Collaboration Energizer | #混ぜなきゃ危険 | 八木橋パチ

コラボレーション・エナジャイザーとは、コラボレーションの場を作り、場のエネルギーを高め、何かが生みだされることを支援する人

『強いチームはオフィスを捨てる』を読みました - テレワークとメキシコの漁師

 

ものごとが広く受け入れらるようになるまでには、風穴をあけるような言葉や人が反論を巻き起こし、次に現れる中和的というか迎合的なところがあるものが受け入れられていくものなんだろうか。

それはひょっとしたら、最近パタリと耳にしなくなった「ノマド」という、どこか人をかきたてるというか、なんとなく浮き足立ったところを感じさせる言葉が楔を打つ役を終え、「リモートワーク」や「コワーキングスペース」という考えや言葉が入り込むための区画整理をしてくれたということなのかもしれない。

イメージ強いチームはオフィスを捨てる』というリモートワーク(「テレワーク」が日本では一番浸透している言葉なんですかね?)について書かれた本を読みました。

いろいろな事が頭をよぎりましたが、そのうちの1つが冒頭に書いたことです。

「リモートワーク」そのものはもちろん、それ以上に「働く」ということや「コラボレーション」「コミュニケーション」など、普段から自分が意識していることに対してたくさんの刺激を与えてくれる本でした。

また、本にはたくさんのおもしろかったりかわいいイラスト/アートワークが使われています。何枚か英語版の本の紹介ページにも掲載されているので、いくつか個人的にメモを取ったフレーズと併せて紹介させてもらいます。


これからは働きながら好きなことをやる時代だ。 歳をとるまで待つ必要はない。好きなことをやれる環境で、仕事と趣味を両立すればいい。何十年も先のことを待ちつづける人生に、何の意味がある?

もうかれこ10年以上は語り継がれている有名な「メキシコの漁師」のジョークを思い出しました。

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コスト削減の話をすれば、頭の固い人間だって耳を傾けてくれるはず』という言葉に続けて、以下の報告書からのデータを紹介しています。

Working Outside the BoxIBMの研究報告書 2009年(英語のPDFファイル)イメージ

IBMは1995年からリモートワークを推し進め、オフィス面積を7800万平方フィート(およそ725万平米)削減することに成功しています。不要となったオフィスのうち約7割は、19億ドルで売却しました。賃貸している分については別の企業に転貸し、10億ドルを超える賃料を得ました。アメリカだけで年間1億ドルの経費削減となっており、ヨーロッパでも同等かそれ以上の経費削減が実現されています。

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部下のことをつねに見張っていないと不安なら、それはマネジメントができていない証拠だといっていい。マネジャーではなく、ただの子守り。リモートワーク以前の問題だ。

しかし実際には、世の中「子守りの効率化」に進んでいるようです。 本書の中でも『2015年には企業に勤める人の6割が何らかの監視システムに見張られることになる』というガートナーのレポートが紹介されています。

私が推進している「社内ソーシャル」に対しても、「それって社員を監視するためにも使えますかね?」と訊いてくる人が一定数います。うーん…。

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従来のオフィス文化では、大声で自分の成果を自慢しなければうまく評価されなかった。でもリモートの環境なら、黙っていても成果物があなたの能力を照明してくれる。一方、口先ばかりで仕事をしていなかった人は、もう逃げ場がなくなるはずだ。 リモートワークは、これまであまり注目されてこなかった真実を明るみに出すことになる。 リモートで仕事ができる人は、もともと仕事ができる人なのだ。

これは「社内ソーシャル」とまったく同じ話ですね。イメージ

社内ソーシャルを「オンラインの職場」として仕事のプラットフォームにすれば、そこには自動的に「ワークログ」が集まり、デキる先輩や上司の仕事のやり方と成果物をみんなが参考にできます。

オンラインOJTツールとして自主的に使用することができるようになります。

「いったいどういうこと?」という方は、こちらを読んでみてください。 『社内ソーシャルは「デキる先輩の背中」が見える職場


長くなってきたので、印象的なフレーズをもういくつか紹介しておきます。

毎日オフィスにいると(…)仕事以外の印象で評価が決まることも多い。 <遅刻や欠勤をしない人> + <いい人> = <仕事ができる>という、まちがった回路ができてしまうのだ。

確かに直接会って話をしたり、ミーティングをしたりするのは大切だ。複雑でデリケートな問題について話しあうときには、相手の雰囲気を感じ取れたほうがうまくいく。 しかし一方で、いつも顔をあわせていると、「会う」ことの価値が下がってしまうのも事実だ。せっかく質の高いコミュニケーションができるチャンスなのに、みんな慣れすぎて惰性になってしまう。

ガンジーは、変化にいたるプロセスを次のように表現している。 「はじめは無視され、次に笑われ、それから争いになる。そして最後に、君は勝つ」

Happy Collaboration!