Collaboration Energizer | #混ぜなきゃ危険 | 八木橋パチ

コラボレーション・エナジャイザーとは、コラボレーションの場を作り、場のエネルギーを高め、何かが生みだされることを支援する人

欲しい未来へ踏み出すために - フューチャーデザイン・ワークショップ

 

デンマークから来日したBespoke(ビスポーク)社の、2日間にわたるフューチャーデザイン・ワークショップの通訳をやりました。

今年2月のコペンハーゲンでは、参加者として「MUJIの未来」を考えるワークショップに加わりましたが、今回はワークショップ通訳という役割を通じて、参加いただいたみんなの「欲しい未来へと踏み出すお手伝い」ができたんじゃないかなと感じています。

参考: 文化のデザインとは未来のデザイン。未来のデザインとは文化のデザイン。

 

ワークショップを終えて2日経ちますが、まだ身体と頭に充足感と場が持っていた力がいい感じに混ざり、しあわせなエネルギーとしてたっぷり充填されている気分です。

本当にすてきな時間だったし、とてもよい体験でした。

 

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今回のワークショップは<FUTURE OF WORK in 2030>をテーマに、4チーム5人程度に分かれてそれぞれのチームが未来洞察をし、あらゆる可能性の中から向かっていきたい未来を自ら選び、そのためのアクションプランを作っていくというものでした

— こう書くと、とてもシンプルな未来予測やデザイン思考のワークをイメージする人が多そうですが、個人的には日本でこれまで参加してきたフューチャーセッションやデザインワークショップとは異なる点が多いと感じました。

 

特に相違を顕著に感じたのが、ワークの端々に現れる<身体性の重要さ>と<自分と仲間に対する信頼>そして<プロセスと結果に対する信頼>という点です。

ここからは、2日間のざっとした流れと、私が今回それを感じたポイントについて書いてみます。

 

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Day1

Check-in : 参加者同士、お互いの目と目を合わせながら、手元に視線を落とすことなく相手の似顔絵を描く。書き終えたら相手への質問を一つ書いて相手に渡し、4人繰り返したらみんなの顔が見えるよう半円を描くように着席。手元に集まった4枚の紙の中から1枚を選び、みんなにそれを見せながらそれを選んだ理由と質問への答えをみんなにシェアしてチェックイン。

 

RoadMap Exercise: 1980年に戻り、そこから2018年の未来を見る。変化が激しくまた多くの人に身近なビデオゲーム業界を題材として、あらゆる方面からエポックメーカーや破壊的イノベーションのシグナルが出現することを学ぶ。

 

SITUATE – 位置決める: 自分たちの未来探索の足場と活動範囲、つまり現状理解を深めていきます。フューチャーキャンバスと呼ばれるワークデッキに、自分たちの課題とプレイヤーと強みのインスピレーションカードを作成する。

 

SEARCH – 探索する:

WindTunnel – ペアを組み、相手に1分間言葉を止めることなくひたすら答え続けてもらう。片側はそれをメモし続け、終わったら役割交代。相手の知識や脳内を素早くダウンローディングして探索。

Scoping – 探索する領域と分野を決め、テーマとの関連性の強弱にああせてキーワードを<スコープホイール>に落とし込んでいく。

Scanning – スコープホイールの中から変化のシグナルを見つけ出す。実際に起きている現象とつなげて、スキャンカードを作成していく。

 

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Day2

SENSE – 感知する: スキャンカードをクラスタリングし、それに名前をつける。クラスタリング作業を通じて見えてきたインサイトを、A-HA! を生みだすインサイトカードにする

 

SCALE – 進み出る: インサイトカードから<欲しい未来>へ向けて、声明文とそれを視覚化したビジュアルを作成する(LEGO)。未来へ向けたアクションプランをバックキャスティングで作成する。

 

Check-out : 探検記に今回の旅から持ち帰りたいものと、未来へのコミットメントを書く。Check-inのときのように半円を描くように集まり、探検ジャーナルに書いたことをみんなにシェアしてチェックアウト。

 

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ここに書いたのはものすごく簡略化したもので、他にも鼻(そう、顔の真ん中にあるそれ)を評価ツールに使うワークなど、身体を使うことで楽しさや仲間意識を強めるような、デンマークらしい要素もいろいろとありました。

これは1日目を終えて、自分なりにその日のワークを振りかえったときに感じたことですが、世界で一番刺激的なビジネススクールと呼ばれるカオスパイロットから生まれたBespokeらしく、<プロセスと仲間を信じよう>というメッセージの土台に「自分自身に対するリーダーシップ」「チームに対するリーダーシップ」「結果に対するリーダーシップ」というクリエイティブ・リーダーシップのエッセンスが強く含まれていたなと思いました。

 

ものすごく当たり前のことなのですが、理論やメソッド、ファシリテーションに日々真剣に取り組んでいる彼らのやり方に対し、半信半疑で付いていくのはとてももったいないことです。

早稲田大学ビジネススクールの入山さんがよくお話になっている「センスメイキング理論 」 — 不確かな状況の中でも、リーダーを信じて強い意思で進んでいくことにより、望んでいる地へとたどり着ける — そんなリーダーシップを自分のものにしていくためのアドバイスも、たくさんもらえた2日間でした。

参考: センスメイキング理論とは?ストーリーによって人は動き、そこから未来は創られる

 

次回予告!

今回のワークショップ参加者にプレゼントとして配られた、Bespokeのフューチャーデザイン・ワークショップのフレームワークやメソッドについての解説本『Book of Futures(ブック・オブ・フューチャーズ)』の数ページを、何回かに分けて日本語訳で紹介します。

乞うご期待!

 

Happy Collaboration!