Collaboration Energizer | #混ぜなきゃ危険 | 八木橋パチ

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読書メモ 『スタートアップ!』 The Start-up of You

 

読んでる途中から「スカッと感」が相当高かったリード・ホフマンとベン・カスノーカの共著『スタートアップ! シリコンバレー流 成功する自己実現の秘訣』。

もう出版されてから数ケ月経ちますし、6月にはホフマンさんが来日し、楽天の三木谷さんとトークイベントを開催していたので、すでに読まれた方も多そうですが…。
でも、まだ読んでない人や存在を知らない人もたくさんいるはずだと思うので、オススメ本として読書メモを書きます。

www.nikkei.com

 

『スタートアップ!』というタイトルから起業に関する本だと思う人もいるかもしれませんが、『The Startup Of You』という原題が示すように、力点は「人」「あなた」に置かれています。
(正直、サブタイトル「シリコンバレー流 成功する自己実現の秘訣」に対しては「ん~~」と思うとこあります。「シリコンバレー流」とか「自己実現の秘訣」とか、出版社的には「押さえておきたいフレーズ」なのかなぁ。)

 

本の内容を一言で言えば… 今日、実際に起業するか否かにかかわらず、人は自身をキャリアにおいて起業家的に考えるべきである。起業家精神を上手に発揮しながら生きていくことで、自分も周りも世界も良くすることができる。 …ということ。この部分をコアにさまざまなエピソードや実践アイデアが書かれています。

そうなんです。なんてったって著者はLinkedInの創業者ですからね。 LinkedInをはじめとした「ソーシャルウェブを活用した今日から始められる実践アイデア」もたくさん書かれています。

ただ、私Pachiに一番響いたのは、上述した「精神的起業家として生きる」という考え方や視点であり、そこから生まれる多くの言葉がギラリと輝いて見えました。 (突然ですが、私はキラキラしたものよりギラリとしたものが好きです。)

ということで、強く心に残った言葉や考えをランダムに紹介します。 なお、テキスト太字は本書内から抜き出したフレーズや言葉となり、少し薄めのグレー文字は私Pachiの気持ち、想い、コメントとなります。  


 

■行き当たりばったりで今よりも上を目指そうとすると、「なりたい」自分を意識しなくなってしまう。…とは言え、アイデンティティは発見するようなものではない。 経験や行動を通して「生まれてくる」のだ

■「永遠のβ版」として生きる

□Pachi(β) - 常に学び続ける。捉われすぎない。改良を目指す。破壊的イノベーションも追う。矛盾を包含して高みを目指す。フィードバックを請う。 ■わたしがプランを持たないのは、プランがあるといまの選択肢だけに縛られてしまうからです - シェリル・サンドバーグFacebook 最高執行責任者

■先行きが不確実だと落ち着かないが、不確実だからといって必ずしもリスクが大きいとはかぎらない。先行きが不透明な場合、そちらの方向に進むのを避ける人は少なくない。あなたの持ち味と置かれた状況によっては、ほかの人にとってはリスクが大きい選択肢も、あなたにとってはそうでもないかもしれない。

□このあたりは、「小さく賭けて、素早く失敗して、すばやく学ぼう」という、「デザイン思考/プラン優先型からの脱却」との関連も高いですね。 まずは「失敗を許せるマインドセット(しなやかマインドセット)」を自分の中にもっとしっかり築きたいです。 ■ある程度のリスクを折に触れてとらないかぎり、いつかは「こんなはずではなかった」という事態に陥るだろう。山あり谷ありの仕事人生を歩んでいれば、突発的な危機をも乗り越えられる「衝撃をしなやかに吸収する力」が身につくのである。 長い目で見た場合のリスクへの対処方法として、逆境への強さを身につけるしかないのだ。もしリスクに気づかずにいたら、リスクのほうがあなたを探し当てるだろう。

□「リスクのほうがあなたを探し当てる」はすごく怖い言葉。でも、感覚的に「たしかにそうかも」と思うところがありませんか?

意識していないと、私たちはときどき耳にする「この世界で唯一確実なのは不確実さ」という言葉をすぐ忘れてしまうものですよね…。

 

■友人をつくりたければ、頼みごとをするとよい - ベンジャミン・フランクリン

■「こうなりたい」と思う相手と付き合うのが、自分を変える何よりの王道である。 相手を助けるのが絆を深める最高の方法だとするならば、次によい方法は、自分が助けてもらうことである。

DIY(Do It Youself)からDIO(Do it Ourselves)へ。

□ちょっとおもしろいエピソードを発見。2010年、ワシントンD.C.で開催された「Gov 2.0 Expo」という次世代政府を考えるイベントで、下記3者のこんな発言があったとか。

・ティム・オーライリー : DIY(Do It Youself)「自分たちでやりなさい」 ・スコット・ハイファマン(meetup.com創業者) : DIO(Do It Ourselves)「自分たちでやりましょう」 ・ジョン・シーリー・ブラウン(元パロアルト研究所 所長) : DIT(Do It Together)「一緒にやろうよ」

□孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ。 ■幸運にめぐり合う最善の方法は、さまざまな出来事を起こすこと - ボー・ピーボディ(企業家、『セレンディピティ』著者) さまざまな出来事を起こせば、長い目で見たら、自分のセレンディピティ、ひいてはチャンスをお膳立てできるだろう。

セレンディピティは「ふとした偶然から生まれる」けれど、それをきっかけにできるか、そこからインスピレーションを受けられるかは偶然のようで偶然じゃないよ!

■情報網から優れた知恵を引き出すのは容易ではない。多彩なテーマのそれぞれについて、意見を聞くべき相手を特定し、できるかぎり有益な答えにつながりそうな質問を投げかけ、答えを意味ある知恵へとまとめあげるとなると、そう簡単ではない。
■情報をうまくまとめればこの総和をはるかに上回る価値が得られる。
□最後の部分は「情報の総和は、うまくまとめられなければ個別の情報の価値を下回ることもある」と言い換えられるのかもしれないな…
■働き手の忠誠心は上司への「タテ方向」ではなく、 自分の人脈への「ヨコ方向」に働く - ダニエル・ピンク
□「中央集権的計画運営/経営」と「分散自律的実験運営/経営」は対立せざる得ないものなのでしょうか? しなやかに共存することで相乗効果を起こせないのでしょうか?

【急募!】創造性と効率性をトレードオフしない仕組み

■自分への投資、人脈への投資、そして社会への投資をしよう。これら3つすべてに投資をすれば、プロフェッショナルとしてもてる力を最大限に発揮できる可能性がきわめて高い。 同じくらい大切な点として、世の中を変えられる可能性もきわめて高い。
□本の最後に書かれていた「この本を含めたあまたのハウツー本のアドバイスをそのまま鵜呑みにするのは起業家マインドじゃないぜ。「自分だったら」の視点を活かせ!」というメッセージが とてもイカしてました(実際に書かれている言葉はまったく違いますが、私にはそう読めました)。

 


 

本のステキさの一部でも伝わればいいのだけど…。 そうそう、MITメディアラボ所長の伊藤 譲一さんが「日本語版まえがき」を書かれていて、それもまたグッと来るステキな文章でした。
最後に。直接は関係ないんだけど、どうしても「スタートアップ」 って聞くとこの曲が反射的に頭に流れ出すので…

 


www.youtube.com

 

「問題は意欲があるかどうか」だ。 f:id:dubbed_pachi:20210719121003j:plain

Happy Collaboration!