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「ソーシャルメディア・マーケティングの最前線」で思ったこと(と妄想したこと)

先週の18日に、『パネルディスカッション ソーシャルメディアマーケティングの最前線』という、下記3名がスピーカーのSAS Institute Japanさん主催イベントに行ってきました。
2時間の短いイベントだったのですが、3名がそれぞれ約10分ずつお話された後はおよそ90分近くがパネル・ディスカッションに費やされました。
ディスカッションをする上で皆さんとてもバランス感覚が良く、また、それぞれの方のソーシャルメディアへの関わり方が異なっていたので、とても拡がりと奥行きのあるものでした。
なお、イベントはUstreamで放送もされて、ハッシュタグもセットされていました。
残念ながらUstreamアーカイブはまだ公開されていないようですが、当日のTwitter上での発言はこちらにまとめられています。
今回は、ディスカッションの中でも、自分にとって気づきや考えを深めるのに役立った徳力さんの発言を中心に書こうと思います。
(なお、徳力さんのショート・セッションのベース資料はSlideshareのこちらのページで見ることができます。)
■GAPのロゴ変更が、ソーシャルメディア上での声によりわずか数日で戻された。これはどちらかというとネガティブな出来事としてソーシャルメディア界隈では取り上げられているが、むしろ「ソーシャル・リスニング」を行い、迅速に行動したポジティブなケースではないか(by徳力さん)
Jimさんがご自身のプレゼンの中で「ソーシャルメディアのパワーを示す例」とGAPのロゴ変更の話を紹介されていました。
Jimさんは「今回の件で、GAPは金銭的にかなりの損失を被るのではないか」と言われており、短期的にはたしかにそうかも知れません。
でも、私も徳力さんと同じで、これは好例として語られて良いものでもあると思っています。
今回の顛末をうまく伝えていけば、成功事例となるのではないでしょうか。
コトの顛末を自分たちでも面白がるような動画やテレビCMをGAP自身が作ったり…
例えば、こんな感じで:

背景: 一面、GAPのディープブルーのカラー
おしゃれなモデルさんが新しいロゴが書かれたフリップを手に登場 ⇒ NO! の吹き出し文字がフリップにドンドン登場して埋め尽くす
二人目のモデルさんも同じフリップを手に登場。同じことが起こる
何人かそれを繰り返した後、モデルさんたちが頭の上にフリップを乗せ…
画面が引いて上からの俯瞰になると、昔からのGAPのロゴになっている
そこでテロップ:
"We love GAP"
"But we love your voices more"
"GAP"
みたいな…。
スイマセン。素人が3分で考えたヘナチョコ案です。お許しください!

■USでは60%がFacebookユーザー。もう「インターネット = Facebook」という感覚に近い。また、日本では「Twitterが流行ったから、次にFacebookが流行るのでは?」という捉えられ方だが、USではそもそもFacebookがあり、その後Twitterが出てきた」(by徳力さん)
Facebookのユーザー数は来年には10億を超えるだろう」とも言われており、私も最近では「おそらくそうなんだろう」と思っています。
ただ、日本においてどの程度伸びるかは、マスコミがどう扱うかにかかっているんじゃないでしょうか。
Twitterが日本でここまで伸びたのも、結局はテレビや雑誌での取り上げ方が「感度のいい人はみんなやってます」から始まり、「まだやってないの? ヤバくない?」的な"煽り"だったことがポイントだったんだと感じています。
そして、「インターネット = Facebook」という感覚も、徳力さんのUSの知り合いの「twitterGeek(オタク)が使うもので、Facebookは誰でも使うもの」という言葉と併せて聞くと、「ああ、なるほどなぁ」という気がしました。
B2B企業の場合、B2C企業のように10万人にフォローされる必要はない。一人のフォロワーの持つポテンシャルを考えると、IBMのように社員一人一人がお客さまとつながってコミュニケーション取れるほうが強力(by徳力さん)
これは「企業のソーシャルメディア/ソーシャルコンピューティング・ガイドライン」に関する話から出てきた言葉です。
企業アカウントが「10万人にフォローされる必要」というのは、Twitterとマスメディアとして捉えた考え方で、Tweetを何らかのプロモーションに使う際に10万人程度にはリーチできなければ「広告」として成り立たないということですね。
要するに、企業アカウントをマス・マーケティングをメインとして運用するという考え方です。
一方で、営業担当者やコンサルタントが自分の担当しているお客さまとTwitterなどで
つながるというのは、もっとセールス寄りの考え方で、企業のマス向けの活動を伝えるための使用ではありません。
名刺をお客さまに渡してメールアドレスや電話番号をお伝えし、直接のやり取りができる場を用意するという考え方に近いと思います(それだけではありませんが)。
そして、数万円から数億円というという商材を扱っているB2B企業の営業担当者であれば、自分の担当しているお客さまに直接声を届けられることの価値は大きく、Twitter上のつながりが数名から数十名でも「1社が1,000万円の製品を買ってくれた」という成果はB2C企業の「1万人が1,000円の製品を買ってくれた」と売上金額の観点では同じわけです。
(まあ、「Twitterで売上が実際に上がるのか」というのはまだ疑問視されているところもありますが。)
なぜかこれまでこの観点では考えたことがなかったのですが、言われてみればその通りですね。
なお、この話に関連するエントリーを以前『「ビジネス・パーソンと実名制」をつらつらと考えてみる』に書いています。

pachi.hatenablog.com

それから、徳力さんの「IBMのように~~」という言葉ですが、IBMの場合、社員が実名で身元を明確にしてソーシャルメディア上で活動しましょうというのが推奨されています。
ご興味のある方はIBMのソーシャルコンピューティング・ガイドラインを見てみてください。

www.ibm.com

他にも「(一部の例外はあるものの)企業に人格を与えるかのようなタイプの公式アカウントを、複数人で運営するのは無理があるのでは? IBMのように個がそれぞれの人格でやればいい」ということも徳力さんは言われていました。
これについても思うところはあるのですが、今回のエントリーもちょっと長くなりましたので、また、別の機会としたいと思います。
Happy Collaboration!

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