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日本(人)の労働生産性(3) – 自己開示と自分の時間(提言)

前回、前々回のブログ記事で書いたことを大雑把にまとめてみます。

  1. 「日本(人)の生産性が低い」とは、「日本の景気は下がり続けているのに総労働時間は変わっていない」の言い換えに過ぎない。 (『日本(人)の労働生産性(1) – 分母と分子』)
  2. 個々のプロセスの見直しや個々人の取り組みではなく、仕事の捉え方を組織全体の仕組み・プロセス・概念・ポリシーの面から変える必要がある。 『日本(人)の労働生産性(2) – 個人の生産性と企業の売上高

今回は、これらを踏まえつつもそこからググッと飛躍させて提言を書きます。

 

 生産性に操られるのではなく生産性を操る

「自分の時間」を決めるために自分のスタンスを公開する

  ローコンテクストなコミュニケーションと自己開示の返報性

ソーシャルを活用して自分の活動を公開する

何よりも守るべくは自分のモチベーション

複眼的な視点を得るためのダブルワーク

 

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◼︎ 生産性に操られるのではなく生産性を操る

国が発表している「生産性」は、分母となる「給与を貰って働く時間の長短」と分子である「国のGDPの大小」とから成る計算式です。

では、この分母である「給与を貰って働く時間の長短」は、誰が決めているのでしょうか? 会社、上司、労働法…。

 

働く時間の長さを決める主体は自分自身です。

もちろん、生きていく中で「自分が決める」という原則を貫き通せるときばかりじゃないし、柔軟性や臨機応変さが求められる場面が腐るほどあることは私も重々承知しています。

それでも、最後に決定して、それを実行するのは、他でもない自分自身です。

 

あなたが「給与に見合う以上」の時間を仕事に費やすのも、仕事に対する自分のこだわりを追い求めるのも、それはあなたの自主的な選択であるべきです。

同調圧力や恐怖に囚われて「だってそうせざる得ないんです…」と思い込んでしまっているなら、それは間違いです。上司やマネージメントと共に適正値を見つける努力をするべきでしょう。

そして、時間の使い方を見直した結果として「自由な時間」を生みだせれば、それを趣味や家族との時間に費やしたり、別の仕事に費やしてもいいのです。

 

■ 「自分の時間」を決めるために自分のスタンスを公開する

「自分の価値観とスタンスをベースに働く時間を決める」というと、ものすごくエゴイスティックに聞こえるかもしれません。あるいは、「そんなに簡単な話じゃないぞ!」と怒る人もいるのかも…。

でも、誰だって本質的にはそうあるべきだと思いますよね?

 

職業意識、協調性、倫理観…。こうした自分の価値観をベースにした自身のスタンスを、上司を含めた周囲に伝えましょう。できることとできる範囲、それからしたいと思っていることやそのために取組んでいること、取り組もうとしていることを公開しましょう。

「余計なことを言ったら弱みを握られそう…」「つけ込む隙をわざわざ見せるなんて…」 そんな声が聞こえてきそうですが、でも、伝えようとしなければ伝わることはありません。

たしかに、伝えることにより物事が良い方向に進むとは限りません。でも、伝えないままに「たまたま」物事が良い方向に進んだとしても、そこから学べることはわずかだし、再現性も低いですよね。

 

なんだか、決定権や自律性という、他には代えがたい大切なものをいとも簡単に手放してしまっている人が多い気がします。

本当に求められているものや期待されていることが何か、途中でブレが生じてきていないか。こうしたことを確認する作業を、怖がったり面倒くさがったりせず、すり合わせのためのコミュニケーションを取りましょう。

 

■ ローコンテクストなコミュニケーションと自己開示の返報性

ここまで「こうした方がいい」と思っていることを書いてきていますが、それが簡単ではない根源的な理由も個人的には理解しているつもりです。

その理由は、企業内の流動性の低さです。

 

変化の少ない仕事を変化の少ない人間関係の中で実施していくことが常態となると、「できるだけ変化がないことが良いこと」という価値観が広がります。

そして、場の空気や上司の心持ちなどを読んで反論や質問を必要以上に控えたり、意味が感じられない「職場の暗黙の了解」に従うべきだと考えたりなど、「根拠のはっきりしないタブー」が蔓延してくることが多いようです。

そんな場所で、個人の生産性も会社の生産性もあったものじゃないでしょう。

 

「自己開示の返報性」という言葉を聞いたことがある人も多いと思います。簡単に言えば、人は自分をさらけ出す相手には同じようにさらけ出すということです。

もちろん全員誰でも常にそうだとは言いませんが、敬意を払って(かついくらかのユーモアも忘れずに)きちんとオープンにコミュニケーションすれば、そして自らが場の空気を破れば、相手も同じように接してくれる可能性はぐっと高まるはずです。

自分が何を感じて何を考えているかを明示的に分かりやすく伝え、かつ周囲が何を感じて何を考えているかを伝えてもらうように自分から働きかけましょう。

 

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このシリーズを書きはじめたときは「全3回かな」と思っていたのですが、提言を書きはじめたら力が入ってしまいました。 そんなわけで提言も分割することとし、以下の提言を次回、最終回でお伝えします。

ソーシャルを活用して自分の活動を公開する

何よりも守るべくは自分のモチベーション

複眼的な視点を得るためのダブルワーク

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

Happy Collaboration!