Collaboration Energizer | #混ぜなきゃ危険 | 八木橋パチ

コラボレーション・エナジャイザーとは、コラボレーションの場を作り、場のエネルギーを高め、何かが生みだされることを支援する人

トゥルース・ウォーズの未来と仕事の未来

Threshold ≒ しきい値 ≒ 境目となる値。何かが変わる分岐点。そのギリギリのところ。

前回の『しきい値の美とテセウスの船とフューチャーズデザイン。
に続き、いよいよニックが『The Beauty Of Thresholds.』に書いたオープンな問いへ、ルースエンドへと分け入っていきましょう。

未来は微妙なニュアンスの中に、混沌と曖昧の中に漂って、灰色に包まれたグラデーションの分岐点「スレッショルド」に…

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■ トゥルース・ウォーズ

Who holds the authority of truth and veracity in our current information world?
現代の情報社会において、誰が真実と正確性を保証するのでしょうか?

What will it mean that truth becomes relative in different parts of the internet?
真実はインターネットの場所により相対的であるとは、一体何を意味しているのでしょうか?

How will we deal with collective challenges (such as climate change) when facts become irrelevant?
事実が不適当となる社会において、(たとえば気候変動のような)共同体としてのチャレンジを私たちはどのように扱えば良いのでしょうか?

What new kind of lies will we have to become accustomed to live with?
私たちはどんな種類の嘘と一緒に暮らすことに慣れなければならないのでしょうか?

Drivers: Dead of the institutions, Fake News, Need for reassurance, Information overload.
推進要因: 公共機関の死。フェイクニュース。安心の必要性。情報過多。

2020年の大きな副作用は、私たちがオンラインで過ごす時間がとても長くなったということです。

インターネットは愛する人たちとの自分をつなぐライフラインとなり、仕事のプラットフォームとなり、そして同時に教育と娯楽の場になりました。

そこには美味しいサワードウパンの作り方から、ウイルス罹患の自己診断方法、5分で分かる巨大ブラックホールの謎まで、あらゆる情報と知識があなたのすべての時間を食い尽くそうとするかのように蠢いています。

しかし謎の病による恐怖と混乱のカオスが拡がる中で、人びとが切実に求めたのは「真実」と「正確性」でした。そして多くの一般的な人びとは、分散され莫大な量となった情報に飲み込まれ、方向感覚を失ってしまいました。

さらに、行政をはじめとした公共機関への不審と懐疑論の高まりは「真実の独占」を破壊し、その結果それぞれの主義や信条に応じた事実を持つ、互いが分断された「パラレルな真実の世界」が出現したのです。

真実を手にしているのが誰か。それを知っているのは、もはや一部のエキスパートだけが知っているものではなくなり、真実を知るものとして名乗りをあげる者たちの列は途切れることを知りません…。

ときに、地動説ではなく天動説を信じている人間を笑い飛ばすのは楽しいことかもしれません。

しかしこれだけたくさんの陰謀論が出回りそれを信じる人が一定数にまで登ると、真実は客観的でも共同体的でもなくなってしまい、私たちの社会と民主主義は脅威にさらされてしまうのです。


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■ 仕事

What will it mean to be “at work” in a post pandemic world?
パンデミック後の世界で「仕事中」とは何を意味するようになったのでしょうか?

How will the new nature of work redefine our identity, especially within the knowledge economy?
仕事の新たな特性は、私たちのアイデンティティーにどのような見直しを迫っているのでしょうか? とりわけ知識経済においては?

What will be the collateral impact to other industries of a new more flexible working paradigm?
「新しくより柔軟な仕事」というパラダイムは、他の業界にどのような副次的影響を与えているでしょうか?

Drivers: Remote Work , Need for Socialising, Knowledge Economy, The importance of good physical frames.
推進要因: リモートワーク。社交の必要性。知識経済。物理的在宅ワーク空間の重要性。

仕事は、パンデミックにより最も顕著に変化したものの一つでしょう。在宅勤務は知識経済におけるキングとなり、多くの人びとが、都市計画や輸送などと同様に、オフィスというコンセプトが元に戻ることはないだろうと考えています。

ただ個人的には、オフィスが完全になくなるとは思いません。その形は変わり、多数ある「仕事をするための場所の一つ」になるのだろうと考えています。
場所、時間、活動の柔軟性を上げる方が、仕事を完全リモートとすることよりも重要なのかもしれません。

昨年明らかになったのは、仕事とは単に生産性を追求すれば良いというものではないということ。仕事は人のアイデンティティーや社会的なつながりに欠かせない舞台でもあるということです。

そこでは誰もが、社会的環境の中で成長のための刺激を与え合う役割を演じているのです。

仕事からそうした要素を除いてしまえば、そこに残るのは単なる画面上に写るスプレッドシートと、ブツブツと切れるZoomの会話だけでしょう。おそらくは、多くの人が、自分の人生を考え直そうと考えるのではないでしょうか。


次回は「小売&ショッピングの未来」「メンタルヘルスウェルビーイングの未来」「旅行の未来」について取り上げます。

お楽しみに! Happy Collaboration!