Collaboration Energizer | #混ぜなきゃ危険 | 八木橋パチ

コラボレーション・エナジャイザーとは、コラボレーションの場を作り、場のエネルギーを高め、何かが生みだされることを支援する人

原田曜平さんに聞く「イマドキ若者の特性と育て方」

博報堂 若者研究所リーダーの原田曜平さんセミナー「イマドキ若者の特性と育て方」(株式会社ワークハピネスさん主催)に参加してきました。

 

テレビでの露出も多く、大変忙しい方なので、「2時間のセミナーだけど、本人が話すのは正味1時間程度かな…」なんて思っていたのですが、本人喋りまくりノンストップの120分でした。

中身も大変濃いもので、15年以上にわたってあらゆる場所や方法で若者研究を続けられてきた原田さんだからこそ話せる内容が満載でした。

(テレビ業界の「意外! そうなんだ〜」な裏話もチョイチョイ挟んでお話しされるので、ちょっと得した気分にもなりました。)

 

********** 『さとり世代-盗んだバイクで走り出さない若者たち』 ********** 『ヤンキー経済~消費の主役・新保守層の正体』 **********

 

原田さんの本はこれまで上記2冊を読んでいましたが、それぞれに書かれていた内容の理解がグッと深まると同時に、最新情報へアップデートされました。

基本的に人事、人材開発の現場に近い方向けに企画されたセミナーでらあったものの、イマドキ若者とコミュニケーションやコラボレーションをする、あらゆる人たちに聞いてほしいし、理解しておいた方が絶対に良い内容だったと思います。

 

「あまり勝手にブログに書かないでください」と原田さんに怒られない程度に(これから出版される本の内容もたくさんお話いただけたようですし)、私のもやもやがスーッと晴れたポイントを、何点か紹介させてもらいます。

 

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■ 右肩下がりのベクトルが刷り込まれたイマドキ若者

生まれたときから「放っておけば落ちていく」というバブル後の右肩下がりのベクトルしか知らないU30にとっては、維持することが目標になるのは至極当然。

--これまでにも何度か「維持することが目標になるのは至極当然」の背景を目や耳にしてきましたが、「うーん、理解できるけど分からない」っていう感じが自分の中にどこか残っていました。

 

それが今回、原田さんが直接見聞きしてきた大量の「イマドキ若者」エピソードととその個別分析によって、ストンと腹落ちしました。

いや本当に、そういう中で生きてくれば、そりゃ現状維持や超安定志向が染み付きますよね。「三高から四低へ()」って流れも自然なことです。

昔「三高」いま「四低」 結婚するならどっち?

 

なお、「右肩下がりのベクトル」は、実際には景気はただ下がり続けているわけではなく、ただそれでもDNAに「落ちていっている感が刷り込まれている」とも加えられて言ました。

 

■ 横社会の気づかいと縦社会の気づかい

「横社会の気づかい」とは、中学生からケータイを持ち、高校や大学への進学や就職などで日常的に顔を合わせる仲間は変わっても、SNSやオンライン・コミュニケーションツールでつながり続け、かつ相手がどんどん増え続けていく中で必要とされる「若者の理論」をベースとした気づかいです。

そして「縦社会の気づかい」とは、簡単に言ってしまえば役職などの階層型による「会社の理論」をベースとした上下関係における気づかいです。

 

この2つはそこで求められる行動様式が大きく異なっているので、片側の文化しか知らない人から見ると「気づかいができない」という判断になってしまいます。

でも実際は、それぞれが必要だと思っている気づかいの流儀が違うだけです。新しいものへ、それぞれが馴染めていないだけです。

 

むしろイマドキ若者は、横社会の相互監視状態にいるうちに、「過剰な気づかい」がデフォルト化していると言っても良さそうです…。

経験豊富な縦社会側の住人の皆さん、ここは一つご自分から横社会側に歩み寄ってはいかがですか?

 

■ 既視感と分かったような気持ち

ちょっと興味を持ったものでも、自分が体験する前に仲間や知り合いの体験談や感想がスマホ画面に流れてくるのがSNS。そうなると「あれ、そんなに大したことないのか」とか「まあ大体分かったからいっか」と、まるで自分が経験したかのように思ってしまう…。あるいは、そもそもの興味自体を失ってしまう。

そんな経験を重ねるうちに、情報だけで満足してしまったり、見たことないものややったことないものに「既視感」を感じてしまう…。

—これって、イマドキ若者だけじゃなく、多くの世代に共通の現象だと私は思っているのですが、彼らに特に顕著ということなんでしょうね。

 

一方で、私の周りのイマドキ大人たちには、その効用と副作用をある程度理解していて、あえて「分かった気になりかけている自分に警鐘を鳴らす」行動をしている人が多い気がします。

既視感が、本当に既視感なのかを、あえて確認する。 感じている「分かったような気持ち」が、本当に自分が体験した時に感じるものと同じかを意識的に確認する。

—ひょっとしたら、コスパを何より大切にしているイマドキ若者たちから見たら「ムダじゃね? 意味わかんね」って話かもしれませんが、体験したら違っていたとか、その体験が後になって違う意味をもたらしたとか、年齢とともにそんな経験を多く重ねているからなのかもしれません。

 

最後に、「インドネシアでも上海でもヨーロッパでも、先進国(地区)では上に書いたようなイマドキ若者たちの同質化が一層進んできている」って話を、実際に実地調査をし続けている原田さんの口から聞き、「時間差があるところほど多様性が生まれやすい」、つまり「同時性が高いほど同質性が高まる」という言葉が正しく世界を席巻しているんだなぁと思いました。

原田さん、どうもありがとうございました。

 

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少し前に、「電通若者研究所」の書籍『若者離れ』の読書メモを書いているので、今回のエントリーに興味を持たれた方はぜひ読んでみてください。

読書メモ『若者離れ 電通が考える未来のためのコミュニケーション術』

 

Happy Collaboration!