Collaboration Energizer | #混ぜなきゃ危険 | 八木橋パチ

コラボレーション・エナジャイザーとは、コラボレーションの場を作り、場のエネルギーを高め、何かが生みだされることを支援する人

多様性あれこれ(イノベーションと礼拝とフォルトライン理論)

 

「コラボレーション」について、個人としてもお仕事としても年がら年中ずーっと考えているわけですが、そのすぐ近くに、というよりもほとんど重なっているかのように「多様性(ダイバーシティー)」というテーマがあります。

ここ数日、続けざまに「多様性」についてあれこれ考えさせられる件があったので、メモしておこうと思います。

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■ オープンイノベーションの未来 - 多様性はイノベーションを生み出しているのか

オープンイノベーションの未来」というイベントに参加してきました。

3×3labo(さんさんらぼ)と、Impact Hub Tokyo(インパクトハブ・トーキョー)の中の人のショート・プレゼンの後、イベント会場でもあるClipニホンバシの中の人や、その他さまざまなサードプレイスやコワーキング・スペースなどと呼ばれているオープンな場所を運営している人たちを中心とした、ディスカッション・イベントでした。

「そもそもオープンって何を指しているのだろう?」「サードプレイスが本当に多様性につながっているのだろうか?」などなど、刺激的な議論が楽しめました。

詳細は後日オフィシャル・レポートが出るようですが、私の中では、それぞれのコワーキング・スペースやサードプレイスという場が、一つの企業以上に「多様性よりも画一性が高い場所になっているのではないか?」という仮説が膨らんでいった夜でもあり、「多様性の捉えかた」を改めて深く考えるきっかけとなりました。

オープンイノベーションについては先月こんなブログを書きました: オープン・コラボレーションとクローズ・コラボレーション

 

■ 多様性ってメンドくさいよ - 失敗と混乱と衝突の先へ

周囲を見渡せば、さまざまな企業や組織が、多様性を求めているようです。

曰く、「イノベーションを起こすには不可欠」「少子高齢社会を乗り切るために」「取り組まないと社会的なイメージが…」などなど。

これらを否定する気はもちろんありません。ただ、多様性の重要さを訴えると同時に、同じくらいの大きさの(でも少しだけ小さな)声で、きちんと言っておくべきことがあると思っています。

「多様性って、めっちゃメンドくさいよ」と。ちゃんと理解した上でやらなくちゃね。

イノベーション失敗 - 「イノベーションが起きやすい」の足元には「イノベーションには至らなかった」挑戦や花開かなかったアイデアがわんさと横たわっています。 効率を良くする方法はあっても、失敗を起こさなくなるわけではないです。

・ものごとがすんなり決まらない - 多様な意見が表に出され、俎上に載せられるのが「多様性が発揮されている状態」です。 「こんなの言わなくてもわかるだろっ!」なんて言い回しは通用しませんよ。

・説明責任が高い - 外国人や海外で育ってきた人たちの多くは、上層部の不可解な決定や意味不明な発表を「会社ってそういうものだよ…」で終わらせない人が多いです。そこには旧くからある「会社の理論」とは違う常識があり、情報不足がもたらす非効率を是としません。 「いいから黙っていろ」…多様性をお求めでしたよね。

・衝突が増える - 個人それぞれが持つ背景が異なれば、当然多様な意見が生まれ出ます。簡単にはまとまりません。 ときに衝突も起こります。衝突をプラスに転じる進め方をみんなが学ぶ必要があります。コミュニケーションをひとまず一時停止させて頭を冷やさせたり、個人どうしの直接の関わりをしばらく保留させたりできるような、そんな「コミュニティーの特性」を企業として身につけていないと厳しそうだと思いませんか?

多様性と制度については先月こんなブログを書きました: 『チームのことだけ、考えた。』を読みました - 額面上の多様性とお試し制度

ところで今日、身近な仲間(同僚)にこんなことがありました。

「お世話係をしているムスリムの新入社員くんに"礼拝はどの部屋ですればいいですか?"と聞かれ焦りまくり。 ところがなんと、人事に問い合わせてみたら同じフロア内に礼拝専用の部屋がありました!」

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■ 必要なのは、タスク型のダイバーシティ - フォルトライン理論と働きかたの多様性

今朝、PRESIDENT WOMAN Onlineのとても興味深い記事を読みました。

自分の中では、ある意味、これが回答なんだろうって思っているので、いくつかとても気になるフレーズをピックアップします。

なぜ、ダイバーシティが必要なのか? | 早稲田大学ビジネススクール 入山章栄准教授

ダイバーシティには2種類あるということです。 1つは「タスク型のダイバーシティ」。これはその人の能力や知識、過去の経験や価値観など、目に見えない内面の多様性です。 もう1つが「デモグラフィー型のダイバーシティ」。こちらは性別や国籍、年齢など属性の多様性です。

イノベーションを起こすのはタスク型のダイバーシティであって、デモグラフィー型のダイバーシティは、実は組織にとってマイナスになることもあるのです。

…男性と女性という対立軸があるところへ、アメリカ人やフランス人が入ってくるとどうなるでしょうか。日本人と外国人という対立軸ができます。そこへさらに高齢者や障害者を入れてみるとどうでしょう。対立軸は複数になります。 そうなると人間はわけが分からなくなって、逆に認知の壁が下がるのです。男性と女性というように軸が1つしかない場合は、男か女かの認知で区別してしまう。しかしさまざまな人が加わると、断層効果が弱まり、コミュニケーションが円滑に進むのです。

IBMの経営転換を支えた「タスク型ダイバーシティ」とは? | 日本アイ・ビー・エム株式会社 人事 ダイバーシティー企画担当 部長 梅田恵さん

IBMの本国での創立は今から105年前ですが、当時はまさに名もないベンチャー企業でしたから、なかなか社員を集めることができませんでした。そこで、優秀だけれど女性や黒人というだけで仕事に就けない人を集めてきたのです。教育が足りないなら会社が教育をし、生活のベースが整っていないなら会社が福利厚生をすることで社員の定着を図り、発展してきました

…企業が、「管理職を何%増やす」という女性をひとくくりにした目標を立てても意味がない。それぞれの持っている「知」を棚卸ししてプログラムを開発し、その研修を受けてもらって、何年後にはこのポジションにする、というような具体的な目標を立てるべきでしょう。 そして最終的にIBMが重視しているのは、経営層のダイバーシティです。そこが変わらないと、本当のダイバーシティは推進できないのが現実だと思います。

…女性も男性も、あうんの呼吸で通じるグループから、自分と価値観の異なる人たちと議論し、切磋琢磨していかなければなりません。でも社員をちょっと不自由な状態に追い込むと、どうやったら居心地よくなるか考えるようになり、そこにイノベーションが起きます。

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ところで明日は、『リモートワークジャーニー東京 | リモートワークから『自分らしい働き方』の実現を考えるフューチャーセッション』というイベントに参加してきます。

またまた「多様性」について、いろいろと感じる1日になりそうです。楽しみ!

Happy Collaboration!