Collaboration Energizer | #混ぜなきゃ危険 | 八木橋パチ

コラボレーション・エナジャイザーとは、コラボレーションの場を作り、場のエネルギーを高め、何かが生みだされることを支援する人

社内ソーシャルでオープンな組織を実現する。あるいは、社内ソーシャルのトラブル対応。

「続きを書こうかな」と前回のエントリーで書いたところ、思ったよりたくさんの方から「待ってます」とのお声をいただきました。 ありがとうございます。ああ嬉しい。

ということで、今回は続きを書きます。

でも、5つの順番どおり「IBMでは社内ソーシャルを実際にどうやって定着させたのか?」からではなく、「3. 社内ソーシャルで開放的でオープンな組織を実現したいが、トラブル発生時の対応方法は?」をテーマにしようと思います。 すいません、ひねくれモノなもので…って、違うんです。 ちょうど今週も、このテーマで何度か深めのディスカッションをする機会があったものですから。


では、「社内ソーシャルで開放的でオープンな組織を実現したいが、トラブル発生時の対応方法は?」ですが、これを考える上でまず前半の「開放的でオープンな組織の実現」に絞って考え始めた方が良いかと思います。

ちょっと整理してみます。
1.「開放的でオープンな組織」とは、組織の「何が」開放的でオープンなのか 2.「開放的でオープンな組織の実現」に、何を期待しているのか

1.「開放的でオープンな組織」とは、組織の「何が」開放的でオープンなのか

1.の「何が」ですが、私は「情報や意見」がむやみやたらと隠されていないことだと考えています。 特に情報を「むやみやたらと隠さない」は大事なポイントです。 もちろん、何でもかんでもオープンにしろと言ってるわけではありませんよ。だって、企業が営利活動をする上で、社内であってもオープンにすべきじゃないこともあるのは当然ですから。 でも、ここで大切なのは、オープンさを求められた時に、聞こえないふりをするのではなくきちんと対話すること。そしてオープンにできない理由をきちんと述べることです。

違う言い方をすると、その情報はオープンにできるものかどうかをきちんと考えた上で判断すべし、ということです。

情報の取り扱いを考える際に「オープンにしていいかどうかわからない →とりあえず隠す」をスタート地点にするのではなく、「隠すべきものはきっちり隠す」からスタートしましょうよ。 なんでもかんでも隠してしまいこんでを続けていけば……。行き着く先は想像に難くないですよね。

次に、個人的には情報のオープン以上に大切だと思っているのが、意見や価値観のオープンです。

多数派とは異なるかもしれない自分の意見や価値観を、組織に対して投げかけられること。 自分とは異なる仲間の意見や価値観を、敬意を持って聞くことのできる耳を持つということ。

これがあることが「開放的でオープンな組織」ではないでしょうか。

そして、これが2の『「開放的でオープンな組織の実現」に、何を期待しているのか』に大いにかかわってきます。

2.「開放的でオープンな組織の実現」に、何を期待しているのか

 

「開放的でオープンな組織の実現がもたらすものとは?」と言い換えたほうが分かりやすいかもしれませんね。 この問いに対する答えは、各企業によって異なってくるでしょう。とは言え、ある程度代表的なものは挙げられそうです:

  • イノベーションが生まれやすい環境
  • 持続可能な成長を続けられる体制
  • 高い生産性を実現するイキイキとした職場
  • 低い離職率を実現する従業員満足
  • 高い売り上げを達成するモチベーションの高い集団

これらは「開放的でオープンな組織」が直接もたらすわけではなく、間に「開放的でオープンな組織」により育てられた「中長期的なビジョン」や「社員の求めるワークスタイル」、「給与や福利厚生」などが必要でしょう。 これらを育てる土台になるのが「人、職員同士のつながり」であり、その「つながり」自体を強固なものに育てていくのが、意見や価値観のオープンなやり取りだったり、交換だったりすると思うのです。

「ここまでのまとめ」 開放的でオープンな組織では、情報や意見がオープンにやり取りされる。 それにより企業には、さまざまな好ましい状態がもたらされる。

ふう。今回いつにも増して理屈っぽいですね。 大丈夫、残り1/3です!

ここまで「開放的でオープンな組織の実現」を整理してきました。 それでは、ここから後半の「トラブル発生時の対応方法は?」を見ていきましょう。 もうお気づきになっているかもしれませんが、実は、ここまでの開放的でオープンな組織の実現」の整理が、そのまま「トラブル発生時の対応方法」の答えみたいなものです。

トラブルにもいろいろあります。 そして、想定できるトラブルには、対応策も想定しておくことが基本だと思います。 ただ、現実には、想定を超えた規模や頻度でトラブルが発生し、流動的にものごとが変化し続けていく中での対応が求められることが少なくありません。 特に、変化があたりまえの社会において、求められる対応スピードはどんどん上がってきています。

「トラブル(あるいはチャンス)はたくさん起きる」「求められるスピード感はあがり続ける」--この2つを前提に、どんなことにもすばやく身軽に対応、あるいは適応できるようにするにはどうすれば良いのか。 これはもう、何が良くて何がダメなのか、その判断の元となる「価値観」を一人ひとりが分かち合い、身に着けるしかないのではないでしょうか。 完全に同じではなくても、自分たちが企業として大切にしているコアが共有されていれば、判断も行動もより速く、よりたくさんの人が取れるようになります。 社員一人ひとりが「それは建設的な行動なのか」「僕らの価値観と相反するものじゃないのか」と自分たちで話し合い、対応/行動する文化が生まれ、育ち、強固になっていくのです。

これは、社内炎上や、社外での自社の評判を貶める行動が発生した際にも大きな力をもたらします。 なんらかの「誤り」が混ざった時、コアな価値観を共有した仲間がそれを見直したり正したりするようアドバイスしてくれます。 だって、情報や意見はオープンになっていますからね。

少なくとも私の経験では、IBMではコレまで多くのケースで「管理部からの指導」ではなく、周りの仲間たちからの指摘やアドバイスにより自己鎮火していくケースが圧倒的多数でした。

最後に。 もちろん、すべてが万事こうなるわけではありません。 時に、悪意を持った社員が悪意を持って行動することも考えられます。 時に、トラブルというレベルではなく、法律を持って対応しなければいけないこともあるでしょう。

その時にはもう「社内ソーシャルがどうこう」という問題ではありません。 社内ソーシャルは強い力を持ってはいますが、それでも道具は道具でしかないですから。 そういう時には、法務や広報など、社内のプロに判断を仰ぐべきでしょう。


すっかり長く、そして理屈っぽさ全快のエントリーになってしまいました。 えーっと、みんなこんな感じでしょうか…

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ここまで読んでいただいた方に深く感謝。

次回どうするかは皆さんの反応次第で考えます。

Happy Collaboration!