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読書メモ『若者離れ 電通が考える未来のためのコミュニケーション術』

日本の若者(ミレニアルズ)分析って、あまり目にすることがないなって思っていました。

 

ときどきweb記事などで目にする「電通若者研究所」の存在は知っていたものの、まとまった形の分析を目にすることはこれまでなく、今ひとつどんな活動をしているのか分かっていなかったのですが、今回、下記の記事で『若者離れ 電通が考える未来のためのコミュニケーション術』という本が出版されたことを知り、読んでみました。

   ・ 今起こっている“大人の若者離れ”って?

   ・ 知らない大人は損してる!? 若者の「質の影響力」って?

 

読み方や楽しみ方は人それぞれですが、データや分析から「へーそうなのか!」とか「あるあるww」って感じで楽しみながら読むこともできるし、若者の深層心理を理解しイマドキの若者へのアプローチ方法を学ぶこともできる一冊だと思います。

 

ライトな読み方としては、「あいつxxキャラかも?」とか「あの子ってxxキャラよね!」なんて、『若者まるわかりクラスター』で分類を楽しんだり、『若者離れチェックリスト』で自分のズレっぷりを診断してみたり、インスタグラムへの投稿を「写真そのもの」「コメントの付け方」「ハッシュタグの使いかた」から分析し、投稿者の『見られている意識』と『逆算された振る舞い』を楽しんだりできます。

とりわけ、最後のインスタ投稿分析は「エリコちゃんとミカ先輩」のやり取りが好きな人には絶対おススメです。

   ・ なんでTwitterって自撮りに厳しいの?

   ・「恋人が…」SNSでノロケる女子は結婚できない?

 

でも、私にとって一番面白かったのは、イマドキの若者の行動がどうできあがってきたのかを時代ごとの環境要因から分析していく第3章と、さらにその深層にある本質的欲求を紐解いていく第4章でした。

以下、エッセンスを感じる部分を何箇所か引用します。

 


■ 若者が「量の影響力」をもっていた時代には、自然にそのなかから社会や組織に還元できていた、若者のもっている「質の影響力」の存在(…)ミレニアルズとは、アメリカの世代論における世代の名称で、1980年代から2000年代前半に生まれた世代のことを指します。SNSを使いこなし、異文化への寛容性が高く、社会貢献意欲が高いなど、その特徴は日本の一般的な若者論で語られる若者像と重なる部分が多々あります。ただし、日本との大きな違いは、ミレニアルズに代表されるアメリカの若年層はまだ「量の影響力」も備えているだけの、人数ボリュームの大きい世代だということ

dentsu-ho.com 社会における若者の割合(日米比較)」

 

■ WEの時代: 3つの変化の波
  • 変化の波#1: 継続する不安と将来の不安 → 身の丈志向
  • 変化の波#2: 人口減少と教育の変化 → 競争よりも協調
  • 変化の波#3: 情報環境の変化 → 正解志向
 

西洋文化への"帰属"、まわりの日本人への"優越"、内輪の人からの"承認"と、自分らしさのあり方のよりどころが外側にあった時代を経て、はじめていま「ありのままの"肯定"」という、"まわり"由来ではない自分を求められている、そんな時代なのかもしれません(…)この時代の若者の「自分らしさのあり方」の根源には、WEの時代を経たからこそ、「本当はIが欲しい」という肯定欲求が潜んでいる


 

 

この本の最大の目玉は、若者の思考や志向を構造化する『ワカモンSEAモデル』だと思います。

この心理構造モデルは相当の汎用性の高さがあり、今後、若者と社会の関係性の解析が必要なさまざまな場面で用いられるのではないでしょうか。

SEAモデルはおそらく電通報の『「若者離れ」発売記念連載』で近いうちに取り上げられるでしょう。まだ本を手にするか迷っている方は、それを見て判断してもよいかもしれませんね。

 

…それにしても、「Iがあれば」の「7つの分岐」って、若者ではなく大人が自身を見直すのに有効なんじゃないかなぁ…。

dentsu-ho.com 7つの分岐

 

Happy Collaboration!