Collaboration Energizer | #混ぜなきゃ危険 | 八木橋パチ

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炭素、GHG、スコープ3に関するメモ(GHG排出量の算出が難しく分かりにくい理由)

原子と炭素

化学元素としての最小単位の1つが炭素(原子番号 6。元素記号 C)。原子はあらゆる生命体の基本単位であり、人体は18%が炭素でできている。生物が死ぬと、その生物に含まれていた炭素が周囲の環境に放出され「炭素循環」する。

 

GHGプロトコル

WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議:World Business Council for Sustainable Development)とWRI(世界資源研究所:World Resource Institute)を中心に設立。各国企業やNGO(非営利組織)、政府機関など多数のステークホルダーが協働する組織的集合体。

CO2などGHGの排出量算定、報告の枠組みを国際的基準として定めており、これらの基準は現在世界中で参照されており、GHGプロトコルでは「Scope(スコープ)」という考え方を採用している。

 

Scope

GHG(温室効果ガス)プロトコルの中で設けられている排出量の区分であり、サプライチェーンバリューチェーン)排出量を以下3つの分類に分けている。

  • Scope1排出量 - 事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
  • Scope2排出量 - 他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
  • Scope3排出量 - Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

 

GHG排出量の算出が難しく分かりにくい理由

牛丼を例に考えてみる。必要なのはまず牛肉。そして牛肉を運ぶのにも牛を運ぶのにも、さまざまな輸送手段(EVで動くトラック、化石由来の燃料で作られた電気で動く電車)が必要。そして牛が育つには牧草地が、牧草地には肥料や耕運機が必要。

さて、それをどこまでどのように分類するのか。企業単位で見ると…産業別にすると…施設単位で見ると…年度別にすると…生産者であるいは消費者で見るか…。

範囲の捉え方や分類の方法で、多くの重複が生まれる。特にScope3排出量の計算は極めて煩雑なものとなることが分かるだろう。

1つの考え方としては、Scope1とScope2が全世界の全団体でしっかりと算定される世界においては、Scope3は不要になるのではないか? というものもある。

 

Scope3

下記の15のカテゴリに分類されている。

  1.  購入した製品・サービス - 原材料の調達、パッケージングの外部委託、消耗品の調達
  2.  資本財 - 生産設備の増設(複数年にわたり建設・製造されている場合には、建設・製造が終了した最終年に計上)
  3.  (Scope1,2に含まれない)燃料及びエネルギー活動    - 調達している燃料の上流工程(採掘、精製等) / 調達している電力の上流工程(発電に使用する燃料の採掘、精製等)
  4.  輸送、配送(上流) - 調達物流、横持物流、出荷物流(自社が荷主)
  5.  事業から出る廃棄物 - 廃棄物(有価のものは除く)の自社以外での輸送、処理
  6.  出張 - 従業員の出張
  7.  雇用者の通勤 - 従業員の通勤
  8.  リース資産(上流)- 自社が賃借しているリース資産の稼働(算定・報告・公表制度では、Scope1,2 に計上するため、該当なしのケースが大半)
  9.  輸送、配送(下流) - 出荷輸送(自社が荷主の輸送以降)、倉庫での保管、小売店での販売
  10.  販売した製品の加工 - 事業者による中間製品の加工
  11.  販売した製品の使用 - 使用者による製品の使用
  12.  販売した製品の廃棄    - 使用者による製品の廃棄時の輸送(※2)、処理
  13.  リース資産(下流) - 自社が賃貸事業者として所有し、他者に賃貸しているリース資産の稼働
  14.  フランチャイズ - 自社が主宰するフランチャイズの加盟者のScope1,2 に該当する活動
  15.  投資 - 株式投資、債券投資、プロジェクトファイナンスなどの運用
    その他(任意). 従業員や消費者の日常生活

 

参考

環境省 - Q&A サプライチェーン排出量算定におけるよくある質問と回答集(2023年3月 改訂)

サプライチェーン排出量を算定するにあたって、よくある疑問や判断の難しい箇所などを確認できます。Q&A形式で展開されるため、より理解しやすい内容となっております。https://www.env.go.jp/earth/ondanka/supply_chain/gvc/files/tools/QandA_202303.pdf

 

Happy Collaboration!