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酒井 穣さんの『これからの思考の教科書』を読んで

「即興演劇モデル」や「場(BA)」、「ソーシャルと利益のジレンマ」や「理論という相手の土俵」など、先日の小山龍介さんとの対談では、社内SNSの持つ本質的な価値の話だけにとどまらず、これからの社会や働き方を考える上で重要なさまざまなキーワードをいただきました。

いろいろとこれらのキーワードについて考えていたところ、数カ月前にこうした言葉とも深くつながっている本を読んだのを思い出しました。

酒井 穣さんの『これからの思考の教科書 論理、直感、統合--現場に必要な3つの考え方』という本です。

 

「思考の教科書」とタイトルにあるように、「ロジカル(垂直)、ラテラル(平行)、インテグレーティブ(統合)」という3つの思考法そのものの解説や、それぞれの強みと考え方を中心に、その鍛え方も紹介されています。

 

非常にサラッとですが、本の表紙2(表紙をめくった裏側)に書かれている3つの思考を紹介したいと思います。
 

・ロジカル・シンキング
ある事実の束から疑えない結論を導き出す思考法。
 
・ラテラル・シンキング
ロジカル・シンキングだけでは難しい、斬新で飛躍のあるアイディアを生む思考法。
 
・インテグレーティブ・シンキング
対立するアイディアの一方をすんなりと選んだりはせず、対立するポイントを同時に受け入れるような、より優れた第3のアイディア生み出す思考法。

 
著者の酒井さんも、この3つはどれも重要でどの要素も必要なものとして紹介していますし、私もそうだと思います。
ただ、おそらく多くの方が「ロジカルかラテラルのどちらか」を強く追っている傾向があるのではないでしょうか。また、その人の感性として「ロジカルかラテラルのどちらかがしっくりきやすい」というのは、自然なことなんだと思います(私自身を自己分析すると、「ラテラルな人」だと思います)。

 

ロジカルもラテラルも、どちらもすでにたくさんの本や資料で「理解を深め、強めていく」方法が紹介されている中で、3つ目のインテグレーティブに関してはまだ、さほどしっかりとした体系や方法が確立していません。
そして残念ながら、酒井さんご自身も言われているように、『これからの思考の教科書』でも「インテグレーティブな思考法の鍛え方」に関しては体系だった形にはまとめられていません。
でも、これは「最善解は混沌の中から生まれる」という考えにベースを持つインテグレーティブ・シンキングの特徴を考えると、無理もないのかも…(「1つの体系だったもの」に落ち着こうとした瞬間、「その体系とは対極にあるようなもの」が生まれてくる?)。

 

ポイントは、ロジカルもラテラルの強みや弱み、そしてそれぞれに惹かれやすい自分の傾向を踏まえた上で、「インテグレーティブ・シンキングを自身の中に取り込み、それを幹としよう」という心構えを持って仕事をしていくか、生きていこうとおもうかどうかが大きな違いにつながるのではないか、ということです。
そして、インテグレーティブ・シンキングの幹を自分の中で太く、しっかりとした強いものに育てあげていくには、強いロジカルとラテラルの思考法が必要になるんじゃないかとも思います。

 

と、ここまで書きましたが、きっと私の文章を読んでも「インテグレーティブ・シンキング(統合思想)がどんなものか」ということを伝えられてないですよね。
残念ながら、私の今には上手にそれをまとめて伝える力はありません。酒井さんの『これからの思考の教科書』を読んでいただくのが一番だと思います。

 

…これで終わらせてしまうのはあんまりにも不親切ですよね。
ということで、1章「ロジカル」、2章「ラテラル」、3章「インテグレーティブ」のそれぞれの中で、私自身に特に響いた点を書いておこうと思います。
なお、言葉は本からのそのまま引用ではなく、私が自分の言葉に置き換えている点もありますのでその点ご承知置きください。

 


・ロジカル(垂直的)・シンキング ○ 他者の安易な説得(攻撃的なロジカル・シンキング)に負けないための防具としての意味もある ・ラテラル(水平的)・シンキング ○ 意識的か否かにかかわらず、この世界には、それを求めている人にしか見えないことがたくさんある。テーマを持って生きるということは、脳にメッシュの細かい網を張って生きるようなもの。その網が普通は素通りしてしまうような情報も、脳内に収めてくれる ○ 上記の網を強く、広いものにするためには、「あるテーマに関連する知識を別のどこかに見つけたい」という目的意識を持ってさまざまな本を読み、場に向かい、そこで手/頭にいれたものを「異なる知識同士を組み合わせること」を意識してアウトプットすることが重要   ・インテグレーティブ(統合思想)・シンキング ○ 章の最初にある老子の言葉は、実践して初めて価値をなす 生きることの達人は、仕事と遊び、労働と余暇、心と体、教育と娯楽、愛と宗教の区別をつけない。なにをやるにしろ、その道で卓越していることを目指す。仕事か遊びかは周りが決めてくれる。当人にとっては、常に仕事であり遊びでもあるのだ。 ○ 統合思想を考える時、「統合思想でなければ答えに近づけないもの」が出てくるのは至極当然のこと。それを考えれば、ここで以下のキーワードが登場してくるのも当然: 「即興演劇」「ワーク・ライフ・インテグレーション」「組織とダイバーシティー」「経営ビジョンと人材ビジョン」「五感は人間が勝手に分けているだけのもの。本来は相互作用しながら統合されて1人の人間を形作っている1つのもの」 ○ 「大げさすぎる」とか、「それは経営層が考えればいいこと」ではなくて、あらゆる人が「自分自身のアイデンティティーのインテグレーション」と「ビジネスによる家族、企業、国家、地球のインテグレーション」を意識して生きていくのがポスト3.11のスタイルではないだろうか

 


 

最後の方は思い入れたっぷりに自分の言葉にしてしまったので、よく整理できていないところがあると思います。
もし、興味を持っていただけたら、これまでに「インテグレーション」に関して書いたエントリーを読んでもらえると嬉しいです。

 

pachi.hatenablog.com

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Happy Collaboration!