ソーシャルと通信(ConnectionsとSlack、Box…)
先日、株式会社トライバルメディアハウス主催の「熱狂ブランドサミット2017」に参加し、大好きなさとなおさん(佐藤尚之氏)のセッション「ファンベース ~マーケティングのこれから~」に参加してきました。
イベント翌日には、丁寧なセッション・レポート記事が公開されています。おススメです!
「自社の情報は、知らない人にとっては砂の1粒と同じ」-佐藤尚之(さとなお)氏が「ファンを大事にするべき」と語る理由 #熱狂ブランドサミット2017
■ LINEはソーシャルではなく通信
とは言え、やっぱりレポート記事にまとめると漏れ落ちる部分もありますよね。
「ファンは増やすな、ファンは甘やかすな、ファンに売ろうとするな、ファンと共創するな」などなど、「えっ!?」と思わず口にしてしまうようなそんな話もあって(どれも説明を聞くと「なるほど〜」ってなります)、「もっともっと聞きたい」と思っている間に終わってしまいました。
来年の早い段階で、「ファンベース」を中心テーマとしたさとなおさんの新しい著作が出るらしいので、ここまでの話に興味を持たれた方は一緒に楽しみに待ちましょう!
企業のマーケティング施策がメインテーマではあるものの、マーケティングだけに限らず、コミュニケーションやコラボレーションに取り組んでいたり興味を持っている方にはきっと役立つことだらけの一冊のはずですよ。
(為念: 私はたんなるさとなおさんファンで、これはいわゆる「オーガニック」な口コミです。)
さとなおさんがセッションで使用された資料の一枚を、おすそ分けとして貼っておきますね。
ただ、今回ブログに書きたいメインの話は、ファンベース・プランニングやコミュニティー・マーケティングの話ではありません。
現代の「情報過多と二極化」を説明する中で、さとなおさんがぽろっと言った「僕はLINEはソーシャルではなく通信だと思ってます」という言葉から、私の頭の中で拡がっていった話を書きます。
というのも、ここ最近(実は昨日も)「ソーシャルと通信の違い」を、お客さまとのディスカッションの場で社内ソーシャルとオンライン通信ツールという視点からお伝えする機会がすごく増えているので。
■ ソーシャルと通信の違い
皆さんは「ソーシャル・サービス」(ソーシャルメディアやSNSという呼び方でも構いません)と「通信サービス」の違いって、なんだと思われますか?
私の認識では、この2つは以下の点が大きく異なっています。
- ソーシャル・サービス: 参加している人同士がつながり新たな関係性を生みだす仕組み、あるいはその仕組みを中心に据えたサービス
- 通信サービス: 送り手が必要だと思う情報を特定の相手に届ける手段、あるいはその手段を中心に据えたサービス
ソーシャル・サービスは、根本的に「ヒトたち」が中心に置かれています。一方通信サービスは「コトたち」が中心に置かれているという言い方もできるでしょう(もちろん、機能的に重なり合う部分もたくさんありますが)。
こうして考えると「Lineはソーシャルではなく通信だと僕は思ってます」というさとなおさんの言葉は、私にはすっとフィットするのです(さとなおさんに真意を確かめたわけではないので、まったくの見当違いの可能性もあるので悪しからず)。
それでは、以下のサービスはどちらだと思いますか?
Slack、Box、Trello、WebEx、MURAL…。
「聞いたことがない」という方もいるかと思いますが、これらはそれぞれグループチャットやファイル共有、オンラインミーティングなどの世界で最も話題になっているものです。
これらはすべて、私の考えでは通信サービスです。
通信サービスの特徴は、「プロフィール」という個人を紹介するページが静的でシンプルなこと。
活動に応じて「動的にプロフィールページが成長していく」という機能を持っていません。
ソーシャル・サービスは、情報を発信している人の「人となり」やこれまでの活動が動的にプロフィールページに反映されていくことで、イノベーションの条件と言われている「未知の組み合わせ」を、「場の撹拌」や「(デザインされた)偶然の出会い」を誘発して起こそうとします。
お客さまとのディスカッションで最近よくこの話になる理由は、これらの通信サービスが、現在IBM社内では、公式推奨ツールとしてたくさんの通信サービスが社員に提供されているからです。
それを知ったお客さまからは「なぜ、そんなことをするのか? データ分散や管理の観点で、デメリットばかりじゃないのですか?」という質問をいただきます。
私の考えは、以前『IBMのコラボレーション・ツールの変化 – 体験中心とAPIとAI』というブログに書いた通りです。
「ツールを仕事に合わせるよりも、仕事にツールを合わせる方が効率的だから」「分散していても、APIでそれぞれのツールのデータを取り出しAIのアシストにより有効活用できるようになってきているから」なのですが、もう一つディスカッションでお伝えしていることがあります。
それは、「IBMは、通信サービスは分散させているけれど、ソーシャル・サービスはConnectionsという一箇所に集中させようとしている」ということです。
これは結構大きなポイントで、前述した「活動に応じて成長していくプロフィール機能」が分散してしまうと、イノベーションを起こしやすくするというソーシャル・ツールの強みも薄まってしまうのではないかと私は考えています。
ディスカッションでは「それでは、Verseというのは通信サービスかソーシャル・サービスか、どちらだと思いますか?」という問いかけをすることもあります。
いわば「元祖通信サービス」とでも呼びたくなるようなe-メールを昨日の中軸としているVerseですが、実際にConnectionsの1コンポーネントで、ソーシャル・サービスと深く連携しています。
はたしてこれは、ソーシャルなのか通信なのか…。現時点では通信の色が濃いですが、今後そういう従来の枠を超えていくのかもしれません。
そんなConnectionsの野心的なところに、「イノベーションを推進するためには自らイノベーティブであれ」というスタンスを私は感じます。だから私はConnectionsが好きです。(なんだか最後は親バカっぽくなっちゃった。。。)