Collaboration Energizer | #混ぜなきゃ危険 | 八木橋パチ

コラボレーション・エナジャイザーとは、コラボレーションの場を作り、場のエネルギーを高め、何かが生みだされることを支援する人

Bespokeインタビュー5(最終回) | Bespokeのマニフェスト

 

北欧のクリエイティブ専門ウェブマガジンのN WINDに掲載された、Bespokeのファウンダーのニックとルネへのインタビューの日本語訳、今回が最終回となります。

最後に、Bespokeのマニフェストから6つを日英併記で掲載しました。

すべての好ましい未来を作りだそうというフューチャーデザイナーにお届けします。

 

f:id:dubbed_pachi:20210427081844j:plain

 

■ フューチャーデザインとは勇気

未来に対する不安は大きく、変化についていくのも難しくなっている。だがBespokeは手軽な気休めの言葉を渡すようなことはしない。「多くの人が不確定性の反対を確実性だと思い込んでしまっている。でも実際には、未知の中を導いてくれるのは好奇心や積極性なんだ。」Bespokeは、おもにリサーチや彼らのメソドロジーを提供することを通じ、企業や組織が情勢の中から機会を見出し前に進むことを支援している。

「もっと楽観的なアプローチを広げたいんだ。"より良い未来"へのフォーカスを強めたいし、クライアントがもっと人と地球に良いことをすることを選べるようにしたいんだ。何かを変更しなければならないという状況で、それが非常に厳しい状況に向かわざるを得ないものだとしても、ぼくらはクライアントに希望を持ってそれを捉えて欲しいんだ。"じゃあそこにはどんなチャンスがあるだろうか?" って」。

ビジネス視点で捉えれば、未来の市場 — まだ生まれる前の — でいかに優位性を確立できるかこそが、ビジネスの肝だと言えよう。そしてBespokeは、プロジェクトがより戦略的であれば戦略策定の支援をする。それでも、彼らは常に具象化を進めようとする人と共にいる。

「だってそうじゃなきゃ、サーバーに置かれたpdfファイルか、食堂に貼られているポスターと変わりないじゃないじゃか」。

 

Bespokeのホームページには「勇気ある組織と人びとのために」と書かれている。勇気が重要なのだろうか? 「そうなんだ。Bespokeは人と働くからね。あるとき気がついたんだ、不確定な空間に飛び込んで行こうとする人が必要だって。変革を必要とし、求め、その準備ができている人たちが必要なんだ。変革を求めている企業であっても、その準備ができていないことも少なくない。Bespokeにとっては、この3要素による三角形がなきゃダメなんだ。」

コラボレーションの文化も同じだろうか。競争は未来洞察にはふさわしくない? 「いや、競争だってヘルシーなものなら悪くないさ。コラボレーションに関して飛び抜けて素晴らしい会社もあるんだ、IKEAとかね。彼らはオープンで魅力的で、とても素晴らしい文化を持っている。コラボレーティブじゃない文化が、フューチャーデザイン・プロセスの邪魔をすることもあるからね。

フューチャーデザインは、2つの性格を異にする単語から成っている言葉だ。私が聞きたいのは、本当にデザインできるのか? ということ。 「未来洞察者が道を見つけ、デザイナーがその道を舗装する。両方をするんだ。型破りなことをするのは楽しいし、抽象的になり過ぎてしまうと今できることが減っていってしまうからね。」実験デザインアプローチと、早いタイミングでのプロトタイピング — ニックは、それをリサーチと実験に意識的に用いていると説明した。「結論を急がないんだよ」。

私たちは確かさと不確かさ、予想と予測の違いについてディスカッションした。例えば彼らはトレンドレポートなど、すでに公表されているデータを積極的に利用するけれど、自分たち自身の調査も大切にしていると言う。 「1つのソースに頼るのは危険だよ。トレンドを反証する情報を見つけ出すのも重要なんだ。」私たちは、いかにトレンドレポートが「確実性の販売」対「環境の検知」となっているかを話した。「レポートはエッジが削がれているからね。僕たちは特定分野の特定の状況における未来を映す、興味深いものを捉えようとしているんだ」。

彼らのクライアントには戦略、人事、イノベーション、リサーチ部門の人びとが多い。確実性を探そうというよりは「自分たちにとって未知のものがあることを知っている人たちが多いね」とルネは言う。 「彼らが確実性に溺れることはないよ。コンサルタントには分からないことだからね。僕たちは未来を予見して、何か新しいものを作りだす可能性があるものを見つけだすんだ」。

 

■ 変化とは変化しないものを見つけること

ギードレ: 私たちの雑誌の今号のテーマは「デザインのチェンジ」です。あなたたちにはどんな意味を持つでしょうか?

ルネ: 僕はいつもチェンジって言葉に相反するものを感じるんだ。チェンジって何かを成し遂げるとか、良くするとかって意味は持っていないよね。でもビジネス界はチェンジが大好きだよね「われわれはデジタルにチェンジせねば」みたいな、ハハッ。

「ポジティブなチェンジ」なんて言葉にもまた引っ掛かりを覚えるね、要するにそれはネガティブなチェンジもあるってことだから。僕は彼女を愛している。彼女にはチェンジして欲しくない、なんてね。

ニック: ときに一番大切なものって、そこに残るものだったりするよね。僕らにはトランスフォームが必要なんだ。チェンジよりもトランスフォーメーションって言葉の方がずっと良いんじゃないかな。だってそれは進化って意味で、前に進もうって思わせてくれるよね。

何を残したいか、どんな強い価値感がそこにあって、それをどう次のステージへと進化させたいのかを僕らは理解しているべきなんだ。だから、残し続けていきたいと思うものと捨て去りたいものを、見極められなくちゃならないんだ。

ルネ: 僕たちがデザインするチェンジは、誰かの人生をより良いものとするものじゃなきゃダメなんだ。チェンジには痛みが伴う、だからこそチェンジは良いやり方で提供される必要がある。良い点に光が当たりより良くなるんだってね。

 

ギードレ: 「好奇心は猫をも殺す」ってことわざがあるけど、私たちは窓から放り投げるべきなのかしら?

ニック: ハハ。たしかに好奇心は猫を殺すかもね。でも世界についての新しい知識が、猫を連れ帰ってきてくれるのさ!

 


 

最後に、Bespokeのマニフェストからいくつかを紹介します:

 

ビジネスより友情 - Friends before business.

常に自身をイノベーション - Self-innovation always.

お互いを、クライアントを、そしてコンテンツを輝かせよう - We strive to make each other, our clients, and our content shine.

Bespokeは未来の仕事の枠組みを常にプロトタイプし続ける - Bespoke is a constant prototype of the future working paradigm.

われわれはプレイフェッショナルである - We are Playfessionals.

われわれが活躍するのはビジネスとデザインとカルチャーとアートの交差点だ - We work in the intersection between business, design, culture and art.

 

Happy Collaboration!