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社内ソーシャルは「デキる先輩の背中」が見える職場

 

毎日のようにたくさんの企業の方たちと「社内ソーシャル(エンタープライズ・ソーシャルウェア)」について会話させていただいています。
 

そんな中、ここ最近特にディスカッションが盛り上がるのが、「ワークスタイルとソーシャル」「グループウェアとソーシャルウェアの違い」「2軸4象限で捉える情報と人の特性」」などなどのキーワードです。
今回はその中から「ワークスタイルとソーシャル」を、これまでとはちょっと違った観点()から考えてみたいと思います。

 
題して『社内ソーシャルは「デキる先輩の背中」が見える職場』です。
 

これまでに「ワークスタイルとソーシャル」をテーマに書いたのはこの辺りのエントリーとなります。

pachi.hatenablog.com

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■企業も、人も、働き方を変えたがっている
「ワークスタイル変革」という言葉がモバイルやBYOD (Bring your own device/ビーワィオーディ、個人保有端末の業務適用)という文脈で語られ、一種のバズワード化しています。ただ、そのいずれも根底にあるのは「本当は無駄なことをなくしたい」だと思います。
社員一人ひとりの立場で言えば「意味のない移動とかもう勘弁してよ」だし、
経営層の立場で言えば「無駄なメンテナンス費用やら交通費を発生させない方法ならぜひ!」というのがわかりやすいところでしょうか。
 
そしてもう一つ「ワークスタイル変革」の根底に近い文脈で語られるのが、在宅勤務やテレワーク、QOL(Quality of life/クオリティオブイフ、生き方や生活における質や満足度)やワークシェアリングなど、仕事と生き方の関係です。

 

 

■働き方が変われば職場も変わる
「無駄に長時間オフィスにいることをよしとする企業」はもう存在していないことと思います(いや、実際はともかく、少なくとも公にはどの企業もそう言ってるでしょ?)。家族や友人との時間を長く持つことは大切なことだし、子育てや介護など、肉体的に相手のそばにいることが絶対に必要な時もあります。
 
一方で、お客様と共に過ごす時間を長くしようと、とりわけ営業職やフィールド・エンジニアに呼びかける企業も増え続けています。お客様のニーズを知り、ご満足いただくためには、共に過ごしコミュニケーションをとり続けることが大切なのも間違いなさそうです。
 
ただ、時間は有限ですし、人間は物理的には1つの塊です。
お客様と物理的に過ごす時間を長くし、家族や仲間とのそれも長くすれば、社内で同僚と過ごす時間が短くなるのは道理です。

 

■贅沢品となった「先輩の背中」
OJT(On-the-Job Training/オンザジョブトレイニング、上司や先輩が実際の仕事を通じて部下や後輩に業務のやり方を教える方法)は、『脳業』中心の職場においていまや相当ぜいたくなものとなっています。OJTや直接顔を合わせての指導が、スキルやナレッジをしっかりと深く伝える上でとても高い効果があることは皆分かってはいるものの、同じ時間に同じ場所に集まるために発生する費用が「当然の費用」とはみなされなくなっています。
 
一人一台のPCがオフィスの常識になる前、OJTではなくても、ちょっと意識して観察していれば上司や先輩が誰とどんな風に仕事を進めているかは見て聞いて感じて分かるものでした。反対に、部下や新人の仕事の具合は、耳に入ってくるデスクの上に置かれた電話でのやり取りや、目に入ってくるたくさんの書類の文言から、ことさら報告を受けなくても分かったものだそうです。
 
今や、伝えよう/伝えてもらおうと相当意識的にしなければ、実際に何が起こっているかを感じることはできません。
あの人は、どんなことに興味を持ち、どんなやり取りをして、どんなインプットやアウトプットをしているんでしょうか。

 

■ソーシャルウェアは現代版の「先輩の背中」
デキる先輩や上司の行動を、一緒にいなくても、そして後からでも見たり追いかけたり感じたりできるのがソーシャルウェアです。
フォーラムにおける発言内容やマイクロブログを通じたやり取り、いいねを押したファイルや編集したWikiページなど、ソーシャルウェア上での日々の業務が「アクティブ・ストリーム」と呼ばれるタイムラインに表示されるので、実際に同じ職場で同じ場所を共有していなくても、デキる先輩の活動を見て、真似て、学ぶことができます(もちろん、本人の意思により「特定の業務については可視化しない」ことも可能なのは言うまでもありません)。
 
ただ、この先輩の仕事の流れを途切れずに後から見て追体験するには、業務が同じプラットフォームか、あるいは連携したソーシャルウェア上で取られている必要があります。
システムが切り離されてしまっていては流れが切断されてしまうので、「デキる先輩の背中を見失ってしまう」というわけです。
 
ところで、「デキる先輩や上司」も、常にどんな仕事も得意というわけじゃないですよね。苦手分野や、たいしたことない領域だってあるでしょう。
その先輩の苦手分野は、違う人から学びましょう。
そのためには、分野や専門性ごとに、社内の「デキる先輩」や「専門家」を見つけ出せばいいんです。ソーシャルウェア上にあるたくさんの人やもの・ことの「つながり」を、さまざまな切り口で簡単に見つけ出したり探し出せたりすることが大切になります。
ただこの話は、ソーシャルウェア上にたくさんのつながりがいろんな形で存在していることが前提になりますよ。

 


 

デキる先輩の背中から「ソーシャルはリアルな職場」という話しをお伝えさせていただきましたが、ちゃんと説明できてますかね、私?
 
他にも、「社内ソーシャルウェアという職場」を「企業のウェブページ × 公式ソーシャルメディアアカウント × 社内ソーシャルウェア」の関係から考える話しも書こうと思っていたのですが…。ちょっと分量的にも重たくなり過ぎそうなので、また別の機会に。

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それにしても、社内ソーシャルやコラボレーションというテーマが大好物ということもありますが、いろいろな企業のいろいろな立場の方々と話せば話すほど、毎回いろいろと得るものがあります。
そしてこうして得たソーシャルとコラボレーションの知識と実践のヒントを、少しでもわかりやすくみんなに伝えることが、多くの人にいただいた時間に対する最大の恩返しなのかなぁなんてことも最近とみに感じています(勝手に自分自身にミッションを与えているだけなんですけどね)。

Happy Collaboration!