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さとなおさんに学ぶ、社員という「最強のファン」の共感を作る方法

さとなおさんこと佐藤尚之さんの『明日のプランニング』には、たくさんの学びと発見が溢れています。

発売直後からどんどんと多くの感想やまとめがWebにアップされているのも当然と思える内容で、私も「これは書きたくなる」「まとめておきたくなる」と読後すぐに思いました(やっぱり書くことで自分の中への浸透度が上がりますからね)。

bookclub.kodansha.co.jp

ただ、ググって()みると、書かれているのはどうやら「生活者を砂一以前、以降()に切り分けてプランニングすべし」という部分を中心に据えたものがほとんどで、今回私が取り上げた点を中心としてるものは見当たりませんでした。

 

明日のプランニング』には驚かされるデータがいくつも記載されていますが、その中の1つが「1カ月に1度もパソコンから検索をしていない人が7,500万人もいる(2014年)」ということでした。そしてなんと、「この数字は2010年から変わっていない」そうです!

「砂一以前、以降っていったい何のことやら?」という方は、それがいったい何を指し、どういう意味なのか、著者のさとなおさんご自身が書かれている下記のページをまずは読んで見ることをおススメします。 「最近伝わっている手応えも実感もない」のはなぜ――。 「情報〝砂の一粒〟時代」というおっそろしい情報環境

私が一番取り上げたいと思った点。

それは、「社員という『最強のファン』の共感を作る」ことの重要性が解説された部分です。

さとなおさんというと、多くのメディア・プランナーやCMプランナーたちにとっての憧れの人で、その多くがマスやソーシャルを縦横無尽に駆使した「外へ」向けたコミュニケーションのプロとして興味・関心を持たれているんじゃないかと思います。

そのさとなおさんが、本の中ではっきりと「さまざまな施策も社員という『最強のファン』の共感を作ることができていなければ、本当の効果を生み出すことは出来ないだろう」と言っているんです。

さとなおさんの言葉を抜き出し、ちょっと自分なりに説明しやすい順に並び替えて紹介します。


 

■ファンからオーガニックな言葉を引き出す、7つの方法

A.社員という「最強のファン」の共感を作る。

B.ファンをもてなし、特別扱いする。

C.生活者との接点を見直す。

D.商品自体を見直す。ファンと共創する。

E.ファンを発掘し、活性化し、動員し、追跡する。

F.ファンと共に育つ。ファンを支援する。

G.ファンとビジョンを分かち合う。

  「BからFを見事にやってのけたのに、Aができていなかったためにあっという間に崩れ落ちる」、まるで砂上の楼閣のように。――今後、そういうケースを目にすることが増えていくのではないか。

コミュニケーション・プランニングは一般的に「社外」に対してと思われるが、ことが「ファンからオーガニックな言葉を引き出す」という事に関してはまず社内からだ。

 

■社員という「最強のファン」の共感を作る

ここ5年ほどの間に、広告の役割りは「情報を届けるためのもの」から「生活者の課題を解決するサービスの一部」へと変わった。

「生活者の課題を解決する商品やサービスを届ける」のが従来の広告の役割りだったのに対し、広告自体が「生活者の課題を解決する」コミュニケーション活動の一部となり、サービスのひとつとなったのだ。

 

・4マス全盛期 - 広告の役割りは「企業の課題解決」

企業の課題とは「生活者の課題を商品やサービスで解決する」ことであり、そのために4マスを使用して認知や販促を手伝っていた。生活者たちの中に入っていくことができなかった。

・ソーシャル時代 - コミュニケーション活動の役割りは「生活者の課題解決」

広告はコミュニケーション活動の一部となり生活者の中で機能し、生活者の課題を解決する企業のサービスのひとつになった。ソーシャルを中心に生活者個人個人とやりとりできるようになった。 そして、そのコミュニケーション活動の中で大きな役割りを果たすのが社員だ。 社内の共感が社外の友人知人を介して外に染み出していくように、社内の「反感」も社外に流れ出していく。 少し前に、写真をアップしたりつぶやいたりして、社外の人と直接コミュニケーションをとる企業のソーシャルアカウントの担当者ことを呼ぶ「中の人」という言葉が注目された。今や、社員全員が「中の人」になっている。  

■社外の生活者と社内の生活者はつながっちゃっている

人の口に戸は立てられぬ - 「SNS禁止令」「コンプライアンス教育」、こうした手段ですべてをコントロールするのは不可能だし、むしろコントロールしようとすること自体がネガな印象として社外に広がる可能性が高い。 とはいえ、彼らも社員である間は多少遠慮してはいる。だが、会社を辞めた途端、溜まっていたものを一気に吐き出したりする。 さらに、正社員だけでなく、派遣社員やOB、インターンや就活学生のすべてに「印象」や「感想」をリアルで話すことを止めさせるのは不可能。それがこの透明性の時代。 だが本来、社員は自分の会社を愛したがっている「味方」だ。 最初から嫌うために会社に入る人はいない。きちんとインナーコミュニケーションをして社員の共感を得られれば、「最強のファン」としてポジな共感を社外の友人知人にオーガニックな言葉で言ってくれる。 愛したがっている彼らにちゃんと愛されるよう、会社の方向性と環境を整えよう。 会社の存在理由(ミッション)と、どうなりたいのかという夢(ビジョン)と、どういう価値観で行動するのか(コアバリュー)を共有し、同じ目的に向かって進もう。  

■透明性の時代。ミッション、ビジョン、コアバリュー

航海をすばらしくするものは、明確な目的地への期待と夢。そこに向かってちゃんと進んでいるという実感。そしてみんなで一緒に漕いでいるという一体感。 目的地への期待と夢は共感となって社外に染み出し、船自体への評価も高くなる。 ミッション、ビジョン、コアバリューは、社員のために示しているようでいて、実は社外に対しても大きく影響を与え、一般生活者のオーガニックな言葉を引き出しやすくする。 社員を「最強のファン」とし、オーガニックな言葉を引き出せなければ、その他のすべての方法は表面的かつ小手先の手段となってしまう恐れがある。 人間と一緒で、外面ばかり良くしても、日々つきあうとすぐわかる。内面を整え、透明性の時代に耐え得る自分になり、等身大で誠実なコミュニケーションを心がけよう。  


 

さとなおさんおススメの参考図書4冊、全部私も好きな本です。

Happy Collaboration!

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