トンネラーって何さ? - 『トンネラーの法則 どんな逆境もはねのける人はどこが違うのか?』を読みました
「トンネラー? 聞いたことないよそんなの。何それ?」
「苦難の時期や棘の道をあたかも"トンネル"を抜けるかのようにくぐり抜け、その先の向こう側に到達できる人のことだよ」
「…程度の問題だろ。でか過ぎて乗り越えるのが無理な障害もあるじゃん」
「そうだね。まあでもなんとか乗り越えてやる!って熱くやるばっかりじゃなくて、逃げず諦めず楽しみながらやってるうちに、気がつけば常識では考えられないような巨大な困難をくぐり抜けてたって人たちがたくさんいるんだよ」
「……それって、運がよかったってだけの話じゃないの?」
「そう取りたければそれでいいと思うよ。ただ、トンネラーには共通の属性があることがいろいろな調査で明らかになっているんだよ。それにね、本ではたくさんの実在のトンネラーたちのストーリーが紹介されているんだけど、どれもグッとくるものなんだ。例えばこんな人たちなんだけどね」
■ 本人以外は勝利の可能性を見出していない中で絶対本命の現職上院議員に挑み、なけなしの資金の中からゲリラ的な選挙戦で3パーセントの得票差で議席を勝ち取った無名の新人候補者ポール・ウェルストーン。
■ それまで無名だったジョージア大の女子ソフトボールチーム「レディー・ブルドック」を、ユーモアと試合を楽しむ力で変えた小柄なショートストッパー、クリスティン・シュネーク。
■ 両親にどうにかお金を工面してもらい通った演劇学校から「君には無理だ」と放り出され、その後エキストラの斡旋業者に「二度と姿を見せるな」と脅された10代。その後も苦難に見舞われながらも諦めることなく、70代でアカデミー助演女優賞を手にしたルース・ゴードン。
■ 至近距離からアルカイダの爆弾に吹き飛ばされて左腕を無くした瞬間から「すごい! まだ生きてるじゃないか。たかが腕一本だ」と状況を前向きに受け止め、今もさまざまなチャレンジャーたちを応援する活動を続ける元アメリカ軍のアンダーウッド隊員。
■ 極貧生活の中から奨学金を得てカレッジ・フットボールの世界に進んだものの、学業不振による2年間の停学と授業料の支払いを余儀なくされ、車で寝泊りしながら必死に働いて金を工面し、チーム復帰後シンシナティ大を公式戦全勝に導いたマーショーン・ギルヤード。
「すげーな、こいつら」
「そうだろ。常識的に考えたら、途中で諦めたり方向転換したりしてそうなもんだよね」
「相当辛い思いをたくさんしてきたんだろうな」
「それが、傍目に見たら耐えられそうもないようなものも、本人たちにはどうも違うみたいなんだ。とは言えもちろんきつい時もあっただろうし、たくさん涙も流したと思うよ。でもさ、印象としては「涙よりも笑顔」って感じだし、希望に満ちてる感じなんだ」
「なあ。こいつらカッコいいな。俺たちもトンネラーになれないかな」
「本一冊読んだだけで、簡単になれるほど手軽なもんじゃないだろうね。思考法を理解するのと、それを取り込んで日々実践していくのとは別の話だし。それでも、心に留めておくだけでも違いは生まれてくるんじゃないかな。」
「よし、じゃあ読んでみようかな」
「本の最後の方に"自分自身に対して"というまとめがあるから、そこから簡潔に抜き出しておくよ。言葉足らず過ぎてよく分からないってきっと感じるだろうけど、それでもピンと来るものが2、3あれば、きっと君はこの本と相性が良いんだと思うよ」
1. 自分自身にスポットライトを向けよう
あなたのコントロールが及ばない事情があったことも確かだ。それでも、あなたが今できることは何なのかを自分に問いかけよう。
これからとる対応策として、どのようなことが可能だろう。その状況への取り組み方をどう変えることができるだろう。
2. 意味を探し求めよう
自分にとって意味のあることを見つけたら、たとえ些細で取るに足りないことのように思えても、徹底的に追求してみよう。それについてもっと知ろう。
それが最終的に実用性のないことだったとしても、発見するというプロセスそのものがあなたに活力を吹き込み、創造性と情熱を与えてくれる。
3. おおらかさを身につけよう
自分がつまらないことにこだわっていることに気づいたら、一歩離れてより広い視野で考えてみよう。
数週間後、数年後には、そのとき何にそれほど腹を立ていたのか、すっかり忘れてしまっていることだろう。おおらかさを身につけよう。
4. 諦めない
諦めることによって、自分の力を幾分取り戻せるような気がするのである。しかし、どんなことにも困難な時期や目の前が暗くなる瞬間はつきものである。
5. 一息つこう
同じような困難な時期を過ごしているのが、自分ではなく友だちだったなら、支えとなり励まそうとするのではないだろうか。友だちをこき下ろすようなことはしないはずだ。
親友に対するのと同じように、自分にも優しくしよう。
6. ためらうことなくユーモアを使おう
自分の人生に起こっている出来事を笑い飛ばすことが、どのくらいあるだろう。最も親しい人々と一緒に笑って時を過ごすことが、どれくらいあるだろうか。
ユーモアは、苦しいときを切り抜ける強力なツール。
7. サテライトを探そう
あなたに関心を持ってくれていそうな人物、信頼が置けて、礼儀正しく、あなたを奮起させてくれそうな人物に出会ったら、その機会をフルに活かそう。
連絡を取り合いたいという気持ちを相手に伝えよう。コーヒーやランチに誘おう。
8. ためらうことなく鼓舞されよう
あなた自身が人生の中でトンネルをくぐり抜けたときのことを思い出そう。その経験を未来の成功につなげよう。
私たちは自分の逆境克服体験を当然のことと考えていることがあまりにも多いのだ。