ソーシャルに働くということ
前回、「ワーク・ライフ・インテグレーションのためのソーシャルツールってパチさん言うけど、結局私の生活の何を良くしてくれるんですか?」っていう質問への答えを書きました(ワークライフとソーシャルコラボレーション)。
今回はその続きで、つながりの強い以下の質問への答えを書きます。
■ 「ソーシャルに働く」ということ
「ソーシャルに働く」とは、周囲の人たちや社会と関わりあいながら、互いが得るものを大きくしていこうという働きかたです。
「ソーシャル」が指しているのは、つながり関わりあう「個人やコミュニティー、組織や社会」のことです。そして働きかたの特徴は、「多くのフィードバックを貰えるように」「コミュニケーションは密に」「価値をできるだけ広く届けられるように」という志向性です。
こうしたソーシャルな働きかたを支援する便利な道具が、ソーシャルコラボレーション・ツールです。
おそらく10~20年前にソーシャルに働こうとすれば、もっとも活用されるのは携帯電話やeメール、グループウェアだったでしょう。そこからさらに数10年さかのぼれば、Faxや電話などの連絡道具や、朝礼や終礼などの一堂が集まる場や機会がそれだったのかなという気がします。
もちろん、今でもeメールや携帯電話、朝礼なども、仕事をソーシャルに進める手助けをしてくれるものです。
ただ、現代のテクノロジーと仕事に対する意識の変化を踏まえれば、現在の「ナレッジワーカー」と呼ばれる方々が重点を置くのは以下のような要素ではないでしょうか。
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価値を生むため、あるいは増幅させるためのチームやコミュニティーを柔軟に作れること
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チームやコミュニティーのニーズに合ったコラボレーションの場を早く簡単に作れること
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生みだした、あるいは増幅させた価値の理解者を広げられること、増やせること
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生みだした、あるいは増幅させた価値を、必要としている相手に早くかつ持続的に届けられること
これらは、すべて「価値」の最大化を担っています。価値そのものを大きくし、それをより届きやすくし、受け取る相手を増やす。社内で生みだされた100という価値を10人が活用するのと1,000人が活用するのとでは大きな違いです。
つまり、ソーシャルツールは価値の最大化を支援する道具であり、ソーシャルに働くとは価値の最大化を目指した働きかただということです。
では、「価値の最大化」を意識して働くためには、どんな行動や考え方を念頭に置いておけばよいでしょうか?
ソーシャルツールの活用に不慣れなIBM社員向けに作成した「ソーシャルに働く際の心構え」的な資料をシェアします。
役立ちそうな場面があればぜひ活用してください。
ちょっとだけ解説します。
・冒頭に『アジャイル文化をベースに~~』とありますが、具体的にはアジャイルの価値観をベースにするということです。
アジャイルの価値観をもっとも強く表す言葉は以下の4つとなります(詳しくはアジャイルと5匹のサルで):
Trust(信頼) / Respect(尊敬) / Openness(オープンさ) / Courage(勇気)
・『業務をできる限りオープンに。皆が再利用しやすいようにソーシャル上で』というのは、文字通りの意味なのですが、ときどき「オープンと透明性とはどう違うのですか?」と聞かれることがあります。私が感じている違いを簡単に説明しますね。
オープンと透明の違いは「扉」をイメージしてもらうと分かりやすいと思います。
オープンは開いている扉です。「いつでもWelcomeです。どうぞ入ってきてください」という姿勢で、フィードバックや積極的な関与を期待していることを表しています。
透明はガラスの扉です。中の様子は見て取れますが自分がその場に加われるかどうかは分かりません。でも、ものごとが秘密裏に進んでいるわけではありません。
・『良い情報を広く行き渡らせるために積極的に「いいね」や「コメント」を』も、文字通りの意味なのですが、「いいね」の機能を「単なる意思表示」と捉えている人も多いようです。でも、「いいね」の価値はそれだけではありません。
いいねをすることは、「あなたがその対象にいいねをした」という新たな情報をタイムラインに表示させることです。その対象が「今、生きている情報」であり「あなたが価値を認めた情報」だということを発信し、その対象にスポットライトを当てて人の目に触れさせる機会を生みだしたということです。
価値ある良い情報を流通させる役割りを担っているのが「いいね」です。
今回説明していない部分で気になるところなどあれば、コメントください。