Collaboration Energizer | #混ぜなきゃ危険 | 八木橋パチ

コラボレーション・エナジャイザーとは、コラボレーションの場を作り、場のエネルギーを高め、何かが生みだされることを支援する人

行動観察とモチベーション。貢献心と共感力。

Pachiをよく知っている方には「何をいまさら」なことなのですが、私、かなりのひねくれ者でございます。 そんなわけで、仕事に役立ちそうな本を読んだり選んだりするときも、タイトルに「ビジネスに役立つ!」とか「ビジネスマン必読!」なんて書かれていると「じゃあ読まないよ」と思ってしまうところがあります。

それでも、もともと「行動観察」という分野に興味があったのと、著者と仲良しという同僚がオススメしていたこともあり、『ビジネスマンのための「行動観察」入門』という本を読んでみました。

これが大当たり!
読み進めていくにつれて、行動観察についてはもちろんその根底にある考え方も含めて、著者の大阪ガス行動観察研究所 所長の松波 晴人さんが大事にしているものと自分が大事にしたいと感じているものの共通性を強く感じたり、自分の中でもやっとしている部分を言葉にしてくれている本だと感じました(Pachiの勝手な思い込みですけどね)。

例えば…

  • 相手の役に立ちたいというベースがなければ、知識や経験も役に立たない
  • Challengeを楽しむ心がなければ、どんなスキルや知識も十分生かせない
  • どんなにすばらしいソリューションも、現場に「モチベーション」がなければ何の役に立たない
  • スピード感の重要性が増していくのと比例して「走りながら考える」ことの重要性も増している
  • 行動観察とは「良い仮説」を生み出すためのもの。仮説検証が目的であれば観察対象数が多いに越したことはないが、その目的がイノベーションを生み出すことであれば良い仮説を生みだすことのほうがはるかに重要

こんな考えが文章の端々から溢れ出しているように思いました。

と、読み終わって感じ入っていたところ、1週間後に著者の松波 晴人さんがスピーカーをされるセミナーがあることをWebで発見。さっそく「これは行かねば!」ということで先週行ってきました。

セミナーでは、サービス・サイエンスと呼ばれている研究分野の最近の動向や、本の中ではさらっと紹介されていた事例の詳細、そして人間の観察力に関するちょっとしたおもしろい実験(会話している相手が途中で入れ替わっても、人は案外気がつかないという「えっ!」という事実を目の当たりにしました!)など、あっという間の90分間でした。

セミナー終了後、松波さんが懇親会にも参加されるということでしたので、楽しく飲みながらいろいろと質問させていただきました。 そして、やっぱり私が本の中で感じた「大事にしているものが似ている」という感覚は間違いありませんでした、と(勝手に)確信させていただきました。 いやぁ、本読んで良かった。そのおかげでこのセミナーにも参加できたし、松波さんとお話していろいろな気づきもたくさん得ることができました!

せっかくなので、松波さんの本と講演の中で皆さんにも役に立ちそうなことをちょこっとご紹介します。 ただしあくまでも「私の理解」なので、松波さんやサービス・サイエンスのプロの方などには「十分理解できていない」とか「誤解している」と思われる点があるかもしれません。そこはご容赦ください。


◇サービス・サイエンスのソリューションを生みだすステップ - 1.観察 2.分析 3.改善 ・ステップ1.観察において大切なのは、自分のバイアス/思考フレームセットを捨てること ・ステップ2.分析において、人間の行動を解釈する際に活用される分野の例 - 人間工学: 年齢とともに筋力は変動する - エスノグラフィー: 個人や企業の文化や価値観、風土をありのまま調べる - 環境心理学: ノイズの大きい部屋ではお互いを助ける行動は減る - 社会心理学: 誰に何を言われるかで行動は影響を受ける - 表情/しぐさ分析: 怒り、嫌悪、怖れ、喜び、悲しみ、驚き、軽蔑の表情は世界共通 ・ステップ3.改善(ソリューション)で大切なのは、「トンガリ」と「共感」の両立。とんがっていてもクライアントに共感したソリューションでなければ受け入れられない。それでは意味がない

◇人間の行動は9割は無自覚。ユーザーは「困りごと」を構造的に解釈していないので「評価は得意だが提案は苦手」な存在

◇心理学の分野では、普通の人間は「他社評価よりも自己評価が高い」。そして統計上、「主観的評価」「他者評価」「客観的評価」の三者の相関は低く、「私は去年より倍は働き3倍の成果が出ている。なのに上司や周りはまったく評価してくれない」ということはいくらでも起こる。

◇ブジャデが重要: ブジャデとは「何度も体験しているものを新鮮に感じる感覚・体験」。デジャブの反対。

◇答えづらい一般論的な質問でも、具体的に訊かれれば答えられる。質問には、暗黙知形式知化する力がある。 (これは前回のエントリー『シゲキ体験「質問会議」』に書いた"脳とは、質問されることによって動き出す機械。質問とは相手の脳を働かせるスイッチ"にもつながるところがありますね)

pachi.hatenablog.com


この説明では「何がなんだか」だとは思います。でも、何か引っかかるところや気になるところがあれば、ぜひ『ビジネスマンのための「行動観察」入門』を手に取られることをオススメします。

最後に。 松波さん、熱く想いをぶつけまくっちゃってすいませんでした。でも、親切に受け止めていただき本当にありがとうございました!

Happy Collaboration!