要因四十八項目』の中から「これはおもしろい」と思っている項目を紹介します。

 

■ 幸せは原因か結果か - どっちでもヨクね?

幸せの要因の多くは、それらを満たすとその結果幸せになるのか、幸せだとその結果それらを満たすようになるのか、わかっていません(…)実際、好循環の因果関係ループになっていて、繰り返しているのだと思います。そうであれば幸せなんですから、原因か結果かは気にせず、積極的に「つながりと感謝」を目指すべきだと思います。  

これは、幸せの四因子のうちの第二因子 である『「ありがとう」因子(つながりと感謝の因子)』の説明部分に書かれているのですが、すべての「幸せ因子」に関して非常に重要なことだと思います。

本の中でも、「楽しいから笑顔になる」のではなく「笑顔になるから楽しい」という因果関係が証明された実験結果や、「上を向くとポジティブな気分になる」という実験結果や、「(物理的に)暗い場所にいるとうつ状態になりやすい」という話が出てきます。

ともあれ、原因と結果の関係性がどうであれ、ポジティブであろうとしているとポジティブになれるのは個人的にも納得感があります。

 

これは、恥ずかしさもあってあまり人に言ったことがないのですが、実は私はちょっと大きめのセミナーで話をするときとか、あるいはあまり話し慣れていないことを説明するときには、始まる前にトイレの個室に行って、両腕をバンザイして上を向き、そのまま30秒くらい満面の笑みを作ることがあります。

これをやると、心配とか不安よりも、早くみんなの前で話したい、きっと何か良いフィードバックがもらえるに違いないっていう楽しみな気分になるんです。

そしてきっと、セミナーや説明会に来ている人たちだって、同じ話しを聞くのなら、ポジティブな気持ちで話している人の言葉のほうが耳や脳に入ってくるんじゃないかと思うんです。

 

なお、幸せの四因子は以下の通りです。「もうちょっと詳しく知りたいなって」方はこちらの記事『「幸せの4因子」を満たしていけば、幸せなまち、企業、社会を創ることができます | 2030年の「働く」を考える』がオススメです。

  1. 第一因子 「やってみよう」因子(自己実現と成長の因子)
  2. 第二因子 「ありがとう」因子(つながりと感謝の因子)
  3. 第三因子 「なんとかなる!」因子(前向きと楽観の因子)
  4. 第四因子「あなたらしく!」因子 (独立とマイペースの因子)

 

■ 幸福に影響する要因48項目からピックアップ

幸福に影響する要因48個の中から「これっておもしろいよね」って思った項目を紹介します。

 

医師より自分。幸せに重要なのは健康に関する自己評価

興味深いことに、医師による客観的な健康評価よりも、自己評価による(自分が健康だと思っていること)の方が、幸福感との相関が高いことが知られています。

 

重要なのは、友達の数以上に友達の多様性

同じような友達がたくさんいる人よりも、多様な友達がいる人の方が、幸せな傾向がある

 

どっちが簡単? 「所得倍増」と「月一でボランティア活動」

月に一回同好会の集まりに参加するだけで、あるいは、月に一回ボランティア活動に参加するだけで、所得が倍増するのと同じくらい幸福感が高まる

 

幸せになりたかったら他人のために金を使え

例えば五ドルのお金を、他人のために使うようにと渡された被験者は自分のために使うようにと渡された被験者よりも幸福度が高まったそうです。また、収入の一部を他の人にあげたり、慈善事業に使う人は、自分自身に使う人よりも幸福度が高いそうです

 

成績は高ければ高いほど良いわけではない

成績と幸福観には正の相関がありますが、非常に幸せな人は、もう少し幸福度が低い人よりも少し成績が低い傾向があるようです

 

最良の選択を追求するか、あるいは幸福を追求するか

「最良を追及する人」の場合、選択し得られたことの幸福感よりも、選択から外したものを得られたなったことへの失望を強く感じてしまう傾向があります

 

幸せになりたければ、美しいものを見るのではなく創る

美術館も、音楽会も、ダンス公演も、陶芸展も、みんな、人々にその場の感動は与えるでしょうが、その人に優位な影響を与えていなかったのです。 一方、美しいものを創っている人は幸せでした。おもしろいことに、ロックバンドで演奏している人も、管弦楽団の人も、絵を描いている人も、ダンスを踊っている人も、陶芸をやっている人も、華道をやっている人も、料理を作っている人も、何かを創っている人はみんな、幸せな傾向があったのです

 

f:id:dubbed_pachi:20210523092259p:plain 最後に、今回紹介した本には特に記載がなかった部分ですが、最初に書いたワークショップで前野さんが言われていたとても興味深いキーフレーズを3つ紹介して終わりとします。

 

◼︎ 幸せを生み出す4つの因子と、協創・イノベーションを生み出す4つの因子は共通している

  1. 自己実現と成長 : 創造性
  2. つながりと感謝 : つながり・協働
  3. 前向きと楽観 : ポジティブマインド
  4. 独立とマイペース : 独自性

 

◼︎ 従業員満足度(ES)から従業員幸福度(EH)へ

  • 幸福な社員はパフォーマンスが高い
  • 幸福な社員は創造性が高い
  • 幸福な社員は顧客からの評価が高い
  • 幸福な社員は欠勤が少ない などなど…

 

◼︎ 「働きかた」をイノベートする前に、「”働く”が指す意味」をリインベントした方が良いの、かも。

 

Happy Collaboration!