Collaboration Energizer | #混ぜなきゃ危険 | 八木橋パチ

コラボレーション・エナジャイザーとは、コラボレーションの場を作り、場のエネルギーを高め、何かが生みだされることを支援する人

『とあるゲームの攻略法』で、ジェーン・スーさんに目鱗されました

赤い車を買おうかなと意識し始めると、それまでよりも街中を走る赤い車がやたらと目につく…というのは有名な話ですよね。人は「意識」するだけで、それに対する注意力が無意識に相当あがるという例としてよく使われています。

そしてさらに、そうした意識や興味をオープンにして、ソーシャルに書き込んだり関連情報をクリッピングしていたりすると、周囲の人が関連情報をシェアしてくれたり、同じ興味を持っている人たちの場にお呼ばれしたりと、ますます知識を手に入れられるスピードがアップし、「気づけばすっかり赤い車の情報通になっていた」…なんてこともよくある話しです。

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「そうか…。言われてみりゃ、会社というのはこういう考え方を持つ人たちで成立しているんだな」という純粋な発見の驚きと、「待てよ。他人事のように驚いているけど、オマエの中にも同じようなものがたっぷり詰まっているじゃないか」という自己嫌悪感を含む発見。

先日、そんな気持ちを『僕が18年勤めた会社を辞めた時、後悔した12のこと』 - 会社ゲームの勝ち方と敗北道 』というエントリーに書きました。

そして、まったく異なる視点から捉えられているのに、どこか似ている「会社ってこういう人たちでできてたのか」という話を、ジェーン・スーさんの『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』という本の中に発見しました。

最後の方に書かれたわずか18ページの『とあるゲームの攻略法』という書き下ろしエッセーなのですが、すごいです。目鱗です。

ちょっとネタばらし的ではありますが、この本を「面白文化人の面白エッセイじゃないの?」と思っている人にこそ読んで欲しいので、骨子を紹介します。


仕事における「男社会」とは、男の方が働きやすいとされている社会。 仕事フィールドにおけるゲームのルールを男が決めている社会。 そしてどんなゲームも『ゲームを有利に進められるのは、ルールを熟知している人』。 「男は外で稼いで家族を養う」という上の句に「女は早く結婚して家庭に入り、専業主婦として子供を育てたほうが幸せ」という下の句のセットが、いまだに古典とはなっていない。それを古典としないのは、他ならぬ私たち自身。 結婚や出産を経て働き続けることの難しさと背中合わせに、女性がお仕事ゲームからの離脱を容認される一方で、男性はゲームからの離脱が許されていない。

例: 企業で働く35歳の独身者が、仕事とまったく関係なくスペインに語学留学する場合

  • 「35歳から留学なんて、結婚はどうするの?」と親戚から尋ねられるのが女

  • 「あいつ、仕事は大丈夫なのか?」と周囲に心配されるのが男

ゲーマーの目的意識の違い
  • 多数派ゲーマー(働く男): 仕事フィールドにゲーマーとしてできるだけ長く居続ける
  • 少数派ゲーマー(働く女): 仕事フィールドで充実したプレイを行い打点を稼ぐ
多数派ゲーマー一緒に働くライフハック
  • 仕事プライドが人格と直結しているover55おじさんはちょっとした地雷避けテクで。
  • 多数派ゲーマーの流儀を「型」として認識すれど、まるごと模倣してはならぬ
  • やる気が見られない男ゲーマーは頼りにしない。最初から最低限レベルで見積もる。
  • 口ばかりのゲーマーは要所要所で詰めながらも手柄は渡す。花は持たせて実をゲット。
  • 男の流儀を型として認識すれど、まるごと模倣してはならぬ。
「多数派の背負う十字架を知って、働き方を変えたら景色が変わった」 「すべては楽しく働くために」 - 正しさを問うて人質を解放するゲリラがいないのと同じで、信頼関係が築かれていない相手に正面からぶつかり正論を履いても消耗するだけ。 仕事フィールドに居座る女ゲーマー数をじわじわと増やしていけば、ルールも変わらざるを得ない。それまでは互いの背負っているものを理解して持ちつ持たれつ行こうよ。

和田さんの本のメイン対象は(比較的)「若い層」となっていましたが、でも実はあらゆる働く人への応援メッセージでした。そしてスーさんのメッセージも対象は一見「女性」ですが、実際にはすべての働く人向けになっていると思うのです。

お二人とも、ご自身のもがきや失敗を俯瞰的な視点で分析し、その中から普遍的な要素を見つけ出し「頑張れ!」とメッセージしてくれていて、自分の中で無意識に目を向けそむけていた点を素直に見つめることができました。

ところでこの本、全体としては前半が「ジェーン・スーが斬る!」的な痛快系がたっぷりで、後半は魂に刺さったままになっていた棘を取り除いてくれるような浄化系がたっぷり…と、とてもお得な一冊になっていると思います。

すべてのこじらせ系、めんどくさい系な人におススメします。

Happy Collaboration!