オープン・コラボレーションとクローズ・コラボレーション
企業のコラボレーションにもいろいろあって、1企業内に閉じた「クローズ・コラボレーション」もあれば、「オープン・コラボレーション」と呼ばれる複数の企業やNGO、行政とのコラボレーションをベースにしたものもあります。
さらに「オープン・コラボレーション」の中にも製品やサービス開発のプロセスのごく一部だけでするものから、最初から最後までどっぷり一緒に進めるタイプもあって、分類しようとするとなかなか大変そうです。 (ちなみに、これまで出てきた「コラボレーション」を「イノベーション」に置き換えれば、そのままオープン・イノベーションとクローズ・イノベーションの説明にもなります。)
いきなりこんなことを書き始めたのは、最近「イノベーション開発部」や「組織変革本部」や「新規ビジネス推進部」などの肩書きをもった方々とお話をする機会が続けざまにありまして、「企業間コラボレーション」についてコメントやアドバイスを求められたからです。
いくつかコメントしながら、改めてコラボレーションについて思ったことがあったので、今回はそんな話を書きます。
あなたは、コラボレーションをどちらの視点から見ていますか?
質問1. あなたは、「イノベーションの側」からコラボレーションを見ていますか、「コラボレーションの側」からイノベーションを見ていますか?
質問2. あなたは「組織の側」から個人を見ていますか、「個人の側」から組織を見ていますか?
質問1、2ともに私の答えは後者で、「コラボレーションの側」からその延長線上にあるイノベーションを見ていて、「個人の側」からその延長線上にある組織を見ています。
なぜ突然こんな質問をしたかというと、この質問への答えの違いが企業間コラボレーションや企業間イノベーションを捉える際のスタンスの違いとなり、その違いが対話のズレとなって現れることが多い気がしているからです。
もちろん、このズレはどちらが良いとか悪いとか、どちらが正しいか間違っているかという類のものではありません。
また、私のように「コラボレーション × 個人」をスタート地点に置いている者であっても、対話の中でイノベーション側に視座をずらしたり、組織側の観点から個人を俯瞰することだって当然あります。
コラボレーションやイノベーションについての対話時に、かみ合わせの悪さを感じたときには、早めにそのズレを場に出して自分と相手が今、どちらに視座を置き話しているのかを双方で確認したほうが良いと思います。
さらには、最初の質問を通じて、自分の基本となるスタンスや傾向を伝え合うことで、対話の質が高まりますし、お互いの発言を受容しやすくなるのではないでしょうか。
「コラボレーションとかイノベーションの話しをした後、なんだかモヤモヤが残りがち…」って方には特に強くおススメします。
ところで、私が「コラボレーション × 個人」をスタート地点とし、常に「イノベーション × 組織」よりも優先しているのには理由があります。
それは、ほとんどのケースで「組織によるイノベーション」は結果に過ぎないと思っているからです。
「組織によるイノベーション」という結果が連続的に起きる状態を作るには、それよりも手前にある「個人(社員)によるコラボレーション」というプロセスが常にONになっている状態が必要ではないでしょうか。
そして「プロセスON」を続けさせられるかこそが組織の生命線であって、連続的イノベーションという結果は、豊かな「プロセスON」の賜物だと思うのです。
なお、個人(社員)によるプロセスのリッチさとして私が考えているのは、以下のようなコトとなります。
- 質 - 関係性の強さや高さ、それぞれの場に対するていねいさ
- 量 - 積み重ねられた場の数や発生頻度
- 幅 - 幅広く社内外を包み込む多様性&インクルージョン
- 道具 - コラボレーション・ツールの成熟度
- 制度 - 支援する仕組みの豊富さやパワフルさ
結局、実際に脳みそや手足を動かしてコラボレーションをするのは人ですしね。
そして飛びぬけたイノベーションという劇的な結果も、こうしたリッチなプロセスの積み重ねから生まれてきているものがほとんどだと思うのです。
とは言え、コラボレーション・エナジャイザーを名乗る身としては、「企業間コラボレーション事例」もある程度は押さえておきたいと思っていまして、そんなウェブサイトや事例集はどこにあるかなと探してみたのですが…。
これが、いい感じのものが見つけられませんでした。
企業間コラボレーションの事例に詳しい方がいらっしゃったら、ぜひ参考になるサイトなど教えてください!